困難女性支援パブコメ、公示から漏れたのは何か?厚労省回答速報

 「困難女性支援法」に関する2つのパブリック・コメントについて、4月に実施機関である厚生労働省と、パブリック・コメントを規定する行政手続法を所管する総務省に質問を行い、回答をいただきました。今回重ねての質問を行い、総務省に続いて厚労省からも回答を頂きましたので、先行して公開いたします。ご議論ご意見を頂ければ幸いです。
 本記事では私の考えは記載しません。これまでの質疑と合わせてのまとめはしばらくして投稿します。

4月のやり取りまとめ
https://note.com/kawadajigenaka/n/nbc897cf0fb1c
追加質問:総務省回答
https://note.com/kawadajigenaka/n/n4ad323c18205

なお、本やり取りは政治家女子48党、NHK党の「諸派党構想・政治版」を活用し、参議院議員・浜田聡先生事務所のご協力のもと実施しております。心より御礼申し上げます。
また、ご回答を頂きました厚労省、総務省の皆様に感謝申し上げます。

前置き


(前回記事、総務省追加質問と同じなので半分省略)
 本法は施行を来年四月に控えてこれから私たちの住まう各自治体にて実際の事業内容(対象、目標、体制、手段、実行者)の検討が始まるものであり、当該パブリック・コメントへの疑義、率直に申し上げれば行政手続法違反の可能性、は早急に晴らす必要があると考えております。本支援事業の検討を各自治体において円滑に進めるため、ご対応をよろしくお願いします。


◆厚労省 質問6+回答◆
【質問6】e-Govに公示された結果は意見全て(但し一部の非開示となる部分を除く)の趣旨を含み、かつ、それらに対して考慮した結果が含まれると解してよいか?
【回答】いただいたご意見の中には、「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律の施行に伴う関係法令(案)」及び「困難な問題を抱える女性への支援のための施策に関する基本的な方針(案)」の条文案そのもの等とは、直接的には関係のないもの等があるため、必ずしも全てを考慮した結果になっているものではございません

◆総務省への相当する質問+回答◆
【質問】パブリックコメントの結果としてe-Govにて公示されるものは、当該案件に寄せられた全ての意見(但し適正に除かれたものを含まない)の趣旨を含み、かつ、それらに対して考慮した結果が含まれると解してよいか?
【回答】記載いただきました解釈で問題ございません。


◆厚労省に対しての追加質問◆


(見やすさのため調整(段落調整、()付記、太字)しています)
8. 質問6の回答が示す、公示した結果が「必ずしも全てを考慮した結果になって」いない点について、「全てを考慮したが、公示すべきで無いと判断した部分は結果には含まれない」のか、「全てを考慮したわけではなく、よって公示された結果にも含まれない」のか、いずれであるか?あるいは、上記いずれでもない場合は文意をご説明願いたい。
 (なお、ここでの「全て」とは意見募集の要綱に沿ったものとし、そもそも行政手続法において意見として扱う必要のないもの、すなわち、「意見提出期間の終了後に提出されたもの」「命令等制定機関以外の者に提出されたもの」および「命令等の案以外についてのもの」は含まれないものとする。)

9. 質問6の回答について、「条文案そのものと直接的に関係のある」意見が公示された意見の一覧に含まれない場合があると解してよいか?

10. 上記9で質問する、「条文案そのものと直接的に関係のあるもの」のうち、公示された意見の一覧および結果に含まれないものがある場合、どのような理由でそれを公示から除いたのか?
 「提出意見を公示し又は公にすることにより第三者の利益を害するおそれがあるとき(総務省より)」以外の理由があれば示していただきたい。

11. 質問6の回答について、「条文案そのもの等」の「等」にはどのようなものが含まれるか?

12. 質問6の回答について、「直接的」「直接的には関係のない」とはそれぞれどのような意味か、具体的に伺いたい。

13. 質問6の回答について、「直接的には関係のないもの等」の「等」にはどのようなものが含まれるか?

14. 質問6の回答における『「(略)関係法令(案)」及び「(略)方針(案)」の条文案そのもの等とは、直接的には関係のないもの等』と判断されたものは、行政手続法に従って正当な理由によって公示から除かれたと考えてよいか?

15. 提出意見等を「公にする」手段、日程を改めて伺いたい。
あるいは、それらが決まっていない場合は次の2点を伺いたい。(1)現在の「公にする」ための検討状況、(2)いつまでに「公にする」かの目安

16. 今回のパブリック・コメントにおいて「届いた意見に対してその趣旨を公示しないと判断した基準」を公にすることは可能か?
 行政手続法において提出意見を公にする趣旨は提出意見が適正に整理・要約されていることを確認するためであると認識している。その趣旨から、今回公示において提示されたものが意見の一部およびその趣旨を含まないのであれば、当該意見を公にする場合もしない場合も、公示しないと判断した理由や基準を併せて公にする必要があると考える。個々の意見に対して公示しないと判断した理由を示すことは困難であろうが、公示しないと判断した基準を示すことは業務負荷や個人情報保護等の観点から造作ないことと考える。

(厚生労働省および担当部局が実施するパブリック・コメント全般について)
17.貴省が、そして、担当部局が実施するパブリック・コメントにおいて、結果として公示される意見一覧に、一般に、上記9~14で説明を受ける「意見を募集する対象となる条文案そのもの等とは、直接的には関係のないもの等」の趣旨が含まれない場合があると考えてよいか?

◆厚労省からの回答◆

(どんな意見を公示から除いたか?)

【質問】 8. 質問6の回答が示す、公示した結果が「必ずしも全てを考慮した結果になって」いない点について、「全てを考慮したが、公示すべきで無いと判断した部分は結果には含まれない」のか、「全てを考慮したわけではなく、よって公示された結果にも含まれない」のか、いずれであるか?あるいは、上記いずれでもない場合は文意をご説明願いたい。
【質問】 9. 質問6の回答について、「条文案そのものと直接的に関係のある」意見が公示された意見の一覧に含まれない場合があると解してよいか?
【まとめて回答】 公示した「ご意見の概要」につきましては、「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律の施行に伴う関係法令(案)」及び「困難な問題を抱える女性への支援のための施策に関する基本的な方針(案)」の条文案に関係のあるものを掲載しておりますが、同趣旨のご意見等を整理、要約して掲載しております。

【質問】10. 上記9で質問する、「条文案そのものと直接的に関係のあるもの」のうち、公示された意見の一覧および結果に含まれないものがある場合、どのような理由でそれを公示から除いたのか?
 「提出意見を公示し又は公にすることにより第三者の利益を害するおそれがあるとき(総務省より)」以外の理由があれば示していただきたい。
【回答】「国の機関が行う事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの」がございます。


【質問】11. 質問6の回答について、「条文案そのもの等」の「等」にはどのようなものが含まれるか?
【回答】条文案そのものに対する修正意見以外に、従前の案には記載されていなかった内容について、「追加して記載すべき」との内容に関するご意見を意図しています。

【質問】12. 質問6の回答について、「直接的」「直接的には関係のない」とはそれぞれどのような意味か、具体的に伺いたい。
【回答】「直接的」とは、条文案そのもの等に対する修正・修文になり、「直接的には関係ない」とは、上記以外のものです。

【質問】13. 質問6の回答について、「直接的には関係のないもの等」の「等」にはどのようなものが含まれるか?
【回答】パブリックコメントの対象ではない「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」そのものに関する意見になります。

【質問】 14. 質問6の回答における『「(略)関係法令(案)」及び「(略)方針(案)」の条文案そのもの等とは、直接的には関係のないもの等』と判断されたものは、行政手続法に従って正当な理由によって公示から除かれたと考えてよいか?
【回答】 御指摘のとおりです。

(提出意見を公(閲覧可能)にすることについて)

【質問】15. 提出意見等を「公にする」手段、日程を改めて伺いたい。あるいは、それらが決まっていない場合は次の2点を伺いたい。(1)現在の「公にする」ための検討状況、(2)いつまでに「公にする」かの目安
【回答】 前回のご質問でお答えしたとおり、御意見の一部に非開示とすべきものが含まれているものがあるため、非開示とするための作業を行っているところです。頂戴した御意見が膨大な量であり、かつ内容も多岐に渡るため、作業に時間を要しておりますが、鋭意作業を進めておりますので、ご理解のほどよろしくお願いいたします。

【質問】 16. 今回のパブリック・コメントにおいて「届いた意見に対してその趣旨を公示しないと判断した基準」を公にすることは可能か?
【回答】「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律の施行に伴う関係法令(案)」及び「困難な問題を抱える女性への支援のための施策に関する基本的な方針(案)」の条文案についての意見』に該当しないものについては、公示の対象としておりません。

(厚生労働省および担当部局が実施するパブリック・コメント全般について)
【質問】 17. 貴省が、そして、担当部局が実施するパブリック・コメントにおいて、結果として公示される意見一覧に、一般に、上記9~14で説明を受ける「意見を募集する対象となる条文案そのもの等とは、直接的には関係のないもの等」の趣旨が含まれない場合があると考えてよいか?
【回答】 ご質問の9~14は、困難女性支援法に関する2つのパブリックコメントにおいて提出された意見に関してお答えするものです。
 一般論としては、パブリックコメントにてお寄せ頂いた意見の結果公示の取扱いについては、行政手続法第43条に沿って対応することになります。
 具体的には、同条第1項第3号の提出意見とは、同法第42条において「意見提出期間内に当該命令等制定機関に対し提出された当該命令等の案についての意見」とされていることから、 これに当たらない意見は同法第43条第1項の公示の義務が命令等制定機関に課せられていないため、公示されないことは想定され得ると認識しています。


さいごに

 質問8,9,16は有意なやり取りになりませんでした。こちらの質問が良くなかったのか、と反省しきりです。貴重な時間を申し訳ないです。必要な言葉を十分に並べて個々の単語の意味をより限定すること、一方で余計なことを書かずに文意を損なわないこと、両方を十分にやることの難しさを感じます。
 次回、当方の理解を含めてまとめを出しますが、資料との付き合わせ等で少し時間を要します。
 また、追加質問できるポイントは思い当たりますが、意見が公にされるなどの何か大きな動きがあるまでは追加質問は出さないつもりです。

以上。


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