仕事が楽しくなる考え方、大手株式会社と100年以上続く老舗和菓子屋の違い

オープンソースという言葉がある。プログラミングに関係することで、誰にでも公開されていて誰でもそれを学んで使うことができる。秘密にされていないからオープンだ。例えば今、あなたが読んでいるこのWebページも、htmlとか、cssというオープンソースによって書かれている。このようなコードを考え付いた人はすごいと思う。特許をとって独占することもできたはずなのだが、インターネットの普及が社会に与える影響を考えた上で、世の中に公開したのであろう。
さて、世の中にはオープンを好む人とクローズ、つまりは閉じられた仕事を好むひとがいる。たくさんの人が働く大きな組織ほど、オープンで誰にでもできるマニュアルを重視する。そして仕事の属人化を嫌う傾向にある。特定の仕事を誰かが独占し、その人がいなければ仕事が回らないようでは、その人を解雇した場合に困ってしまう。だから、あまりそういうことはしたくない。そのため、定期的に人の入れ替えを行い、同じ人が同じ部署にとどまらないようにしている企業が多い。人を使い捨てにして派遣やバイトばかりで回すには不可欠だ。
その一方で、仕事の属人化がなければ一人前ではない職業もある。何百年も続く和菓子屋や、職人、技術者などだ。その人にしかできないこと、そこでしか作れないもの、そういう物事が私は好きだ。長いこと1つのことに腰を据えて挑まなければ決してうまれ得ないことってあると思う。日本は江戸時代という長い長い、平和な時代があった。そのため、技術が蓄積された。今でも職人の技術は世界にも稀に見る精度を誇り、その流れ、文化は、今の大田区の工場や様々なところに受け継がれている。大きな企業でも、その人にしか分からない仕事のやり方を大事にしている人がいる。そういう人は偏屈で、ちょっとでもやり方が違うと怒るし、迷惑がられるけれども、私はそういう人に出会うとなぜか安心する。日本人の心がまだここに生きていたのか、と。掃除のおばちゃんとか、そんなところにも。
技術や技能の蓄積は臨時雇いの人やマニュアルによっては決してなされない。人が変わる、ルールが変わる、親会社が変わる。下請けの会社はただただ、それらに振り回されていくだけだ。それよりも、有限会社や個人営業などに、たゆまぬ努力や工夫の結晶が極めて限定された空間と人の間に受け継がれてゆく。だからこそ、小さな和菓子屋が何百年も続いたりするのだ。
では、マニュアル重視で、誰にでもできる仕事がメインの人はどうやって仕事を楽しんだらいいのだろうか。私が思うに、それは抽象化に尽きると思う。上の人や取り引き先のルールによって変わる仕事、そしてマニュアル。だが実のところ、マニュアルだけでどうにかなるわけではない。誰かしら自分なりに工夫している部分があるはずだ。変わり続ける世の中、変わり続ける仕事環境の中では特定の技能は育ちにくいが、仕事の工夫を思いつく際の足がかりになるのが、物事を抽象化するちからだ。それはこと細かなマニュアルを覚える上でも役に立つ。ただ記憶するのではなくて、何かしらのカテゴリーを自分で考えてそれに当てはめていくのは頭の中で地図が作られいろんな物事がつながっていくような気がして楽しい。仕事内容は違っても、抽象化してみると共通する部分がけっこうある。そうやって、自分にあった考え方、捉え方を見つけていけば、上からやらされている感が薄れて仕事が自分のものになっていくのだと思う。
要は、仕事の属人化、マニュアル化はそれぞれ一長一短。

でも、仮に仕事が楽しめたとしても、(私はあまり楽しめてたことがないです。)やっぱり趣味は必要じゃないですか?抽象的なことばっかりよりも、目の前に物質や物体がある方が気持ちが落ち着きます。自分なりのこだわりってものはやっぱりそういうところにしか生まれないのです。

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