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夢に亡父が出てきて救われたときの話

(以下の文章は8年前にFacebookに投稿したものを元に一部改稿したものです)


その日、僕は通い始めたばかりの現場で理不尽なパワハラを受けて肉体的にも精神的にもかなり疲弊した状態で就寝したところ、夢で3年半前に亡くなった父親に会いました。父親は脳腫瘍の摘出手術の後遺症で癲癇のような発作を繰り返して次第に身体の自由が効かなくなっていき、5年近い闘病の末に最後はほとんど意思の疎通もできない状態で亡くなったんですが、このところ夢で会う亡父はどういうわけか「頭の手術をして一度は寝たきりになったものの、そこから奇跡的に回復して歩けるようになった」という設定。実際の経緯とは違うんだけど、多分そういうパラレルワールドからやってくるんでしょうね。

二人でどこかの図書館(あるいは大きな書店)の中を歩きながら、

僕:「そう言えば手術の後『本や新聞を読むのがつらい』って言ってたけど、今でもそうなの?」

父:「うん、もう全然よう読まんね」

僕:「文字を見ても頭に入ってこないってこと?」

父:「うん、分からん」

父親はそう言いながら表に出て自転車に乗ろうとしています。実は最初の手術を終えて退院した後の父親に、お見舞いとして実際に本を贈ったものの「今は文字を集中して読めない」と言われたことがありました。夢の中の僕は、「本が好きで国語教師になったのに字が読めなくなったのは辛いよな…」とか「孫に絵本を読んでくれってせがまれたらどうするんだろう…」と思いながら父親を追って外に出ましたが、そこで口を突いて出たのは、

「でも本当に良かった。あれから自転車に乗れるまで回復するなるなんて思わなかったもん」

という言葉でした。父親は何も言わずに自転車に跨がるとペダルをこぐ足を速めてすーっと走り去っていき、その後ろ姿を眺めながら「元気そうだなぁ…」と思っていたらホワイトアウトして目が覚めました。そのときは不思議と温かい気分に包まれていて寂しくはなかったんだけど、しばらくして夢の中で会いに来てくれた理由をあれこれと考えていたら急に涙が止まらなくなりました。

直接何か諭されたりしたわけではありませんが、このタイミングで夢に現れてくれた父親のおかげで、ひとまずは前向きな気持ちを取り戻すことが出来たように思います。ありがとう。


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