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源氏物語を読みたい80代母のために 12

ああ、なんともう前の記事から二か月以上も経ってしまった。おさ子版源氏物語「ひかるのきみ」は現在全十冊!昨日11巻目も完成しました。ふう。

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さて母はまだ読み続けているかというと、これが驚くなかれ、今10巻目を読んでいます。新書版224pを十冊ですよ?80代ですよ?しかも一~二か月に一冊のペースで。凄くないですかね。私、自分が80代になって新たに何か長編小説読めって言われても読めるかどうか自信ない。母半端ないっス。

母曰く「やっぱり自分の娘が書いてると思うと読めちゃうのよ。ところどころにアナタがいるのよ。考え方も口調も、ああー如何にも言いそう!って感じがするのよね」。なるほどなるほど。いくら原文に忠実に、とはいっても、自分と考えの合うところは自然に強調しちゃうだろうし、右近ちゃん侍従ちゃんなどのお喋りはまさに私自身が誰かと喋ってるような風になるし、まさに文は人なり!ってね(決まったわ!)。

今、ブログでは「柏木」を終えたところですが、この辺りは人の死があるところでもありおちゃらけた風には出来ず、女房さんたちがキャッキャと会話するのも控え、普通に小説っぽく書いてます。もはや読みやすいのかどうなのか自分ではわからない。母が、「娘の書いたものだから」という理由を以てしても無理!もう読めない!ってならなきゃ勝ちだと思ってますが、どうなることやら。ドキドキです。

今年の夏も実家に帰省は無理そうだし、このままのペースで書き続けて、母とは電話または本を通じて会話するしかない。本の中に私がいる!ってことでどうにか。

それにしても「源氏物語」、読めば読むほど紫式部の凄さが身に沁みて、ぞくぞくします。特にこの「若菜上」からこっちの完成度の高さときたら!それぞれの心情がとてもよくわかるし、何より各キャラが立ってる。特に柏木と女三の宮の二人、ここまでしっかりきっちり書かれてるとは思いませんでした。藤壺と源氏の密通・懐妊が対比してますけど、心理描写は断然こっちのほうが詳細で深い。特に女三の宮は平安時代における「理想の女性」がいかに空虚な幻かを象徴する存在でもあると思いますが、現代でもいそうな感じにリアルです。

ああ、あと少しで終わりか……と思うととても寂しい。まだまだこの物語の世界の中で遊んでいたい。

ひかるのきみ」:「もの書く日々」で連載中。

おさ子の本」もよろしくです。


「文字として何かを残していくこと」の意味を考えつつ日々書いています。