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カンヌライオンズ2024速報 by 銀河ライター【Day2】

カンヌライオンズ2日目です(6月18日)。速報をお届けします。

今日はエンタメ系部門とデザイン&クラフト系部門の日ですね。以下の部門が発表になっています。

①エンタテインメント・ライオン部門
②エンタテインメント・ライオンズ・フォー・ゲーミング部門
③エンタテインメント・ライオンズ・フォー・ミュージック部門
④エンタテインメント・ライオンズ・フォー・スポーツ部門
⑤デザイン部門
⑥デジタル・クラフト部門
⑦フィルム・クラフト部門
⑧インダストリー・クラフト部門

さっそく見ていきましょう。

※クレジットは以下の順です。

施策タイトル
企業名(ブランド)/商品名
企画+制作会社
エントリー国



エンタテインメント・ライオン部門


WE ARE AYENDA

WHATSAPP
CREATIVE X+PALO ALTO
USA

WE ARE AYENDA

2021年。タリバンが政権を握った後に、国を脱出したアフガニスタンの女子サッカー代表チームの逃避行を描いた30分のドキュメンタリー。

「タリバンは私を殺そうとしたの」。選出たちはWhatsAppのグループチャットを用いて脱出の計画を練っていた。映画ではその際のやりとりもインサートしながら、WhatsAppの優れたプライバシー機能だけでなく、安全な場を必要としている人々にとってこのサービスがライフラインになっていることをアピールし、彼女らの勇気とスポーツへの愛を讃えている。

ドキュメンタリーは、2023年女子ワールドカップの1週目にAmazonプライム・ビデオほか、WhatsAppチャンネルやその他の有料メディアで公開された。 ノーベル平和賞を受賞したマララ・ユスフザイほか、多くの社会活動家らに紹介され、爆発的な広まりを見せたという。



エンタテインメント・ライオンズ・フォー・ゲーミング部門

THE EVERYDAY TACTICIAN

XBOX
MCCANN, LONDON
UNITED KINGDOM

「Football Manager」はサッカークラブ運営シミュレーションゲーム。世界中のサッカークラブの"総監督”として、選手の獲得や育成、試合での戦術指示などを擬似体験できる。その2024年版の発売にあたり、イングランドのナショナルリーグ(5部)に所属する「ブロムリーFC」は、ゲームを“人材採用”のツールとして活用、データを駆使する戦術家(才能あるゲーマー)を雇うことにした。

資金が豊富なプレミアリーグ(1部)のチームと異なり、ナショナルリーグのチームにはデータ分析に力を入れる余裕がない。一方、毎日相当な時間をサッカーチーム運営ゲームに費やし、戦術家としてのスキルを身につけてしまった猛者(The Every Day Tactician)がいるだろう。XBOXがサポートして、両者をマッチングするアイデアだった。

サッカーとゲームのコミュニティはこの企画に盛り上がり、エントリーが殺到、1人のゲーマーが仕事を得た。ウェンブリー・スタジアムのツアーガイドでもあるネイサン・オウォラビだ。その戦術家はゲームのデータを使ってクラブにアドバイスを行い、132年の歴史で初めてブロムリーFCがEFL2(4部リーグ)に昇格する偉業に貢献した。


エンタテインメント・ライオンズ・フォー・ミュージック部門


ERRATA AT 88

DIAEGO/JOHNNIE WALKER
ALMAPBBDO, SAO PAULO
BRAZIL

ERRATA at 88
歌手生活70念を振り返る新聞広告

1962年、カーネギー・ホールでの歴史的公演が、ボサノヴァが世界に広まるきっかけをつくった。しかし、そのステージに呼ばれたのは白人男性のミュージシャンがメインで、ブラジルで最も偉大な歌手の一人であり、ボサノヴァ創始者の一人でもあるアライデ・コスタは招待すらされなかった。「黒人女性はサンバを歌うべき」という偏見は根強く、ボサノヴァ歌手であった彼女のキャリアに影響を与えた。

"Keep Walking"のスローガンを掲げ、人生という旅を祝福するスコッチウイスキーのブランドとして、ジョニー・ウォーカーはこの歴史的過ちを正すことにした。ブラジル最大手の新聞の広告枠を見開きで購入し、彼女のキャリアを讃えるための“訂正広告”を出稿した。広告は話題となり、多くの有名人を含む何百万人もの人々にSNSでシェアされた。

その後、ジョニー・ウォーカーは、1962年の歴史的コンサートを記念するメモリアル演奏会がカーネギーホールで開催されることを知り、アライデ・コスタの出演を後援。88歳にして彼女はそのステージに立ち、3分以上のスタンディング・オベーションを受けた。そしてボサノヴァへの彼女の功績が、米国の主要メディアを通して伝えられた。

エンタテインメント・ライオンズ・フォー・スポーツ部門


WOMEN'S FOOTBALL

ORANGE
MARCEL, PARIS
FRANCE

フランスの女子サッカーチームは、5度目のワールドカップ(FIFA Women's World Cup)に出場した。しかし、大会の数週間前まで、どのメディアもこの大会の放映権を買おうとしていなかった。

熱狂的なサッカーファンが多いフランスで、女子サッカーが熱狂から取り残されている理由のひとつは、技術力に対する偏見だ。24年にわたりサッカーにスポンサードしてきた通信企業「オレンジ」にとって、この課題は看過できないものだった。

先入観を覆すために、オレンジは“トロイの木馬作戦”を取った。このビデオの前半パートを見た視聴者は、ムバッペ、ジルー、グリーズマンなどの華麗なプレーを見ていると思うが、実はそうではない。VFXの効果により、フランス女子チームのテクニカルな動きを“偽装”したものだ。男子選手のプレイだと思いこんでいた人々は、やがてそれが女子選手の動きだったことを知り、みずからのステレオタイプに気づくことになる。

動画は当初Xのみに公開。まず前半(男子選手に“偽装”した女子選手のテクニカルな動き)を投稿し、数時間後に全編を投稿することで種明かしをした。ツイートから1日以内に、8つの主要メディアがこのキャンペーンを取り上げ、動画はヨーロッパを皮切りに世界中に広まった。

デザイン部門


SIGHTWALKS

SOL CEMENT
CIRCUS GREY, LIMA 
PERU

SIGHTWALKS

触覚舗装は、視覚障害者の歩行をサポートする世界共通のシステム。セメント上に盛り上がった線と点で構成されるこのシステムは、前進や停止の位置を教えてくれる。だが、周囲に何があるのかまでは知ることができない。ペルーのセメント会社「SOLセメント」は、この課題への取り組みとして、触覚サインシステムをリ・デザインした。

例えば、1本の線をたたくと目の前にはレストラン。2本の線があれば銀行、3本あれば食料品店ーーというように。これにより視覚障害者は杖で歩道をたたくだけで、目の前にどのようなサービスや店舗があるかを認識できる。SOLセメントはこのシステムを、ペルーでも賑やかな地区として知られるミラフローレス全域に設置した。

デジタル・クラフト部門


SPREADBEATS

SPOTIFY
FCB NEW YORK
USA


2023年、スポティファイは新しい動画広告ユニットをリリースした。しかし、メディアプランナーや広告主は、Spotifyをオーディオプラットフォームと認識している。メディアプランナーがRFP(広告依頼の提案依頼書)を作成するとき、TikTokやYouTubeなどに比して、Spotifyは有利な立場にいるとは言い難い。オーディオ広告向けのメディアプランを要求されてしまう。

そこで同社は、Spotify広告がデジタルオーディオを超えたものであることを示すため、アーティストのジョン・サミットの協力も得て、メディアプランナーが広告購入を検討する際に多くの時間を費やす場所、つまりスプレッドシート上を"メディア”と捉え、Spotifyの営業チームがクライアントに送信するエクセルファイルに4分間のミュージックビデオをコーディングした。


フィルム・クラフト部門


THE SQUARE METER

HORNBACH D.I.Y.+ HOME IMPROVEMENT SUPERSTORES
HEIMAT\TBWA, BERLIN+REVOLVER,SYDNEY
GERMANY

HORNBACH(ホーンバック)は、ドイツを中心に展開するDIY愛好家のためのホームセンター。だが、世界的インフレの中で家賃は高騰、DIYを満喫できるほどの広さの住居に暮らせる人は少なくなっている。この状況に活路を見出すため、HORNBACHは狭い部屋でもDIYを楽しめる方法を提案する必要があった。


インダストリー・クラフト部門


THE 100TH EDITION

FRANKFURTER ALLGEMEINE ZEITUNG
SCHOLZ & FRIENDS, BERLIN
GERMANY

THE 100TH EDITION


FRANKFURTER ALLGEMEINE ZEITUNG(フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング紙/F.A.Z)は、ドイツの著名な日刊紙。同紙の名物キャンペーンに、その時代の顔(政治家や経営者、学者、アーティスト、スポーツ選手ら)が、新聞を読んでいるひとコマを、顔が紙面の後ろに隠れた状態で撮影するシリーズがある。ロケもその人を象徴する場所で行われる。キャッチフレーズは「その背後に、いつも賢明な心がある」。

その企画の100回記念には、ホロコーストを生き延びたマルゴ・フリードレンダー(102歳)が起用された。ロケーションはベルリンの「ホロコースト追悼碑」。2万㎡の広い敷地にコンクリート製の石碑2711基がグリッド状に並んでいる。撮影は映画監督のヴィム・ベンダースが手がけた。「人種差別や反ユダヤ主義が再燃する時代への力強い意思表明」として、1月27日のホロコースト記念日に発表された。


連日こんな感じで目まぐるしく発表されていきます。今日のグランプリはサッカーものが多い印象ですね(3つ)。セミナーなどの情報はまたまとめてお伝えしたいと。

では、今日はこんなところで。


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