本書の目的は以下で、とても明確。
・タイトルどおり、物語を書く訓練をして力をつけるための実践をするんだけど、いちばん最初のやつがこれ。
これだけ実際に書いてみたんだけど……のちほど。
・第一講で『聖痕のジョカ』(懐かしい!)で使っていた、グレマスの記号論の行為者モデルの変形や、第二・三講で『マダラ』(懐かしい!)や『黒鷺死体宅配便』(しばらく追ってないけどまだ続いてる……よね?)の作り方をかなりバラしてるのも、ファンとして嬉し楽しい。
このあたりを読んで、TRPGのF.E.A.Rのシステム、特にトーキョーN◎VAとブレイド・オブ・アルカナで、キャラクターを作ること自体に夢中になったことを思い出す。まんまタロットだし。キャラクター自体の物語をさっと作れたんだよなあ。それぞれのシステムで細かくは違うけど、あれは図6(p.33)の過去・現在・結末をライフパスなどで、援助者・敵対者・近い未来をコネや因縁・シーンカードで上手いことハメることだったんだなあ……。
・第四・五・六講ではそれぞれ、レッスン教材として、村上龍、行きて帰りし物語、つげ義春などを挙げていき、私小説と、キャラクターとしての私小説と、キャラクター小説について展開していく。
で、いちばん最初のプロットを書いてみるレッスン、自分が書いてみたのがまんまと、「キャラクター化した私」が「行きて帰りし」話だったので驚いてしまった。たぶん、書きやすさとか、キャラクターというものの親和性とかがあるんだろうけど……なんだろうな。
たぶんこの辺は『キャラクター小説の作り方』のほうでもっと書かれてそうなので、期待する。
・あとがきの教養小説についてがめちゃくちゃ面白かった。ヨーロッパ、特にドイツの教養小説(ビルドゥングスロマン)と、日本の近代文学の比較。
スーパー刺さったので、かなり長いけど中略しながら引用する。
このへんはこう……noteという場で語るにはものすごくデリケートな話題だけど、とてもクリティカルだよなあと思います(やんわりと表現しています)。
いや、自分を棚に上げてるってのはわかってて、わかってるので余計に。ほんとに。
めちゃくちゃ面白い……!!!
というか、あまり自分について言及したくないのでこれを書くのはイヤなんだけど、まさにこれが、いまの自分がぶつかっている困難さのような気がするんだよなあ。
という曖昧なんだか直裁なんだかわからないことを書いて終わります。
いやー、これで面倒なのが、曖昧な、いわゆる匂わせ的な言い方も嫌いなんだよね。やっといてなんだけど。すぐに言う気がないならまどろっこしいからもういいです、ってなっちゃう。
……というような自分語りが、抑えようとしているのに出てきてしまうということに本当もう嫌になるが、これ自体、本書で指摘されていた日本語という言語の問題が……