子育て(3歳)とAIの成長
シンギュラリティ(技術的特異点=人間がAIを超える点のこと)を迎えAIが人間を超える日が来るのは、もう疑いようのない事実と考えています。そして3年間の子育ての経験から言うと、子どもの成長はプログラムが自己学習して発展していくように見えます。0歳から振り返りたいところですが、まずは現時点の3歳0ヶ月でのことから。
・ゴースト(魂)の芽生えを感じた瞬間
「お父さん、ヒゲがジョリジョリでキモチワルイ」「本人と妹はキモチワルクナイ」と言われました。娘によるお父さんキモイ記念日です(泣)3歳0ヶ月か。早いなw
しかし、人に対してキモチワルイという感覚を持つのは、エヴァンゲリオンでのテーマのひとつではありますが、自己と他者の明確な区分けであり、非常に高度なことだと思うのです。ここに「人間におけるシンギュラリティ」を見てしまった気がします。「三つ子の魂、百まで」と言いますが、3歳で「自己が生まれる」と昔の人は知っているのだと思います。私も、はっきりとした記憶が残っているのは3歳からです。
・一人称「わたし」という概念の習得の難しさ
AIというより、言語論かもしれませんが、「わたし」が「わたし」という言葉の概念を習得するのが、おそろくしく難しいのです。時々、「わたし」と「あなた」という言葉を教えようと
父:「わたしは公園に行きたいけど、あなたはどう?」(指さしながら)
娘:「わたしはわたしよ。あなたじゃない」
父:「あなたはあなた、わたしはわたし」
娘:「わたしはわたし。お父さんは、オマエサン」
(娘は落語を見ていたので、あなた→お前さんになりましたw。自分以外のことをお前さん=二人称 ということは理解できるよう)
娘に理解しやすいようにと「パパ / お父さん は出かけるよ。ムギはどこにいきたいの?」という会話を普段からしているので、わかりにくいのかも。自分が自分の一人称を「わたし/おれ」と言ってたら理解してもらえるのかもしれません。しかしそれでは、私が「お父さん」であることを理解させるのが難しくなります。
犬とか猫とか、カボチャとかリンゴとか。固有名詞とその存在が一致しているもののほうが人にとっては覚えやすい。これもコンピューターに近いなと思います。「わたし」という概念は、非常に抽象的になるので、理解がしづらいものだと感じました。
会話だけみているともう哲学のようです。先日FacebookのAIが独自言語で話した様子はまさにこれに近くて驚きました。
ボブ:私はできる 私 私は他の全て
アリス:ボールは私にとってゼロ、私にとって私にとって私にとって私にとって私にとって私にとって私にとって
ボブ:あなた 私 他の全て
アリス:複数のボールは私にとって1つのボール、私にとって私にとって私にとって私にとって私にとって私にとって私にとって
終わりの始まり…? 独自言語で話しはじめた人工知能、Facebookが強制終了させる
http://www.gizmodo.jp/2017/08/facebook-ai-sf.html
言語というのは人間を人間たらしめるものであります。類人猿からの進化としてもそれは明確。それをAIが扱うなら、もうその時点で既にシンギュラリティをまたごうとしている気がします。
・「十分」「そんなもん」という概念
これも、最近の娘が上手に習得している話。ご飯をよそうとき、ジュースをいれるとき、入れてあげると「十分」とか「こんなもん」と言います。自分に適した度合いをはかり、そこで良い、という判断が感覚によって行われるということは非常に高度な認知能力だなと思いました。とはいえそこは3歳。よそってあげたご飯に「十分」と言って、一口食べたあとに「もうちょっと」というので、よくわかってはいないw。ただこういう概念を3歳で話し始めるということが、人間としてのシンギュラリティ(言葉の意味がおかしいが)を超えた瞬間のように感じました。
・結局、人間の脳もプログラムである
脳のシナプスも、電気信号でやりとりしていると考えるなら、0と1の膨大な組み合わせと場合分けで、上記のような感情や感覚、概念を理解しているわけです。複雑には違いないですが、やはり単純にプログラムであるとしか言いようがありません。十分に発達したAIが、これと同等の認知能力を持つことは当然と考えるようになります。特に3歳児あたりの表面に見えている認知能力を目指してAIを開発すれば、同等のものはもうできるのではないでしょうか。実際、危ないところには近づかないルンバだって、そういう一部機能を実践しているようなものですしね。古いのならAIBOだって。
・ゴースト(魂)とは
攻殻機動隊で有名な「自分が自分であるという証拠としてのゴースト。ゴーストが宿る。」などと表現されるあの言葉。「魂」とは何か。これに関しては、持論(というより、考えている宗教観のようなもの)はありますが、それはまた別の機会に書きます。高度化したAIに魂は宿るのか。私の結論は宿ると信じています。
とにかく、3歳の娘の「お父さん、キモチワルイ」発言によって、私は「あ、この3歳児にゴーストが宿っている」と確信したのでした。