産後1ヶ月に仕事復帰したらゴルゴになった ー子育てフリーランス11話ー
妊娠・出産・育児と夫の関係に向き合い、試行錯誤しながら「いい感じ」の働き方にたどり着くまでの赤裸々エッセイ。著書「子育てしながらフリーランス」の原作。火・金更新！
ー出産して一休みした後ー
一枚のスケジュールが渡されました。
そこには、たくさんの検査や赤ちゃんのお世話研修でビッシリ。
さらには…
1時間おきにミルクや、おむつを替え！
後陣痛の痛みや、縫った股の痛み！
慣れない授乳で乳首がとれそう！
ホルモンの関係なのか、眠くても眠れない！
産後が、ここまでハードだったとは…！
全然、知りませんでした…！
産んだら、もっと楽になるだろうと思っていました…！
赤ちゃんはとてもとても可愛いのです。
ずっと見ていても飽きません。
というか、目を離してるうちに、どうかなってないか心配で寝れない…
これは…
産後がこんなに辛いと言うことを知らずに私は、とんでもないことをしたことに気付きました。
出産前…、週刊連載のお仕事を気軽に受けてしまったことを…
こんな状態で、仕事にすぐ復帰できるわけがない…！
そんな不安を抱えたまま私は退院の日を迎えました。
私は1週間ぶりに自宅に帰りました。
新しい家族の、息子、ソーちゃんと一緒に。
里帰りはしませんでした。
私が幼少期にいい思い出がなく、父は神経質、母も持病があったので。
また、生まれたばかりで一番手がかかる時期に、夫と一緒に育てたいと言う気持ちもありました。
お互いの両親には、たまにお手伝いに来てもらうことにしました。
夫は、息子と一緒に暮らすことが嬉しそうでした。
そして、ハードな新生児との生活が始まりました。
検査などがない分、入院中より自由に過ごせるけど、何かあったときに頼れる人がいないのは不安で、家に帰ってきてからの方が子どもから目を離せなくなりました。
産後の情緒不安定さも加わり、夫婦でぶつかることも増えました。
産後ホルモン、貧血、寝不足…。特に寝ることが大好きな私は不眠がものすごくストレスで、夫にイライラすることが増えました。
一度、怒り出すと止まらなくなる夫への不満…！
私はめっちゃ切れました。
「夫が慣れない家事をして結果が出ない時でも、頑張ってくれたことに感謝しよう」って、ついこの前お話ししたところですけど。
もう、あの頃の私とは別人です。
今思えば、「産後だから」と理由がわかるけど、当時は自覚なし。
なぜかわからないけど、イライラする…体も心もとても辛い。
特に、子どものこととなると、余計に我慢できない。
これが母性本能てやつなのか！？
「ピンポーン」
インターホンがなりました。
こんなインターホン一つでさえ…
警戒心マックスになってしまいました。
息子は可愛い。
とてつもなく可愛い。
なんかちょっと髪の毛はげてきたけど可愛い。
だけど…
なんて、か弱い生き物なんだろう。
子供のことを心配しすぎて…
もう私が「私」じゃない。
「兵士」のようになっていました。
そして…
PLLLLLPLLLLL
次は電話が鳴りました。
産前に引き受けた、週刊連載の編集担当からでした。
目標だった週刊連載！
私は産後１ヶ月後に、仕事を復帰することを決めました。
それには理由があったのです。
テレビ越しに見る芸能人が「産後１ヶ月で余裕で復帰してる」からイケるはず！と…。
ーそして１ヶ月後ー
私は相変わらずボロボロでした。
私は芸能人に騙され（たと勝手に思い込んで）、産後１ヶ月で復帰したことを悔やみました。
あれはアテにならない。全くアテにならない。ライフスタイルの次元が違う。
チクッ
この頃、小さな胸の痛みが続いていました。
だけど、そんなことに気を留める余裕はなく…。
私は目標だった週刊誌の仕事をすることで頭がいっぱいでした。
夜の９時になっても夫は帰ってきませんでした。
PLLLLL
PLLLLL
PLLLLL
電話をかけても応答なし。
メールの返信もない…。
そして、夜の12時になり、ようやく夫が帰ってきました。
私は夫を問い詰めてしまいました。
イライライライラ。
苛立ちが止まらない。
被害妄想が止まらない。
言葉がもう止まらない。
夫の言葉に私は…
夫は話そうとしてくれないし、イライラは止まらないけど
明日納品の仕事は待ってくれない…！
夫と言い争っていると、ソーちゃんが泣き出してしまいました。
思っていたことをぶちまけたはずなのに、なぜか心はスッキリしない。
モヤモヤする。
モヤモヤが溢れてくる。
もうなんで悲しいのかもわからないくらい、眠くて…。
息子の泣き声につられて、私も感情が溢れ出てしまいました。
私と息子はしばらく泣き続け…
泣き疲れて眠りかけた頃…
…ズキ
ズキズキ
ズッキィ！！！！！
胸が痛い！
燃えるように痛い！
パンパンに張っている！
マスクメロンのように張っている！
そして、その痛みは朝まで鎮まることはありませんでした。
夫と息子と一緒に、産後に入院していた病院に行きました。
すると…
私は「乳腺炎」と診断されました。
乳腺が炎症を起こし、痛みや熱感、腫れを伴う状態の症状。
これから母乳マッサージで、乳腺のつまりをとるという、なんともアナログな手法で私の胸を治すらしい…！
N田さんは母乳マッサージのプロフェッショナルと言う。
私は、N田さんに胸を揉みしだかれました。
後にも先にも、私の胸をあれだけ揉みしだいたのはN田さん、ただ一人…！
30分ほどマッサージを受けると…
あれ？？？
胸の痛みが治りました…！
私は、N田さんと病院に心から感謝しました。
授乳が安定するまでメンテナンスとして通うことにしました。
それにしても……
産む前も、産む時も、産んだ後もこんなに大変なんて…。
もう私の身も心もおっぱいもボロボロです…。
そして、帰宅後。
昨日は寝落ちしてしまい、そのまま乳腺炎になって病院に行き、気づけばお昼前。
週刊誌の漫画の納期まで、あと数時間しかない。
きっと今から作業しても間に合わない。
PLLLLLL
ガチャ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あれ？
意外と、いけた！いけたぞ！？
たまたま、理解ある編集さんだったのかもしれない。
たまたま、代わりの企画があったからかもしれない。
たまたま運がよかっただけかもしれない。
無理しなくてよかったんだ…。
でも、取引先に迷惑をかけたことは事実だから…
これからは正直に、最初から無理なもんは無理って伝えよう。
育児中は何が起こるかわからないから、余裕を持ってスケジュールを立てよう。
そこに、夫が現れ…
仲直りしました。はぁよかった、よかった。
と思ったら……
夫の様子がなんかおかしい…？
この人、こんなキャラだっけ？
私は育児に夢中で、夫が変わった「理由」に気づけていなかったのです…。
つづく
読んでいただきありがとうございます！今のカワグチだよ〜！
昔のカワグチ… 夫に対してなんてひどい扱い！！
今はこんなひどい扱いしてませんからね！！
一緒に仲良くマイクラダンジョンしてますよ！！
でもこうやって冷静になれるのも、今、ちゃんとしっかり睡眠をとって、考える時間があるからだと思います。
産後は睡眠不足やら、ホルモンやらで、別人格になっていました。
今思えば、夫もきっと疲れてたはずなのにね。 この話は、次回おいおい。
さぁ、怒涛の産後１ヶ月… この頃の記憶、おそらく封印したくてあんまりなかったんですけど… ほじくり出して書きました。
では恒例の〜「今の私から昔の私」に言いたいことー！！
みんな〜復唱してね〜！ セーのっ！
１、芸能人に騙されるな！産後半年は休もうマジで！
２、新生児育児中にウォーターサーバー買っときゃよかった！
３、事前に夫に「イライラしてるのはほぼ産後ホルモンのせい」と伝える！
１、芸能人に騙されるな！産後半年は休もうマジで！
産後１ヶ月で復帰とか、正気の沙汰とは思えないです。狂気の沙汰です。
でもそれくらい私は産後に無知でした。 産んだら終わりだと思ってた。
始まりですよ！出産は序章！！ 乳腺炎の痛みは、出産…とまでは行かないけど、出産の次くらい辛かった…。
でも、仕方ないですよね。赤ちゃんもこの世に生まれて数ヶ月は慣れませんよ。 授乳が始まったおっぱいもしかり。
個人的には、３ヶ月後くらいから、少しずつ睡眠できたり、生活に慣れて楽になりました。 仕事も、産後はできないのが普通ですから。
しばらく出血もするし、私は貧血も酷かったです。 これから書いていきますけど、産後のお母さんの体は本当に弱ってます。
絶対に無理しないでくださいね。そう、産後復帰の芸能人のマネしちゃダメです。 あの人たちは特別だからね！！
２、新生児育児中にウォーターサーバー買っときゃよかった！
もう本当に早く買えばよかった…。今でも、私がお茶を入れなくても子どもが勝手に飲んでくれるし、毎日学校に持っていく水筒の用意も楽だし、紅茶もコーヒーもカップラーメンも一瞬で作れるし、家族の一員だと思えるほど大切な存在です。
だけど！新生児の時にあったら！ミルク作るの超絶楽だったと思います！！ 過去の私に、ウォーターサーバー投げ捨てたいです。 あと、余裕がありましたらドラム式乾燥機付き洗濯機も。人生変わります。
３、事前に夫に「イライラしてるのはほぼ産後ホルモンのせい」と伝える！ 産後ホルモンって、「今からホルモン狂うからね〜！覚悟してね〜！」って呼び掛けたりしないんですよ。 当たり前だけど。知らない間に、自分が自分じゃなくなっていた。赤ちゃんを守るために…。
個人差あれど、私は産後、ゴルゴになりました。私自身も訳わからないままにゴルゴになってるんだから、夫なんてもっと訳わかんないですよね。 家の中に「ゴルゴおる！」みたいな。衝撃です。 もし事前に、「産後は、赤ちゃんを守ためのホルモンのせいで性格が変わってしまうかもしれない。 イライラしたらごめんね。」って伝えておけたら…夫も、私も、もう少し楽に育児ができたかもしれないと思います。
これだけ過去の自分に言いたいことあるけど、伝えることはできません。 でも、同じ経験をした人や、今、辛い思いをしている人、これから出産してフリーランスになる人に届くと嬉しいです。 じゃあ、またね〜！
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