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伝記と自己啓発本

川口市出身の自称読書家 川口竜也です!

先日の読書会にて、ライト兄弟の伝記を持ってこられた方がいた。

ライト兄弟と言えば、人類史上はじめて空を飛ぶという夢を叶えたウィルバー・ライトとオーヴィル・ライトの2人の兄弟。

空を飛ぶという、鳥や小さな昆虫でさえできることが、なぜ人間にはできないのかという、世界の常識を大きく変えた兄弟でもある。

当時、ライト兄弟だけが飛行機を作っていたわけではなく、競合する相手が数多く存在した。

ライト兄弟のライバルと言えば、サミュエル・ラングレー。スミソニアン博物館の事務局長で、軍部からも多額の資金援助を受けていた。だが、2回の飛行実験は失敗に終わり、飛行機プロジェクトは頓挫していた。

そんな中、ただの自転車屋であったライト兄弟が、なぜ飛行機を飛ばすことができたのか。

それは、何度も何度も飛行訓練を行った事により、飛行機の操縦技術が卓越したことが理由ではないかという。

2003年 ライト兄弟の初飛行から100年の節目に、当時の設計のままライトフライヤー号を飛ばすというチャレンジがあった。

だが、熟練のパイロットが操縦しても、ライトフライヤー号を飛ばすことはできなかったらしい。

つまり、自らが危険を犯して、何回も何回も訓練を積んだ上でのフライトであった。もはや、飛べるという確信があったからこその挑戦だったと言える。

なんと素晴らしい話ではあるまいか。大量に発行されている自己啓発本よりも、深みのある物語ではなかろうか。

スマイルズの「自助論」やジョントッドの「自分を鍛える」の中にも、数々の偉人の言葉や体験が記されている。伝記は再現性は低くとも、読むものを高揚とさせるものがある。

もちろん、ベストセラーになる自己啓発本や、何度も重版されているビジネス書もあろう。だが、伝記の良いところは、時代が進んだとしても決して廃れることがないことだ。

最近は「異才の経営者」や「カリスマ実業家」など、まるで人とは違った事ができるようになることが、成功への秘訣かのような風潮がある。

だが伝記を読んでいると、誰にでもできることを、誰もやらないくらいやり続けることが、成功の秘訣なんだなと実感する。

卓越した結果や成果は、ふとした思いつきや偶然手に入るものではなかろう。

それこそ、ライト兄弟は自らがパイロットとして何度も訓練と挑戦をしてきたのに対し、ラングレーは飛行機を作ったものの、実際のフライトは他の者に任せている。

全く同じ状況になることはなくとも、会社やリーダーシップを張る者にとっては、過去の偉人から学ぶことがたくさんある。技術やツールが発達していなくとも、いや、ないからこそ努力するのだ。

「人は読んだ本のような人物になる」とはよく言ったもので、誰の本を読むかによって、今後どんな人間になるのかがわかってしまう。

サクッと読める自己啓発本も良いが、時には伝記から深く学ぶことも大切だ。過去の人間にできたのならば、私にだってその10分の1くらいはできるはずだ。

久々に、実家においてある「ウォルト・ディズニー」を読み返したくなった次第。それではまた次回!

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