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強欲な人は満足を知らない【きまぐれエッセイ】

人類の歴史を見てみると、多くの文明が富と権力の絶頂を極めた後に崩壊している。ローマ帝国やマヤ文明、さらにはオスマン帝国など、その例は枚挙にいとまがない。これらの文明は、満ちた状態を維持しようとあまりに努力しすぎて、自らの欲望に飲み込まれてしまったのだ。

満足を知ることが大切。
そうよね〜。でもでも、それってなかなか難しいわ。あたしも、中学時代は超ボサノヴァにハマっていたのにさ、大人になるにつれ徐々にロック路線に傾いていったし。欲望の対象が移り変わるのは当たり前のことじゃない?

ま、確かに一度贅沢に味を移してしまえば、それが常になっちゃうのよね。月給10万円で生活してた人が、20万円に上がれば、20万円の暮らしが当たり前になっちゃう。でも突然12万円に減ったら、「これじゃ生活できない!」って文句を言うわけ。

不思議なもんで、10万円の時は10万円で満足してたはずなのに、20万円の贅沢を経験したら、プラスの2万円よりマイナスの8万円の方が気になるってわけ。いいことずくめの20万円時代が、かえって12万円の不満を生んでしまうのよね。

たとえ金持ちになれても、その金に酔って高ぶるからあっという間に転落の運命を辿るに決まってるわ。満ち足りた者ほど、頂点から落ちるのが早いってことよ。だからあんた、金には気をつけなさい。金をたくさん持っちゃうと、どうしても金に支配される哀れな奴になっちゃうのよ。

世の中サイクリックだからね。春が夏になり、夏が秋へと移り変わるように、全ては循環するの。だから、あんたも金の亡者にならずに、お役目が済んだら素直に退場するのが一番。安穏と退場を心がけなさい。そうしないと、いつまでも金と名誉にすがっては、ろくな最期を迎えられないのよ。


[老子:第九章]


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