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カンヌライオンズ2022速報 by 銀河ライター【1日目】

ヘルスライオン、アウトドア部門などの結果が発表に。ゼレンスキーさんもやって来た(動画で)。


SNSでカンヌ・ライオンズのアワード速報をやり始めて早10年超(SINCE 2010)。今年は本文をこちらに引っ越します。

カンヌライオンズ会期中はほぼ連日、早朝4時ごろ公開 (※日本時間で。現地時間では21時頃になります)。

記事公開のお知らせは、筆者のTwitterとFBにて。内容は徐々にアップデート。帰国したら、長めのレポートもどこかに書きます。

さて、3年ぶりの現地開催となったカンヌ・ライオンズ。今日はヘルス系部門を中心に計5つの部門+スペシャルアワードが発表になりました。

セミナーも多数開催されています。

「ウクライナのクリエイティブ」をテーマにしたセミナーでは、同国の4人のクリエイターとともに、ゼレンスキー大統領がビデオ出演(上の写真※筆者撮影)。世界のクリエイティブ・コミュニティに、ウクライナへの支援を呼びかけました。

カンヌライオンズ2022でビデオスピーチするゼレンスキー大統領(撮影:著者)

ウクライナのクリエイターの活動に関しては、以下の拙記事もご参考に。

セミナーに関してはこんなところで。以下は受賞速報です。例年通り、グランプリをメインに紹介と簡単な解説を付けていきます。

※動画下のクレジットは施策タイトル、企業名(ブランド)/商品名、企画+制作会社、エントリー国の順です。


ヘルス&ウェルネス部門

The Killer Pack
Maxx Flash/Maxx Flash Mosquito Repellent Coil
VML Y&R,Mumbai
India

インドでは、モンスーンの季節でないにもかかわらず、デング熱やマラリアなどの伝染病の発生が過去最高となった。インドの人々は蚊取り線香をよく使うが、家に入った蚊を退治しても根本的な解決にはならない。ゴミ集積場がこれらの病気の温床になっていることがわかったからだ。

そこで蚊取り線香のブランドであるMaxx Flashは、「The Killer Pack(蚊取りパッケージ)」を開発。100%生分解可能な革新的なパッケージには、5%の活性プロバイオティクス他が含まれており、ゴミ捨て場、ごみ箱、滞留水などに"捨てるだけ"で蚊の幼虫を殺し、悪循環を断ち切るのに役立つ。

つまり、家内では蚊取り線香としてワークし、ゴミとなるパッケージは屋外でワークするーーというアイデア。実際キラーパックを使用した地域では、病気を引き起こす幼虫の数が減少したという。

Salaya, Mevasa, and Bhunga Okhaの町では、マラリアの原因となるハマダラ蚊がそれぞれ82%、59%、76%減少。Jamdeveliya、Bhanvad、Movanの町では、デング熱の原因となるヤブ蚊の幼虫が68%、42%、38%減少したと報告されている。

ファーマ部門 

I will always be me
Dell Technologies and Intel
VML Y&R,New York
USA

デル・テクノロジーズとインテルが共同で行った「I Will Always Be Me」プロジェクト。ALSに代表される「運動ニューロン疾患(MND)」と共に生きる人々の多くは、発話が次第に困難になっていく。「私であり続けたい」という思いは切実だ。

声を記録しておき、デジタルボイスとして活用することは技術的には可能。しかし、様々な理由から自身の声を記録する人は、MND疾患者の12%にとどまるというデータもある。

このプロジェクトでは、その人たちが経験している現実を理解するのに役立つ物語(絵本)を参加型で制作。世間にシェアする目的のもと、MND疾患者の協力を得て、朗読(声)を記録し、デジタルボイス化した。

そのことでMND疾患者には声を残すことの意義を伝え、さらには「私であり続ける」ことの意味を広く社会に考えてもらおうとした。

プロジェクトサイトはこちら↓


アウトドア部門

Liquid Billboard
Adidas/Swimwear
Havas Middle east,Dubai
United Arab Emirates

世界トータルで見て、女性の32%がパブリックな場での水泳に、恥ずかしさや居心地の悪さを感じており、中東ではその数は約3倍になるという。

アディダスはインクルージブな水着の新コレクションを発表するタイミングで、ドバイに世界初の"泳げるビルボード広告"を制作、広く"出演者"を募って公開イベントを行った。

ビルボード広告では、モデルやアスリートの姿ばかりを目にしてきた女性たちが、勇気をふるって人前で泳ぎのデモンストレーションを行い、その模様が様々なメディアで紹介された。

プリント&出版部門

※動画は以下のサイトよりご覧いただけます。

The Elections Edition
AnNahar Newspaper
Impact BBDO,Dubai
United Arab Emirates

2021年。レバノンでは支持率の低い現政権が総選挙の延期を行おうとしていた。選挙を先延ばしにすることで、権力を維持したいのだと多くの人が推測した。なぜなら延期の理由が強引。「投票用紙を印刷するためのインクと紙が不足しているから」という理由さえ挙げられていた。

この理不尽に対して、アラビア語新聞「アンナハール」は、候補者や政策について報道する選挙特集の紙面をオールデジタルに移行、本来新聞の印刷に用いる予定だった紙とインクを投票用紙用として、政府系印刷会社に提供した。それだけでレバノンの全投票人口をカバーするのに十分な量だった。

ラジオ&オーディオ部門

The unfiltered history tour
Vice Media/British Museum
Dentsu creative,Bengaluruほか
India

ロゼッタ・ストーンやモアイ像など、大英博物館が所蔵する"略奪遺物"を巡るゲリラ・ツアー。Instagramの拡張現実フィルターを使って、来館者が博物館内で"お宝(現在係争中)"をスキャンすると、それらがよその国から「どういった経緯でイギリスへ運ばれてきたのか?(つまり略奪されたのか?)」の裏ストーリーを迫力ある映像とオーディオ解説で知ることができる。

映像は黒澤明のモノクロ映画(いわゆる黒澤モード)にインスパイアされ、専門家が語るエモーショナルなストーリーにマッチするようにデザインされている。

大英博物館に行けない人々のため、特設ウェブサイトも制作。こちらでも臨場感あふれるオーディオツアーが体験できる。


グランプリ以外でも、今日はインドやパキスタン、中東諸国で実施されたキャンペーン及びプロジェクトが目立っていた印象です。

スペシャルアワードやゴールド(金賞)などの施策にも、興味深い施策がたくさんありますので、時間に余裕ができたら、そのあたり徐々に補足していきたいと。

明日以降も発表&イベントが目白押しです。では、今日はこんなところで。

【2日目は以下】


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