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コミュニティはNPSスコアが役に立たなくなって、はじめてコミュニティになる。

『NPSはコミュニティやサードプレイスの評価には不向きである』コミュニティ運営をするようになってから、よく耳にしていて、まぁそうなのかなと思っていたんですよね。でも『なぜ』かがわからなくて、もやもやしていたので、実際に自分のコミュニティで測定しながら考えてみたんですね。

それから2年以上経って、ようやく納得のいく答えが見えてきたので記事にまとめておこうと思いました。あの、先に言っておくと、『NPSスコアはコミュニティの評価には不向きである。けれどNPSマーケティングの手法自体は役に立つ』というのが結論の話です。

それでは始めます。今回もよろしくお願いします。

■NPS(ネット プロモーター スコア)について

NPS自体が何かという話は以前noteにまとめてあるのでぜひ読んでもらいたいと思います。ちなみに記事を書いたときもNPSを扱うことの難しさはうっすら感じていたんですよね…。

簡単に説明しておくと、『あなたにとって所属コミュニティのおすすめ度は11段階でどのくらいですか?』という質問をしてスコアを出すというものです。このスコアを定期的に出しながら、組織の評価をしていくんです。

NPS測定はサービス業やメーカーを中心に世界中の企業で取り入れられていて、同業他社とスコアを比較しながらサービスや企業風土を磨くきっかけになっています。そんな流れの中、セミナーやコミュニティもNPSを使って評価をしようという動きが起こりました。

もう少しだけ説明させてください。なぜコミュニティでNPSをとるようになったかというと、コミュニティには場としての評価の方法が少ないという現状があります。定期的にイベントを行っているならイベント満足度を測定したり、参加人数を数えたりするわけなのですが、満足度や参加人数は参加者の瞬間的な感情に影響されすく、ゲストやイベントコンテンツによっても左右されてしまう。測定したいことにピタリと合わないのです。確かに、場の評価が毎月大きく変わるのって違和感ありありですよね。対して、NPSはイベントのタイミングを外して、メール一本で測定する手法をとるのでフラットに回答者からの評価を受けることができると言われています。

また企業が運営するコミュニティに関していうと別の背景もあります。コミュニティ事業への投資を続けてもらうために評価が必要。という事情です。多くの場合、コミュニティ事業は売上の柱になっておらず、投資案件であることが多いです。すると投資余力があるうちは良いのですが、コロナが流行したりして利益確保が厳しくなる事態では真っ先に予算打ち切りとなります。こういうときに限って企業では短期業績の見込みがあるかを問われるんですよね。コミュニティ事業は手間と時間がとてもかかるので緊急事態には弱いんです。(これで涙をのむコミュニティ担当者は多い)

そんな中、決済者とコミュニケーションを取りにいこうという担当者さんは、決裁者を説得するために、評価指標を立てたりしてコミュニティの価値の証明や必然性を説きにいくことになります。そこで多く選ばれているのが、他の部門でも使われていることが多いNPSスコアというわけです。同じモノサシを使うと説得しやすいですよね。あ、説明が難しくなってしまったな…。

話を戻すと、僕もコミュニティの評価にNPS測定を取り入れていきました。評価KPIにするのは違和感があったので、モニタリング指標として設定して運用していきます。

■NPSスコアからコミュニティ分析をスタート

僕は3ヶ月に1回のペースでコミュニティのNPSをとっていきました。スコアは22~30くらいを行ったりきたりしていて、カメラ業界ではヨドバシカメラと同じくらいのオススメ度合いだとざっくり捉えられるように。ヨドバシカメラって好きな人めっちゃ好きですよね。うちのコミュニティもそんな感じか、なるほど。ということをやっていきます。

大事なのはフリーコメントですね。NPS活用の本質はスコアを高めることではなく、各スコアを出している人の声を拾って運営のヒントに活かすところにあります。このひとつひとつの声は運営チームにとってはとてもありがたいものです。

コルクラボの場合は、低スコアをつけている人ほどフリーコメントを沢山入れてくれる傾向があって、コミュニティに対する期待や要望、メンバー自身がどう向き合っているかが生々しく伝わってきます。

その頃、コルクラボの状態はというと新メンバー募集の際にリファラル採用(友人紹介採用)を積極的にやっていたんですよね。200人くらいまでの拡大は元々の風土と人間関係の濃さを保ったまま大きくしたいと考えていたので、リファラルはちょうどよかったんですよね。ほら『良い人の知り合いは良い人』というじゃないですか。その採用方針を踏まえるとNPSはフィット感があるようにも見えてきます。内部のメンバーにとってのオススメ度合いが高くなれば、リファラルも盛んになりそうですよね。僕もこれはやりたきことと、打ち手とモニタリングがきれいにそろっているなと喜んでいたんです。こうして1年くらいの時が流れていきます。

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■1年経つとスコアとコメントに変化が

NPSをとり始めて1年がたち、運営のPDCAをまわす型が出来た頃、スコアとコメントに変化が出てきます。なんと、スコアがだんだん下がってくるという事態です。内部のメンバーと話をすると『以前より居心地が良くなったよね』と言われるのにスコアが下がる。これは一体…。ちなみにリファラル採用にも勢いが無くなってきて、一般採用での募集枠がどんどん増えていきます。あわわわわ、これは一体…。

そこで、データをじっくりみていくことにしたのですが、コメント欄にある言葉が増えていることに気づきます。

■ワード分析によって明らかになる現実

メンバーからのフリーコメントをキーワード分析にかけて、スコアの大小によって使われやすい単語や概念が存在するのかを見ていくんですね。すると出るわ出るわ、ぶんじん(分人)というワードです。

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★ぶんじん(分人)=同じ人でも所属する組織やコミュニティによって、違うキャラが存在する。

『分人』はコミュニティ内で共通言語になっているということもあり、影響している部分もありますが、推奨度が高くても低くでもこのワードが出てくるようになったんですね。代表的なコメントがこれ。『居心地がよくて自然体でいられるからこそ、知り合いにはおすすめしたくない(NPS回答スコア低)』

うわ~~~~~(色んな感情が混ざった心の声)

満足度が高いからこそ、オススメ度が下がるという現実が浮き彫りに。これかぁ。確かにここ1年くらいは新規メンバー採用をゆっくりと行い、メンバー同士が仲良くなるためのコンテンツや、自分の内面をさらけ出す(掘り起こす)ワークショップを沢山やってきたんですよね。おまけに本もできた。

おかげでメンバー同士がかなり仲のいい組織になった。身近な人には見せていない一面も出している人が多いんだろうな。なんかわかる。

仮説含めてこれらを整理すると、コミュニティは立ち上げからしばらくはNPSスコアが上がっていくが、あるタイミングから下がることがある。ということ。

コミュニティの立ち上げ期はまだ内部のコミュニケーションが活発ではなくて、イベントの評価がNPSスコアに影響を与えることがある。この時点のコミュニケーションはイベントの話者と参加者という『1:N』構造になりやすく、これはサービス業の構造に近い。よってNPSスコアが活用可能な状態と言える。また、仕組みが整うと快適に過ごせる(ふるまえる)ようになるので、NPSスコアは上がっていく。

一方、ある程度風土ができて、コミュニケーションや人間関係が濃くなってくるとコミュニケーションが『N:N』構造へと変わっていく。参加者が相互に関わり合ったり、同じPJを組むことによって関係は深まっていく。自身のさらけ出しも進み、インフラの快適さとは異なる『居心地の良さ』が場に産まれてくる。このフェースに来るとコミュニティとしては成熟してくるんだけど、参加者の『身近な人に分人知られたくない』感情が影響してNPSスコアは下がってくることがある。

よし、なんとなくまとまりましたね。NPSスコアが使えねぇ~~~と頭を抱えるようになったらそのコミュニティは成熟してきた。そういうことなのだと思います。

では、評価指標はどうするの?それはまたの機会に書こうと思います!

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最後までnoteを読んで下さりありがとうございました!

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