予測変換

ずっと前、大好きだった彼女と別れた。
楽しかったようで楽しくなかった、振り回された初恋だった。

「人生は出会いと別れの連続」であるのだから別れは仕方ない。

しばらく経って彼女との写真や一緒に遊んだゲームアプリ、LINEのトークなどあらゆる思い出を消した。

人なんて忘れる生き物だ。いっそのこと全部忘れてしまった方が楽だった。

また月日が経ちようやく過去にしがみつくこともなく今を生きるようになってきた。完璧と言っていいほど忘れ、友達と過ごす時間が多くなってきた。

ある時、スマホをいじっていた時、「ゆ」という文字を打った時だ。彼女の名前が出てきた。

人は忘れる生き物だ。これは断言していいだろう。でも、予測変換は忘れてくれなかった。


『予測変換はあの時のままだった。』

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