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無為の智慧:日常と仕事における自然な生き方【きまぐれエッセイ】

無為の実践

無為といっても、なあんにもしないでうすらばかのようにしているということではないんだ。

ことさらなことをしない、わざとらしいことをしない。
やることやったらそれでハイおしまい。やることなければ、やることがないやることがないとぶつぶついいながら歩き回らないでじっと静かにしてればいいじゃないか。

どんな些細なことでも大きなことでも、いつもとかわらず淡々と仕事をすすめてゆく。
人からみたら無意味なこと(利益にならないこと)でも心を込めてやる。いつもと変らず心を込めて小さな仕事をする。
大きな仕事を戴いたからといって阿ることもない。いつもと変らず心を込めて大きな仕事をする。

仕事をするのに意味などない。
仕事をやりたいからやる。ただそれだけのこと。

『セールスはモノを売るんじゃなくて自分を売るんだ』というけれど、自分を売ることなどしない。買いたいといっても自分は売らない。
それは自分が自分でなくなるから。

憂世には無借金経営の人もあろう、借金まみれになる人もあろう、分不相応なカネをつかむ人もあろう。借金があろうがなかろうが、カネがあろうがなかろうが、そんなことが問題ではない。

問題があるとすれば、やるべきことをやらないこと、やるべきときにやらないこと、やらなくていいことをやってしまう、ということなのだ。

余計なことをするな、余計なお世話だ、余計なお節介なのだ。

憂世では、国家天下の一大事を解決し、企業においては経営難を克服した人を有能と評するようだが、ほんとうの有能さは、『事が起こるまえに解決』できる人のことをいう。

どんなに天下を揺るがす大事件でもきっかけは些細なことから始まっているのが常である。
大きな偉業を成し遂げた人でもはじめから大きなことをしたのではなく、小さなことからこつこつと積み上げてきたのである。

安請け合いの人は次第に信頼を失うように、冗談やバカッ話ならいざしらず、仕事においていつも軽々しく安易なやり方をしているといつしか難儀なことになるものだ。

どんな小さな仕事でも単調な仕事でも安易に考えずナメてかからない。
小さなことでも先延ばしせず、事がややこしくなるまえに次々と処理をしていく。
ピンときたらゴー。
思い立ったら即行動。
サカイーヤスイーシゴトキッチリ!
これがタオの人の在り方だ。

自然の流れに身を任せ、無理なことをしない。
無為の姿勢だからこそ問題も悩みも不安もないのである。


無為を為し、無事を事とし、無味を味わう。
小を大とし、少を多とし、怨みに報ゆるに徳を以てす。
難を其の易に図り、大を其の細に為す。
天下の難事は、必ず易より作り、天下の大事は、必ず細より作る。
是を以て聖人は、終に大を為さず、故に能く其の大を為す。
夫れ軽諾は必ず信寡く、易しすること多ければ必ず難きこと多し。
是を以て聖人は猶お之を難しとす。故に終に難きこと無し。
[老子:第六十三章恩始]


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