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右から左へ受け流す唄~曲なれば則ち全うす【きまぐれエッセイ】

「曲全の教え」と称されるこの一句は、古代から伝わる知恵の真髄だ。これは、「柔弱謙下を持することの効用」を述べている。

樹木について考えてみる。まっすぐに成長する木は伐採されやすいが、曲がりくねる木はその形ゆえに伐採を免れることがある。そうして、長寿を全うする。

尺蠖之屈。以求信也。龍蛇之蟄。以存身也。
尺蠖の屈するは、以て信びんことを求むるなり。竜蛇の蟄するは、以て身を存せんとなり。

[易経:繋辞下伝]

尺取虫がからだを縮めるのは、次にからだをのばして前進しようとするためである。竜や蛇が冬の間、穴に潜むのはそうすることで、より長く生き伸びようとしてである。

自分を曲げる(譲る)ことを知らない(できない)人は、細い路地を車ですれ違うときでもそのまま直進しようとする。
スプーンをもって「マガレ!」

まっすぐに進もうとする人は、鬼の形相で手に汗を握りながら、ぶつからないようにぶつからないようにと、気を使うながら緊張して無駄な心身エネルギーを使いながら、ここでまたひとつストレスを溜め込んでいく。

一方賢い人は、相手車両を見たらできるだけ幅寄せして、静かに止まる。
にこにこしながら、ちょっと一服、余裕のよっちゃん。
スプーンをもって「メシアガレ~」

直線的な生き方より、曲線的な生き方のほうが楽なのである。

かといって、いつもくねくね曲がってばかりいては仕事がはかどらない。
やるときゃ、まっつぐ。仕事キッチリ。

席を譲る人ばかりでは誰も席につけないから、座席確保に、ババアまっしぐらもよいではないか。

道(タオ)を体得した者は、こんな憂世事には目もくれず、唯一の道(タオ)をしかと身に守り、世人のお手本となる。

自分の才能をひけらかさないから、かえって才能が明らかになる。
自分の正しさを言い張らないから、かえって正しさが認められる。
自身の功績を自慢しないから、かえって功績が讃えられる。
自身の地位を誇らないから、かえってその地位に長くとどまれる。

このように、道(タオ)を体得した者は常に謙虚で自己を主張せず、絶対に人と争うことをしない。
だからこそ、敵対する者は誰もいないのである。

不争の徳を身につけ、自我を曲げ、人の下位に居る。
争わないから敵もいない。
争わないから負けることもない。

勝ち組負け組みチイパッパ。
勝ってくるぞと板橋区。
買ってカブトのオスメスを。

負けないことが勝つことならば、これが真の勝利の道。

[老子第22章:曲則全]


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