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『地図リテラシー入門』/本・地図

Googleマップの登場によって、「地図」は便利で身近なものになりました。しかしその一方で、地図を正しく読む力や正しく作成する力ないままに利用されたために、誤った地図や恣意的な地図が出回るようにもなりました。そうした弊害をなくすには、“読み書きそろばん”と同じように、地図を正しく扱えるスキル(=地図リテラシー)を身につける必要があります。そこで本書では、地図を作る側の視点から、地図の正しい読み方や作り方を解説していきます。「地図とは何か」からはじまり、「地図の誤った使われ方」を通して「地図の正しい作法」「地図のしくみ」をフルカラーで豊富な図版とともに学んでいきます。「電子地図」を含め、地図に関する知識をくわしく基本から網羅した最強の「地図の教科書」です。

 図書館で地図特集をしていて見つけた本です。

 地図が好きな人は多いと思います。車旅をしまくっていた頃、お嫁が地図を見ていてなんか不思議な場所だなあと、あらぎ島というあんまりメジャーじゃない観光スポットを見つけたのは驚いたし、実際行ってみて思い出深い場所でした。

 なんとなく読んでいこうと思っている本のテーマは「物語」なんですが、その周辺にありそうかなあと、地図の本もときどきは読んでいきたいところです。

 ではいつものように引用と感想と。

 グループの数を考えるひとつの目安としてスタージェスの公式(表314)があります。この公式は、データの個数によって、いくつに分類すれば良いかの目安を求めるもので、(後略)

p.72

 スタージェスの公式って知ってましたか? 自分はさっぱりまったく知りませんでした!!! 世の中の賢い人たち、賢い!!!
 関連して、目安とはまた別に「人が塗り分けを認識できる数は10程度」(p.74)だそうです。賢いなあ!!!

 オンラインショッピング(Eコマース)が普及した現在では、戸口輸送(ドアトゥードア)の加速はとどまるところを知りません。(中略)運輸サービスは限界を迎えており、より効率的な配送計画を考える仕組みが必要とされています。最適な配送計画を考える課題を巡回セールスマン問題といい、配送車がどのような配送ルートをたどれば効率よく集荷・配送できるか長年考えられてきました。巡回セールスマン問題の解決には地理情報システムが活用されており、最適ルートを自動的に分析し、配送コストの削減に貢献しています

p.88

 なるほどこれはひどく現実的な問題と有効性だなあ。マジですごいもんね、ネット通販。



 1mの長さは、18世紀にフランスのダンケルクと
スペインのバルセロナ間で測量した長さを基に、赤道から極までの子午線長を1万kmとし、その1千万分の1の長さを1mとして定義しました。4倍すると地球1周4万kmとなりますので、これは偶然ではなく必然なのです。その後の観測技術の向上で、より正確な地球の大きさが求められた結果、現在では地球1周はおおよそ4万kmになり、また1mの長さも光の速さと時間を基にした普遍的な求め方に再定義されました。

p.172

 へーーー。ちょっと前にTwitterで見た、D&D5版の距離の単位の話、メートル使ったら地球じゃんみたいな話があったんだけど、これはそういうことなのね。
 ついでに、「船舶や航空機で使われるマイルの国際海里(浬)は、1浬が1852mです。これは緯度1分(1/60度)間の長さとして求められました」(p.172)とのこと。
 でも「マイルは複数の種類があり、アメリカ車のスピードメーターは国際マイル(哩)で、1哩は1609・344mです。こちらは人間の2歩の長さの1000倍に由来しています」(p.172)だそうです。紛らわしいね!



 「ヌル島(ナル島)」という島をご存じでしょうか。この島はアフリカ大陸西岸ギニア湾の遠洋、ガーナの首都アクラから南に約600kmのあたりに存在し、GISエキスパートの間では広く知られています。(中略)ヌル島に形はありませんが、日本人が操作すると、ヌル島の周辺に日本列島、あるいは都道府県や市区町村に似た形の島が現れる傾向にあります。
 このヌル島は架空の島です。GISの初心者が引き起こすミスによって見られるもので、読み込んだ地図データが本来の正しい場所ではなく、緯度0度・経度0度付近に表示された形を揶揄したものです。コンピューターでは存在しない値をNullということから、Null Islandと名付けられました。

p.256

 賢い人たちの賢いジョークって感じで面白いね!


 地球以外の地図も作られています。古くは1880年代に天体望遠鏡での観測によって火星の地図が作られ、火星表面の模様は「溝」(canali)として捉えられていました。この溝が人工物の「運河」(canals)と誤訳されてしまったことから、長い間火星人の存在が信じられていました。

p.261

 Wikipediaの連発でアレですけど、へーっていう話。

 なんだか豆知識みたいなところばかりになっちゃった。
 次の小説じゃない本(いい表現がわからない)は、どこで聞いたか忘れたけど良さそうとのことで『現代思想入門』を読みます! 入門書ばかりだなあ……。常に入門しているような人生! では!

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