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大河「光る君へ」(26)いけにえの姫

 目まぐるしい……なんて目まぐるしいんだ。越前国編はまだしもシンプルだったんだ(それでもミッチミチ内容!)。その上このラスト、来週は都知事選で休み。人の心ないんか(定期)。
※「源氏物語を読みたい80代母」のための企画です。最終回までこの形式で続ける所存。思いっきりネタバレ全開なのでご注意くださいまし。
お喋り役の平安女房ズは以下:
右近(右)、侍従(侍)、王命婦(王)、少納言(少)

侍「ねえねえねえ右っ近ちゃあああーーーん!!!」
右「なあに侍従っちゃあああーーーーん!!!って結局この始まりなんかーい!わかるけどさ」
侍「だってだって!何あの終わり方!石山寺で偶然の再会ってなんなん!どうすんのこれ……あああもうううう気になりすぎて一週間どころか二週間も待つなんて無理イイイ!」
右「そうよね。あの場面まではいつもの盛り盛り沢山でキャーまた話すこと多すぎ問題☆どうするう?だったのに全部吹っ飛んじゃったわ。どうしてくれようか道長ア!」
侍「エー道長くんのせいなのー?どっちかというとまひろちゃんに大失言した宣孝オジサンのせいじゃ?!でもでも、月の光を背に登場!した道長くんありえないほどイケメンだったしーやっぱり悪いオトコよね道長くん!!」
右「侍従ちゃん何言ってるかよくわかんないけどそうよね!!」
王「あらまあ予想通りの混乱ね。少し冷ましましょうか」
少「凍らせた葛まんじゅうお持ちしましたよ、ささ」
右・侍「わーーーーーーい!!!」
 しばしお茶タイム。
侍「おっいしーーーーーいっ!!!」
右「ほんと、何このぷるぷる食感……中のこしあんが凍ってシャリシャリなのがたまんないわ」
王「これも何気に福井名産よ。水まんじゅう、ともいうわね。福井の水ようかんは冬限定、葛まんじゅうは夏限定」
少「よかった。私、葛まんじゅうを凍らせるという発想がなかったんで心配だったんですけど、持っていく間に食べごろになりますのね」
侍「うわーん美味しかった冷えた冷えたサイコー!」
右「二人ともご馳走様!いつもありがとね」
少「どういたしまして、喜んでいただけて何よりですわ」
王「今夏リピ確定ね。ところで今回もまた振り幅大きかったわね。まひろちゃん宣孝カップルのイチャ・ラブっぷりから始まったかと思えば、『真木柱』巻バリのド派手な夫婦喧嘩までやらかしちゃって」
右「未だにキライ!な髭黒と一緒にしたくはないけどさ、宣孝さま大失言の巻よね。らしくない。わかっててワザとまひろちゃんの地雷踏み抜いた感じ?」
少「まひろさん、甘えたことなんてない!なんて言い切ってしまわれましたものね。今までベッタベタに甘やかしてこられた宣孝さま、さすがにカチンと来てしまったのかも……一瞬ですが怒ったお顔、初めて窺いましたわ」
王「宣孝さまは実のところかなり怖い人なのよね。抜群に勘がいいし洞察力も深い、勢いと瞬発力もある。攻撃力はこの大河ドラマ内で1、2を争う高さといっていい。まひろちゃんが一番欲しい言葉がわかるってことはつまり、一番言ってほしくない言葉も心得てるってことよ」
侍「ま、まー喧嘩するほど仲がいいって言うしー、すぐ仲直りするよきっと!それよりさ、道長くんの娘の彰子ちゃん、ノリが女三の宮ちゃんぽくなーい?」
少「お可愛らしかったですわね。裳着の式ウットリしましたわ」
右「確かに仰せのままに、ばっかり言ってたけど、中身は三宮ちゃんとは全然違う気がする」
侍「うんうん!三宮ちゃんの、まじりっけ無しのド天然ポヤヤンとは圧倒的に違うんだけど、なーんかかすってるのよね。お育ちがよい深窓の御令嬢でお人形みたいなビジュアル、既に最強のラブラブ妻がいるところにお輿入れっていう状況ー?」
王「彰子ちゃんきっと只者じゃないわよ。なんせあの倫子さまのお子よ?」
少「やはり波乱必至ですのね……」
右「そりゃあもう色んな意味で……」
侍「あーーーもう何でもいいから早く続き、続きをををを!!!」

 侍従ちゃんに激しく同意ですね。何で二週間も空くんやどうしてくれるううう。とりあえず来週はバスケ観ましょう!ガンバレNippon!アカツキジャパン!

 今回はいとさんのまひろへの言葉が沁みましたね。さすがです。
「思いを頂くばかり、己を貫くばかりでは誰とも寄り添えませぬ」
「己を曲げて、誰かと寄り添う……それこそがいとおしいということでございましょう」
 道長との恋が辛いばかりだったのは、まひろが自分を曲げないまま真正面からぶつかり合っていたからなんだろうな。だとしても、
「宣孝さまならきっと嫉妬もしないだろうからラク」
なーんて為時パッパに言うてた割には、今のまひろはしっかり宣孝の浮気にプンスコしてるし、なんも割り切れてない。
 思えばパッパの危惧は大当たり、というかほぼいとさんと同じ趣旨のことを分厚いオブラートかけて既に言われてたやん、という。まあやってみないとわからないことは人生多々あるんだよってことでしょうか。
 とはいえ考えてみれば、所詮はこの「夫婦喧嘩」も元ネタは紫式部が選んで残した僅かな歌や文章だけであって、本当のところどうだったかは誰もわからないんですよね。
「並外れて賢い女」が「超年上の、ややチャラいが仕事しごデキエリート面白男」と結婚したらこんなだった!
と各々をキャラ立てしてエピソードもやや盛りつつ、周囲へのウケ狙いかつ娘が見ることも想定しての、無難な残し方をしたのかもしれない。娘も聡明だからあんまり単純な話にしても真実味がなかろうと、
「パッパとは喧嘩もしたけど仲良しだった!」
 設定にした、とか。いやこういうのも全部私の妄想に過ぎないですけどね。
 さて。
 道長ですよ。
 やっとやっと腹黒政治家になってきましたね(←私の従来の道長イメージはこれ)。
 都で引き続く災害、当時は
「世が乱れるのはゼーンブ帝の徳がないせい」
ということにされてたので、まして「出家した中宮定子を変わらず寵愛し続ける」一条帝にとってはこの上なく不利な状況です。思わず譲位したいと漏らした帝を行成が押しとどめるシーン良かったですね。言うまでもなくバックには道長の意図アリアリ。
 道長にとっては「弱みのある帝」の方が都合がいいので、やすやすと退位させるわけにはいかない。まさに今!今こそ我が娘を入内させるタイミング!初めは渋っていた倫子もすぐにその図式に気づく(倫子ママの「ひょっこり」助言も怖)。いけにえ、というのはあんまりな言い方でしたが、倫子という人は「自分の気持ち・思い入れ」にはさして拘らない。唯々諾々と従うのではなく、撥ねつけるのでもなく、然るべき時にはしなやかに己を曲げることも厭わない。いやーこれはまひろちゃん到底敵わないわ。というか、まひろみたいな面倒くさい意識高いインテリ女子は、倫子のような器の大きい、かつ類まれなるバランス感覚を持つ人しか使いこなせないと思う。
 あっまた話がズレた……道長の話だったわ。
 えーっと……そんな倫子にこの人は!と見込まれた道長くんなので、きっとこの先大化けする……ことを期待しております。うむ。
 というわけで長々くどくど語りましたがまた来週じゃなくて再来週(悲)!バスケ応援しようね!
<つづく> 


「文字として何かを残していくこと」の意味を考えつつ日々書いています。