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#018 「読んでいない本について堂々と語る方法」所感

視点が面白い書籍だったのでシェアです!

著者は大学の教授です。日頃講演する中、さまざまな書籍について「教授なら当然読んだことありますよね」というプレッシャーを感じています。また、読んだことのない書籍についてコメントを求められる場面に多数遭遇し、ついに「読んだことのない書籍について堂々と語る方法」を体得されたのです!

著者のPierre Bayard


何が知りたかったか


私は、本を読むというのはどういう状態なのか知りたかったので、この本を取ってみました。どこまで読めば、「読んだ」と納得できるのか。そのラインが知りたかったのです。「本を読むこと=最後のページまで目を通すこと」ではないことはわかっているのですが、最後まで読み続けないと罪悪感があるというか、やり残した感が残ってしまって後味が悪い気もします。積読本を増やしたくないですし、なるべく効率的に「よし、読んだ!」という感覚を味わいたかったのです。

つまり、

  • 本から価値を最大化する方法

  • 多様な本を効率的に消化する方法

  • 「すべてのページに目を通す読了」が果たして重要かどうか

  • 本を読むとはどういう変化が自分にあるのか。

について知りたかったです。


本書の目次


1 未読の諸段階
(「読んでいない」にも色々あって…)
(ぜんぜん読んだことのない本;ざっと読んだ(流し読みをした)ことがある本、人から聞いたことがある本、読んだことはあるが忘れてしまった本)

2 どんな状況でコメントするのか
(大勢の人の前で;教師の面前で;作家を前にして;愛する人の前で)

3 心がまえ
(気後れしない;自分の考えを押しつける;本をでっち上げる;自分自身について語る)

結び

目次はこんな感じでした。「読んでいない状態」について深掘りすることで、「読んだ状態」とは何かを考察していくような流れでした。個人的には1章目の「未読の諸段階」が1番参考になりました。

著者は大学の教授であるため、さまざまなシチュエーション別に「読んでいない本について堂々と語る方法」を説明してくれています。また、心構えについても語っています。


未読の状態を分類する

一口に読んでいないと言っても、さまざまなパターンがあります。

以下は、「読んでいない状態」を大きく4つに分類しています

「全く読んだことのない本」についてどこまで語ることができるか

大事なのは、1冊1冊の書籍を読むことではなく、すべての書物について「全体の見晴らし」を掴んでいるということである

第1章に出てくるムージルの司書は膨大な書籍に囲まれていますが、これまでの人生で1冊も読んだことがないと言います。しかし、書籍の目次だけは目を通しており、書籍間の関係は熟知しています

読む前に「くだらないからやめておこう」とか「大体こういう内容だから知っている」と思って手放した経験はないでしょうか。それは、全く読んだことのない本であるけども、ある程度内容がわかるからです


「ざっと読んだことがある本」に対して語る際の心構え


ざっと読んだことがある本に対して、バイヤールは割と強気でいて大丈夫と伝えています。以下は、バイヤーるの意見の抜粋です。


  1. 自信を持つこと ざっと読んだ程度でも、その本について語る権利は十分にあると考えること。本を完璧に理解している必要はない。

  2. 創造的に語ること 断片的な情報をもとに、自分なりの解釈を加えて本の内容を再構成すること。これにより、独自の視点を提供できる。

  3. 話題をずらすこと 本の内容について深く突っ込まれそうになったら、話題を関連するテーマに巧みにずらすこと。これにより、自分の知識不足を隠せる。

  4. 曖昧な表現を使うこと 「〜のように思われる」「〜ということだろう」など、断定を避ける言い回しを使うこと。これにより、詳しく読んでいないことを悟られにくくなる。

  5. 自分の感想を中心に語ること 本の客観的な内容よりも、自分が受けた印象や感想を語ること。これにより、主観的な解釈を前面に出せる。


いや、ずるいでしょ!!となんとなく良心がくすぐられるような感覚になります。特に3番〜5番は、完全に読者から話を逸らすためのテクニックであり、質問者が詳細に質問してきた場合は回避できません。

しかし、1番と2番は概ね理解できます。本を読むという行為は、必ず積極的な姿勢が必要で、「〜〜について知りたい」という欲求が先立ちます。したがって、知りたいことがわかった時点で読書は終了して差し支えはないはずです

もっと具体的には、概ね以下の5つのどれかが達成された時点で読書は終了して良いと思われます。

より具体的に図解すると、こんな感じです。


問いを持つことが読書の近道


闇雲に図書館にある本を片っ端から読むのには、人生という期間が短すぎます。1日1冊読んだとしても、年間400冊程度。70年読書するにしても、多く見積もっても人生で3万冊程度しか読むことができません。しかし、2000年台だと毎年7万冊が出版されるほか、過去の書籍を含めるとすべての書籍を到底読み切ることはできません

そこで、「知りたいことベースで書籍を読み漁る」スタンスがとても重要となってくると思います。

そもそも、知りたいことの解決策は読書ではないかもしれません。本を読んで解決する以外の方法も模索してみると良いかもしれません。


結論
「読んでいない本について意見を求められた時の心構え」についての私見


こんなことを言ってしまっては元も子もありませんが・・・

いや、正直に「読んでないのでよく分かりません」という回答で良いのではないでしょうか。

大学の教授なので確かに本をたくさん読んでそう、という期待を込めて質問されますが、自分の虚像を大変な労力をかけて保つよりは、「よく分かりません」と正直に伝える方がよっぽど人間らしいような気がしました。

※決して著者批判ではなくただのコメントです。

私的には、「本を読む前に知りたいことをリストアップする」「答えが見つかった時点で読書を終了する」のが1番の読書のプラクティスだと思いました。


というのが今回の読書レポートでした。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
皆さんの読書に対する工夫、ぜひ知りたいです。

おしまい。

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