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『都市と都市』(登場人物メモ書き付録)/本・ミステリーSF


〔ヒューゴー賞/世界幻想文学大賞/ローカス賞/クラーク賞/英国SF協会賞受賞〕ふたつの都市国家〈ベジェル〉と〈ウル・コーマ〉は、欧州において地理的にほぼ同じ位置を占めるモザイク状に組み合わさった特殊な領土を有していた。ベジェル警察のティアドール・ボルル警部補は、二国間で起こった不可解な殺人事件を追ううちに、封印された歴史に足を踏み入れていく……。ディック-カフカ的異世界を構築し、SF/ファンタジイ主要各賞を独占した驚愕の小説

『文学効能事典』から「都会に疲れたとき」。
 この本で知って読んだ本が増えてきたので、そのうちリンク用にまとめた記事でも作ろかな。……シチュエーションがネガティブ・ワードの連発でアレな感じになっちゃうかな。

 さわりの感想を書いておくと、都市の設定がかなりぶっ飛んでて面白かったよ! 両都市国家が接してるどころか混ざってる場所すらあるんだけど、お互いに他方の国のこと(目の前から歩いてくる人とか、同じ道路を走る車とか!)を、見ない聞かない知らないようにしながら、意識せずに避けて暮らしているんですよ! なにそれ意味わかんない!
 これを犯すのを「ブリーチ行為」というんですが、故意でも事故でもブリーチ(行為)するとブリーチ(という団体)にブリーチ(どこかに連行)されちゃうんですよ! なにそれ怖い!

・名前! マジで名前!
 登場人物名がすごい聞き馴染みない感じのうえに大人数出てくるので、自前で人物一覧をメモりながら読んだよ。こんなの初めてだよ!
 あまりのことに、薄目で検索してみたんだけど、ネット上に人物一覧みたいなのを見つけられなくて……みんなスラスラ読めてるのかなあ……。
 というわけで、どこかの誰か(もしかしたらあなた)のためにメモ書きの登場人物一覧を載せておきます。微妙に先が読めたり、並びの意図があったりなかったり(ある程度読んでいく順にした)、話の筋に重要じゃない人物が載ってたり、プロフィールがフワフワだったりするけど、文中でフルネームで書かれず「この人誰だっけ?」ってなったときに便利なはず!

登場人物一覧メモ書き

ティアドール・ボルル──過激犯罪課の警部補
リズビェト・コルヴィ──一級巡査
ステベン・シュクマン──観察医
ハムド・ハムズィニク──観察医助手
バルドー・ナウスティン──部長刑事?
ラミラ・ヤスゼク──尋問が上手い女性刑事
バシャージン──コルヴィの警視
シェンヴォイ──特捜課
ガドレム──ティアドールの上司の警視
タスキン・ツェルシュ──管理部門
シュシキ──パトロール巡査
ブリアミフ──パトロール巡査
アギム・ツェチョリア──パトロール巡査
ディエゲツタン──巡査

ヴィリェム・バリチ──チューアーの少年
セルゲフ──バリチの仲間
アヴィド・アヴィド──左翼の若い男

ベトレスなんとか──記者
ヴァルディル・モーリ──記者
ラックハウス──記者

ミキャエル・フルシュ──被害者女性が乗せられていたヴァンの所有者
パール・ドローディン──ベズコーマ連帯戦線支部リーダー
ハルカド・ゴッシュ──〈真のべジェル市民〉の弁護士

マリア──被害者女性の名前
ビエラ・マール──被害者女性の名前
マハリア・ギアリー──被害者女性
イザベル・ナンシー──マハリアの指導教官
デイヴィッド・ボウデン──『都市と都市のあいだに』の著者

サリスカ──べジェル大学の経済史学者
ビザヤ──美術雑誌のライター

シェーラ・カトリーニャ──無任所大臣
ミケル・ブーリッチ──社会民主党員
ヨルイ・シエドル少佐──極右グループ愛国議員連合リーダー
ガヤルディッツ──首相
ヤヴィド・ニイセム──文化相兼委員会議長
ジェイムズ・サッカー──アメリカ大使館員

クシム・ダット──ウル・コーマ上級刑事
ムアシ大佐──クシム・ダットの上司
ヤーリャ──ダットの妻

ヨランダ・ロドリゲス──女子学生。マハリア・ギアリーの親友
バーナード・ロシャンボー教授──ボル・イェアン遺跡のプロジェクト責任者
タウティ──遺跡にいる指導教官
レベッカ・スミス=ディヴィス──考古学生
ロバート──考古学生
ドクター・ウル=フアン──考古学教官
アイカム・ツーエ──遺跡警備員
カイ・ブイジェ──警備主任
タイロ──ウル・コーマ爆発物処理班

ダハール・ジャリス──ウル・コーマの〈ユニフ〉構成員
ヨルヤヴィッチ──狙撃手

アシル──ブリーチ

ネタバレというほどでもない感想

・ディック-カフカ的異世界だそう。ディックは少しだけ読んだからなんとなくわかる。カフカは『変身』しか読んでないからイマイチわからない。ハードボイルドな感じがディック……かなあ。現実感の確かさ/不確かさ、恣意性/偶然性みたいなのもあるかしら。なんせ好きなテイストではある。

・現実に存在するブラックパンサー党について、ぜんぜん知らなかったので「へええ」ってなった。生きてると「へええ」の連続だね!

・人物名にヒーヒー言いながら読んでて、2部に入ってウル・コーマ行ったら……そ、そうだよね、そりゃウル・コーマの人が出てくるよね……と笑ってしまった。またややこしい名前が増えた!!!

・記事冒頭で触れたとおり、とにかく2つの都市の設定がとても面白い。解説でも言われてるが、そんな無茶な! という設定なのに、血肉の通ったものに思わせるのがすごい。外国人として両国に滞在しているうちに、だんだんその奇妙な振る舞いと習慣に慣れてくるみたいな感覚があった。力技なリアリティの根源たる組織としてのブリーチも、わかるようなわからないような程度に留め置かれてるのは、個人的にはよかったかな。
 後半、ついに接触したときはテンションあがりました。

・黒幕たちが陰謀論者を装い、陰謀論を信じなくなった仲間を消すという陰謀ムーブをして……みたいなねじれた面白い展開。ボウデンの、結局自分でも信じてるのか信じてないのか不安定なところや、取引相手からしたらはした金で、ものは試し程度の投資だったとか、リアルに乾いた感じがしてよかったなあ。

 こういう本読むと、やっぱり自分はジャンル小説が好きなんだなあと再確認。ちょっと前にTwitterで「絶対に読んどけっていうSF小説」ビンゴが流れてきたけど、17/25読んでてビンゴしなかったので、残りの8は埋めたいわねえ。ディックも『高い城の男』とか『流れよわが涙、と警官は言った』を、読まないとね!

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