クルマの運転における指差確認のススメ
こんにちは。交通技術ライターの川辺謙一です。
今回は「クルマの運転における指差確認のススメ」と題した記事を書きます。
安全運転のための知識としてお役に立てば幸いです。
■ 「指差確認」は恥ずかしくない
みなさんのなかには、自動車学校で「指差確認(ゆびさしかくにん)」を習った経験がある方はいませんか? 注意する対象を指を差して確認するアレです。
ただ、もし「指差確認」を習ったたとしても、それを日々のドライブで実践している方は少ないでしょう。たしかに、バスやトラック、タクシーなどに乗務しているプロのドライバーを除けば、「指差確認」をしているドライバーはほとんどいません。
このため、「指差確認をするなんて恥ずかしい」と思う方もいるでしょう。
いっぽう私は、恥ずかしさよりも安全を優先し、それを実践しています。
なぜならば、それをすることによってミスが減り、安全性が高まることを実感しているからです。
■ 指を差して声を出す
厳密に言うと、私が実践しているのは、指を差すと同時に「〇〇よし!」などと声を出す方法です。この方法は、鉄道などの運輸や建設、製造などの現場で使われており、「指差喚呼(しさかんこ)」や「指差呼称(しさこしょう)」などと呼ばれています。以下では「指差喚呼」と呼ぶことにします。
↓この記事には、そのやり方や効果、歴史などがわかりやすくまとめられています。
私は、メーカーの工場で勤務していたときに安全教育を受け、日々「指差喚呼」をしていました。それを徹底することで意識が向上し、ヒューマンエラーを防ぐことができるとされていたからです。
この「ヒューマンエラー」は、「人間が起こすミス」とも言い換えられますが、これではわかりにくいと感じる方もいると思うので、私が工場勤務時代に聞いた話を紹介します。
「ヒューマンエラー」のなかには「注意力が低下して、意図せずしてしまうミス」があると、私は安全教育で学びました。どんな人間でも誤った行動をしてしまうことがあるということです。もちろん、このミスをする確率には個人差がありますが、「どれほど経験豊富なベテラン社員であってもしてしまうミスがある」ということを繰り返し聞いてきました。
だから、「指差喚呼」をして「ヒューマンエラー」を防げ、と言われたのです。
現在は、工場のような危険がともなう現場で働いていませんが、ドライブ中は「指差喚呼」を実践しています。クルマの運転は危険をともなう作業だからです。
とくに同乗者がいなくて1人で運転するときは、人目がなくて油断しやすいので、声をやや大きめに出しています。
なぜならば、それをしないと怖いからです。
「ここは通り慣れたルートだ」「今日は頭がよく働き、注意力も上がっている」などと言って「指差喚呼」をしないと、いつの間にか注意力が低下し、ミスが増え、ヒヤリハット(ヒヤリとしたりハッとすること)が増える。こうした恐ろしさを経験すると、自然と「指差喚呼」をしたくなるのです。
また、これはあくまでも個人的な感想なのですが、「指差喚呼」をすると、イライラしにくくなると感じています。目の前で起きていることをより客観的に見ることができ、渋滞や急な割り込みに遭遇しても「仕方ない」と受け流しやすくなるような気がしています。
■ 安全なドライブのために
以上のことから、私はみなさんに、クルマの運転で「指差確認」や、それを発展させた「指差喚呼」をすることをオススメしたいと考えています。
理由は、クルマを安全に運転するためです。
もちろん、「恥ずかしい」「格好が悪い」「面倒だ」と思う方もいるでしょう。
ただ、実際にやって習慣化すると、その効果に少しずつ気づくかもしれませんよ。