練習や試合前の「臀部アクチベーション」ウォームアップの真実〜科学的知見のまとめ〜

スポーツの練習や試合前のウォームアップ中に、自体重やゴムバンド等を使って、臀部の筋肉に刺激を入れるような運動を実施しているのを見かけたことはありますか?

イメージとしては、以下の画像のような動きです(あくまでも一例です)。

このような運動のことを英語では「(low-load)glute activation 」と呼んだりします。本記事では「臀部アクチベーション」と呼ぶことにします。


練習や試合前のウォームアップ中に臀部アクチベーションを実施する理屈

練習や試合前のウォームアップ中にこのような運動を実施する背景には

臀部の筋肉(例:大殿筋、中殿筋)にフォーカスして刺激を入れるような比較的シンプルな運動を事前に実施しておくことで、その後の練習や試合においても臀部の筋肉を使いやすく(動員しやすく)する

という目的が存在します。

また、臀部アクチベーションを用いて臀部の筋肉を事前に刺激して使いやすくしておくことが必要な理由としては:

  • そもそも、競技動作の中で臀部の筋肉をうまく使えていない(動員できていない)アスリートが多い

  • 臀部アクチベーションのように、シンプルでゆっくりとした動きで、自体重やゴムバンド等の低負荷を活用することで、使われづらい臀部の筋肉が使われやすくなる

  • 臀部アクチベーションを用いて臀部の筋肉を一度使っておくと、刺激が入り活性化された状態がしばらく続くので、その後の競技動作中にも臀部の筋肉が使いやすく(動員しやすく)なる

  • 臀部の筋肉が活性化されてうまく使える(動員できる)ようになると、競技におけるパフォーマンス向上効果やケガ予防効果が期待できる

といった前提があります。


私も「事前に臀部を刺激して使いやすくしておくと、確かに色々とポジティブな効果がありそうだ」と考え、臀部アクチベーションを活用してきました。とくに、ウエイトトレーニング前のウォームアップの一部として、臀部アクチベーションを使ってきました。

このあたりの話については、過去にシリーズ物のブログ記事を書いているので、ぜひご一読ください。


臀部アクチベーションの有効性を支持する科学的根拠は存在する?

私はこれまで、ウエイトトレーニング前のウォームアップでは臀部アクチベーションを活用していたものの、練習や試合前のウォームアップにおいては、それほど積極的に臀部アクチベーションを取り入れてはいませんでした。深く考えた結果というわけではなく、なんとなく「そこまでやる必要あるのかな?本当に効果があるのかな?」という感覚があったからです。

プロスポーツ等の試合を観戦していると、試合前のウォームアップ中に自体重やゴムバンド等を使って臀部アクチベーションを実施しているアスリートを頻繁に見かけます。一種の流行りみたいにも感じます。ただ、そういうのを見るたびに、私は違和感を感じていました。「ちゃんとした科学的根拠があってやらせているのかしら?強いチームやアスリートがやっているという理由だけで、真似してやっているだけなのでは?」と。

とはいえ、私自身、確固たる科学的根拠があって、練習や試合前のウォームアップでは臀部アクチベーションを実施する必要性は低い、と結論づけていたわけではありません。どちらかというと「違和感」という主観に頼って判断をしていました。


そこで、臀部アクチベーションについて調べた論文を改めて探して読んで、その内容をまとめてみることにしました。かなり時間も労力もかかったし、多くの方にとって参考になる情報だと思うので、自分の勉強だけに留めるのはもったいないと考え、有料note記事にすることにしました。

予めお伝えしておきますが、有料部分の文章はそれほど長くありません。しかし、ご自身で調べようと思ったら、めちゃくちゃ時間と労力がかかる貴重な情報を提供しているつもりです。文章の長さ(=情報量)ではなくて、時間や労力や専門知識をお金で買う。そこに価値を感じる方、そして、「練習や試合前ウォームアップにおける臀部アクチベーション」というテーマに興味のある方にご購入いただけるとうれしいです。

※実際に書いてみたら、有料部分の文章もそこそこ長くなりました!!

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