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2024年1月感想雑記

 こまごまとした軽い感想を残しておくための記事です。新しいものを上にして追記していきます。

 あけましておめでとうございます。これ書いている現在、もう1/13。とりあえずのアップがされるのがいつなのかわかりませんが、今年もちょろちょろとやっていけたらいいなあ、という感じです。よろしくお願いします。

 あと、こちらの事情でさらにどうでもな話で、メモアプリをEvernoteからNotionに変更したのと、文章を書くのにPCも使い始めたので、同一記事内でところどころ表記・書き方の揺れがありますが、なんていうか、気にしないでください!!!(乱暴な解決策)


『クレリックサーガ 森を覆う影』

  • 前作で呪文があんまり使われないな……とか思ってたんだけど、冒頭からスピーク・ウィズ・デッドが使われてて驚いた。それこそ、物語では使いにくそうな呪文な気がするので。

 カダリーは書物に目をもどした。 「〈沈黙〉の呪文ってのがあるんだ」小声でつぶやく。「これがあると、ドリゲンが戦場に現われたとき、呪文を唱えるのを阻止できるかもしれないだろ」305

p.305
  • カダリー、サイレンス使えるのかな? レベル3になるかどうかみたいな? それはそれとして、魔法の準備の仕方がクレリックじゃなくてウィザードのそれな気がするんだけど……とか読んでたけど、デニーア神の呪文の準備がこういうスタイルってことかあ! と、あとで気づきました。


 エルベレスはうなずいて、問いかえした。 「負傷者の世話をしているのはだれだ。モーポイサント嬢の腕の包帯を交換せねばならないし、わたしの――」しばらくじっとイヴァンを見つめてからつづける。「――わたしの友だちが矢を受けた」イヴァンは王子の発言に目を白黒させた。友だちだと!

p.319

「わたしはエルベレス。カラデルの息子であり、ギル・テレマンならびにデラニル・キルクウェインの子孫である! いま、戦乱がシルミスタを脅かさんとしている。父祖の代にも体験したことのない大いなる魔手だ! そのために、わたしはあなた方を召喚した、シルミスタの守り人よ。ともに立ちあがり、敵の手から祖国を守ろう!」
 巨木がもう一本、動きだし、最初の木に合流した。ほかの樹木も続々とそれにつづく。エルベレスは木々の隊列の先頭に立ち、まっすぐ戦場に向かおうとした。だが、イヴァンがエルフの肩を叩いてふり向かせた。
「立派な演説だったぞ、エルフ」
 ドワーフは見るからにほっとした顔で言った。
 エルベレスはむっつりと笑みを浮かべ、カダリーのそばに無言で立っているダニカに目をやった。その表情から、エルフの王子がどぎまぎしているのがわかる。若者と娘はぷっと吹きだし、王子に向かってうなずいた。  エルベレスは笑みを返して、イヴァンをかたわらに引きよせ、隊列の先頭に立たせた。それから二人並んで出発したが、なんともちぐはぐな戦友だった。

p.403
  • エルベレスとイヴァン……! エルフとドワーフの友情が好物すぎる。あと演説のシーンにも弱いの。


 若い僧侶は信仰心というより怒りにまかせて叫んだ。
「デニーア神よ!」
 そのとき、奇跡が起こった。
 カダリーの身体じゅうに魔力が満ちる。なにが起こったのかわからなかったし、そんなことが起こるとは期待もしていなかった。だが、それはかすかな美しい歌声となって訪れた。カダリーは驚きのあまりぼう然とし、ただ必死でその歌声にしがみついた。
 目をみはる若者の前で、ティンタゲルの傷がふさがりはじめた。出血が収まり、やがて完金に止まった。裂けた皮膚が魔法で接合されるにつれ、カダリーの両手が傷口から押しだされる。  一分が経過し、さらにときが過ぎた。
「わたしを戦場に連れていってください」
 元気を回復したティンタゲルが二人に頼んだ。エルベレスはエルフの仲間を抱きしめた。カダリーは地面にくずおれた。
 本当に世界は狂ってしまったのだ。

p.457-458
  • 素晴らしい回復魔法の描写だ……! めちゃくちゃいい。

 さて、2巻を読み終わり、話も展開してキャラクター性も深まってきて面白くなってきたぞお。というところで日本語展開が止まっているのが悲しいね。バルダーズゲート3需要で書籍も復活・再開したりしないかしら……。


『近畿地方のある場所について』

  • 本というかカクヨムで読んじゃったけど、とりあえずここで。

  • ふだんあまりTwitterのおすすめタブを見ないようにしてるんだけど(際限がないのと、燃えている話題が多くて嫌になるから)、ホラー小説がどうのこうので話題になってて、その流れで読みました。前から知ってはいたし読みたかったので軽い気持ちで。

  • いやあ、これは引き込まれる。

  • お嫁も面白いって言ってたし、周りからもアレはいいよって言われてたもんなあ。

  • 「見つけてくださってありがとうございます。」怖い。

  • かきもあります。

  • ラストに向けて、しっかりと謎が解けていくのもよかった。後日談的なオチも気味が悪くていい……!

『読んでいない本について堂々と語る方法』

  • 文庫版じゃなくて単行本で読みました。

  • 『勉強の哲学』から。『バーナード嬢曰く』にも出てたような。

  • 適当いうと、構造主義的に読書行為を捉えたってことなのかな……。

 著者はいろいろ言うし、面白くも励まされるが、とはいえですよ、アレコレの本を「流し読み」してるわけで、まあ流し読みして忘れちゃうにしても、思い出すことはあるからいろんな本を読みたいよね、って思った。

・ヴァレリーによるアナトール・フランス評。

 読者公衆は、高名なる私の前任者がひとつのオアシスを味わわせてくれたことに、限りない感謝の念をいだきました。氏の作品が与える驚きはあくまで穏やかで心地よいものでした。それはきわめて抑制のきいた流儀と、色々なところで試されていた、華々しい、あるいは非常に複雑な様式との、さわやかなコントラストによるものでした。そこでは闊達さと、明解さと、単純さが現実のものとなったかのようでした。これらは大多数の人間を喜ばせた女神であります。人々はすぐに氏の言語を愛しました。それは深く考えることなしに味わうことのできる言語であり、見たところじつに自然で、その点が人を魅了するような言語でした。

p.36-37

 こ、これはマジですごい。何も言ってないというかフワッとディスっているというか。p43のベルクソン評も同様。

 ベルクソンは思想家としてきわめて純粋な、きわめて秀逸な存在でした。ひょっとしたら、この時代に、一途に、深く、他に抜きん出てものを考えた最後の人間の一人だったといえるかもしれません。この時代とは、人間がますます思素や瞑想から遠ざかってゆく時代、文明が日に日に、その多様な豊かさと、その自由で溢れんばかりの知的生産物の、思い出と残骸に帰してゆくように思われる時代です。それは、もう一方で、あらゆる種類の不幸や、不安や、束縛が、知的企てを試みる者の意気を挫き、消沈させる時代でもあります。ベルクソンはすでに過き去った世界に属しているように見えます。氏の名前は、ヨーロッパ知性史の最後の偉大な名前であるように思われます。

p.43-44

 以下のあたり、かなり面白かった。

 われわれが話題にする書物はすべて〈遮蔽幕としての書物〉であり、この無限の書物の連鎖のなかでの一つの代替要素である。このことを理解するには、われわれが子どものときに好きだった本を「現実の」本と比べてみるだけで十分だろう。そうすれば、書物についてのわれわれの記憶、とくに自分の分身といえるほど大事に思われた書物の記憶が、われわれがその時々に置かれている状況と、その状況が内包する無意識的価値によって、いかに不断に再編成されているかが分かるはずである。

p.64

 私は、本を読む一方で、読んだことを忘れはじめる。これは避けられないプロセスである。このプロセスは、あたかも本を読まなかったかのように感じる瞬間まで続く。読まないも同然の状態、そんなことなら読まなかったのにと思う状態まで続くのである。この場合、ある本を読んだと言うことは、ほとんどひとつの換喩である。われわれは、多かれ少なかれ、本の一部分しか読まないし、その部分にしても、遅かれ早かれ、時間がたてば消え去る運命にある。こうしてわれわれは、われわれ自身および他人と、本についてというより、本の大まかな記憶について語るのである。その記憶が、そのときそのときの自分の置かれた状況によって改変されたものであることはいうまでもない。

p.64-65

 反復の不安は、自分が書いた本のことを忘れることから来る唯一の不都合ではない。もうひとつの不都合は、人が自分のテクストを引用したときに、それが自分のものだと気づかないということである。「人はよく私の書いたものを私に向かって引用するが、私自身はそれが自分のものであると気づかない」とモンテーニュは書いている。この場合、彼は、自分が書いたのに自分で読んでいないテクストについて語る立場に身をおいているといえる。

p.74

 ここまで来るとかなり極端な例だけど、笑ってしまうし、それでいてたしかにありうることだよなあとしみじみしてしまう。
 で、この話、単純に面白いけど、このあと読んだ『ライティングの哲学』と少し重なる気がした。忘れてしまってもなお同じことを繰り返し書いているなら、それは大事なテーマなのでいいんだ。

 以上のような事情に鑑みれば、私が先に『薔薇の名前』の文書館を火事から救ったり、ロロ・マーティンズとハリー・ライムの恋人が最後に結ばれるよう図ったり、デイヴィッド・ロッジの不幸な作中人物を自殺に追いやったりすることに決めたとき、私は結局何かをでっち上げたわけではないと言うことも許されよう。

p.196

 えええー???
 訳者あとがきでも書かれてたけど、ここほんと面白かった。
 読者の不完全さみたいなものを語ってきて、ここにきて、いままで引き合いに出していた本の内容が細かいところで「でっちあげ」(ではないらしい、著者曰く)だったとは、これは上手い作りになっている……!

『ライティングの哲学』

『読んでいない本について~』と同じく千葉雅也さん関連で読もうと思ったら、だいぶ前にBOOK WALKERで積んでいた。えらいぞ過去の自分。

「忘れてしまってもなお同じことを繰り返し書いているなら、それは大事なテーマなのでいいんだ」って話。
 読書猿氏が、詰まったときに書いてきたものを捨ててしまってもう一度始めて、「無能のフィルター」によってふるいをかけ、それでも残るものがある(あったりする)なら、それは書かなくてはいけないなにかだと書いていた。
 もちろん、自分はそこまで文章に詰まって苦悩もしない……というか苦悩するくらいなら単純に書かないし、書きたいときに書けるだけ書いている何者でもない人間なので、すごく刺さるとか迷いが晴れるとかそういうのではないのだけど、それでもまあ、しょっちゅう同じようなことを書いている(言っている)なあという心配? 不安? は必要ないんじゃないの、とありがたくいただいた。

映画

『殺人ワークショップ』

・久しぶりにホラーでも見ようかと思ったけど、思ってたのと違った。

・冒頭からめちゃくちゃに胸糞映画! すごいぞ! やたら生々しい長尺のDVシーンにかなりイヤな気持ちになる!

・しばらくは講師のヤバいシーンが続く。まあずっとそんなシーンが続く。

・こんなちょうどいい廃ビルが! こんな鉄パイプみたいな鉄パイプが!

・なんかわからんけど、チューしていい音楽が流れる。騙されないぞ!

・主人公の眼鏡っ子、もう強くなったのでラストシーンは安心して見てられる(?)

・『オカルト』、『コワすぎ!』の江野くんなのかな……と思ったけど、役名がやっぱり江野になってるみたい。『オカルト』後の特殊な状態ってことなのかなあ……。

ゲーム

『8番出口』

 あんまりうっかりで買うものではないと思うんですけど、先日ついうっかりゲーミングノートを買っちゃいまして。買うか悩んでる時に、お嫁が「もしかして『8番出口』できるんじゃない!?」って言ってたので(なんで知ってたんだろう?)、遊びましたよ!
 いやあ、たしかにこれは流行る……! 面白いね! しばらくウオウウオウと唸りながら右往左往して、無事脱出!

 しかしPC買うのいつぶりだろう……15年は経ってるけど……当時買ったグラフィックボードを思い出すに18年前かもしれない。マジで怖い。

『バディミッションBOND』

  • モクマが全方位からモテるなあ。BONDメンバー全員のみならず、にもナデシコやらイズミやらタンバやら。

  • いやあ、アーロンがどんどん丸く……!

  • チェズレイはおふくろさんめいてきた。

  • フウガについて、さすがに気づいてた人たちはもうちょっと何かしていれば……と思うけど、里のみんなが思っちゃったのかな、「ま、いっか」って(マイカジョーク)

  • カジノ王もシキも死んじゃう展開というか、理由がちょっと「えー!?」ってなったのは正直なところ。カジノ王は横に避けるだけでよかった気がするし、シキも爆弾が誘爆するならひとつだけ遠隔操作できるものを用意できればよかったよね……? ちがうのかな? 浅はかな考えかな……?

  • あ、いや、2人とも実はファントムなのでは……???

  • ていうか姿を自由自在に変えられるってなかなか強い設定だな。

  • ファントムの正体、ぜんぜん違った。

  • と思ったらちょっと合ってた。

  • 最終ミッションのタイトルが「BOND」。強い。こういうの大好き。

  • ラスト潜入パートのトロッコ。飛び降りる必要がなかったので笑ってしまった。


  • プレイ時間が思ってたより大ボリュームで、連続ドラマを数シーズン見た気分。アドベンチャーパートはフルボイスで自動送りできるので、ご飯食べながらドラマを見る感覚で遊べた。

  • ゲームとしては難易度が低いというか子ども向けな感じがするけど、シバコ絶賛時のなんでそんなにかわいいのかよ(孫)とか、選択肢のエンダァイヤァーとかが結構中年向けだよなあ。

  • あと、意外とルークの話が重くて(前半の拷問のところとか、後半のファントムとの対決とか)ビックリ。重さもあってか、ちゃんとヒーローの話になってよかった。

 以下、気が向いたらパシャパシャ撮った愉快なスクリーンショット(のツイート)を貼るかもしれないスペース。


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