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大河「光る君へ」始まりました!

 あっという間でしたね……ドキドキしながら観させていただきました。せっかくなので、これから一年間最終回まで感想を書いていきます(ああ、言っちゃった!)。あくまで「源氏物語を読みたい80代母」のための企画のひとつということで、超ゆるふわ☆にいきたいと存じます。ネタバレ全開ですのでご了承ください。
 語り手は、翻案源氏物語「ひかるのきみ」でお馴染みの平安女房ズ※に再びご登場願います。よろしくどうぞ。
※平安女房ズとは「ひかるのきみ」で劇中劇および解説役を担った女房達。そのうちメインの四人を召喚する:
右近うこん(夕顔の女房が元)、
侍従じじゅう(末摘花の女房が元)、
少納言しょうなごん(若紫の乳母が元)、
王命婦おうみょうぶ(藤壺の宮の女房が元)。
なお名前を拝借しただけで性格その他は違います。
以下、右近=右、侍従=侍、少納言=少、王命婦=王と表記。

侍「ねえねえ右近ちゃん!」
右「なあに侍従ちゃん」
侍「ヤダ右近ちゃん何お澄まし☆してんの!観たでしょNHK大河『光る君へ』!ヤバいヤバい、ヤバすぎじゃない?!まんま平安世界じゃんヒャホー!」
右「興奮しすぎ。私たち平安女子なんだから、寝殿造りだの御簾だの几帳だの見慣れてるでしょ。まあでもお着物キレイだったわね。男性の装束も中々決まってたわ」
侍「ねー、美女とイケメン揃いで眼福う!あとさー子役のまひろちゃん!可愛かったねー。ツインテールに単のお着物、本当いうと袴はどしたー?と思ったけど可愛いから許す!」
右「さらりと超有名な『若紫』を思わせるエピソードを入れたのはさすがね。籠に入れてた小鳥が逃げた……でSNSのタイムラインが一気にザワついたもの」
侍「道長少年も初々しい爽やかイケメンでま・さ・にボーイミーツガール!キュンキュン来たよ来たよお姉さん」
少「私……『一度飼われた鳥は外では生きられない』というセリフが沁みましたわ」
右「少納言さんお久しぶり!」
侍「ヤッホー少納言さん!今年もよっろしくねー!」
少「此方こそよろしくお願いします。まひろちゃんの愛らしさ無邪気さが若紫の姫と重なって、しょっちゅうウルっと……どうせなら北山での衣裳と同じならもっとよかったんですが、それだと号泣ですね私」
右「白いうちぎに山吹がさねだっけ。……あ、ダメだ想像すると私まで涙が」
王「こんにちは、ご無沙汰してます」
侍「キャー王命婦さーん!待ってました!」
右「いらっしゃい、さあさあ座って座って。お茶もお菓子もタップリあるからね」
王「ありがとう。なんだか往年の女子会っぽくなってきたわね」
侍「ねえねえ王命婦さんも『光る君へ』観たよねー?どうだったー?」
王「そうね、まずはアレかな、まひろちゃんが史記から引いた『鹿をさして馬となす』故事ね。馬鹿って言葉はまだこの時代にはなかったみたいだから三郎くんが知らないのは当然なんだけどそれはともかく、あの場面でまひろちゃんに言わせた意味ね。痺れたわ」
侍「あーそれ!アタシもピーンと来た!『須磨』巻での大后さまの発言が元ネタだよね?」(ひかるのきみ「須磨(十三)」参照
右「えっスゴイ侍従ちゃん。私すっかり忘れてたわ」
侍「エッヘン(ドヤ)!でも意味って何?アタシみたいな嘘つきを有難がるなんて三郎アンタ馬鹿ァ?みたいな感じ?」
王「まひろちゃんはまだ幼いから、本当のことを言えば関係が壊れると思ってたのよね。でも三郎くんは元々察してたし自分も嘘ついてるからまったく気にしてない。また会おうと約束をする」
少「けれどまひろちゃんは……」
王「そう。目前で母を殺されたのに父は嘘をつけという。相手が仕事をくれた大臣の息子だから。本当のことを言えばどうなるかわからない。嘘をいう者を重宝する者が『馬鹿』、つまり……まさに引用した故事を地で行く状況に陥るわけ。約束どころじゃないわね」
右「こりゃ一生消えないトラウマね。なまじ賢い子だけに刷り込みやばそう」
侍「ねー!てっきり陰湿系のドロドロでいくのかと思いきや、いっきなりのバイオレンスで唖然茫然!」
少「早くに亡くなられたという紫式部さんのお母様、まさかこんな死に方をさせられるなんて……三郎さん、母の仇の弟ってことですもんね」
右「淡い初恋にぶっ刺さる特大のネガティブフラグ……これがあとでどう効いてくるか」
侍「来週も見逃せないねっ!(決まった)」

 ハイ、平安女房ズの皆さまお疲れ様でした。
 いやー衝撃的な第一回でしたね。初の平安時代ということでスタッフも役者さんも気合の入り方が違う気がします。私も画面の前で、キャー寝殿造り!キャー御簾!キャー几帳!などといちいち騒ぎつつ楽しませていただきました。
 女房さん達が扇で口おさえながらヒソヒソしてる場面、何度か出てきましたがこれ、平安における『世間に何を言われるやら』の怖さそのものですね。アレを、壁に耳ありどころか壁がない・囁き声でも丸聞こえのスッカスカ住空間でやられるわけですからたまったもんじゃありません。そりゃあ病みもしましょうとも。
 当時の庶民の暮らしの描写として、いきなり「散楽さんがく」を出してきたのも驚きでした。まさにあの「犬王」に繋がる世界。動きもキレキレで素晴らしかった。三郎の散楽好き設定もきっと何かの伏線となるはずなので、覚えておかなくっちゃですね。
 そして為時パパの家庭教師バイト先・のちに花山天皇となる東宮!パっと見、厩戸皇子(by山岸涼子)ばりの美少年なのにあの飛び蹴りと変顔!強烈でした。いやもう、色々と突いてきますね……絶対狙ってますよねうん(何を)。安倍晴明の、ハードワークでくたびれた国家公務員っぷりも最高でした。
 などなど初の平安大河を存分に堪能したのですが、ひとつだけ引っかかったのが、道兼がちやはさんを……の場面。
 当時の貴族なら自分で斬らないのではないかなあ。
 とはいえお付きの言葉にカーっと頭に血が昇って、という流れだから場面としてはおかしくないのか。XのFFさんの「親の愛に飢えてる道兼が、娘を庇う母の姿に嫉妬した」という説にも頷けるところある。そもそも血の穢れを何とも思わない人物設定なのかもしれないし。
 実際、平安貴族が本気の本気で「穢れ」を忌避していたのかどうか怪しいところもあるんですよね。遅刻や欠席の言い訳に物忌使ったりしてるし、案外ほとんどは建前だけだったりして。
 一方で「呪い」はどうなんだろう?誰かを殺すと呪われる、みたいなことはある程度信じられていたはず。ともあれこの衝撃エピソードがどういう役割を持っていてどういう方向に展開していくのか、すごく楽しみです。

 という感じで適当に続ける所存。週一更新ガンバレ私!
<つづく>

「文字として何かを残していくこと」の意味を考えつつ日々書いています。