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爆弾ゲームの敗者にならないように

おはこんにちは!カワウソです!
皆さんは救急外来勤務は好きですか?カワウソは嫌いです。体力と精神と寿命をすり減らして劣悪な労働環境で働くなんて糞食らえと思っています。今話題の名古屋第二日赤で発生した事例について感じたことを書いていきます。


「研修医が急性胃腸炎と誤診、16歳の高校生死亡」

朝日新聞デジタルからセンセーショナルなタイトルでニュースが出ていますね。本文を読んでも初期対応をした2人の研修医が悪いように思えるような書き方をしています。

事例の概要

記者会見については見ていませんが、第二日赤が公開している資料を参考に要約してみます。リンクはこちら

  • 救急外来で2年次研修医が2回診察し”急性胃腸炎”と診断し近医受診を指示

  • 翌日近医を受診したところ緊急処置が必要なため一般消化器外科に紹介

  • 外科でSMA症候群疑いと診断、緊急手術適応はなく消化器内科に紹介

  • 消化器内科で脱水所見が著明で炎症反応の上昇があるが、大きな電解質異常がなく、胃管挿入なしで絶食と補液を治療方針

  • 入院から3時間後、患者さんに冷汗と脈拍触知微弱、大量嘔吐が出現

  • 胃管挿入を検討したが過活動せん妄のため実施せず

  • 易怒性のため当番医が鎮静剤を半量投与を指示

  • 看護師間の情報共有不足により鎮静剤の残量分も追加投与

  • 心電図モニターもせん妄の助長となると考え、装着せずに退室

  • 同日深夜に心停止に至り、16日後に死亡

これ研修医が原因とは言えないですよね。確かに上級医に相談しなかったことは問題であると思います。入院してからも展開があり、介入ポイントはたくさんありますよね。

チーズの穴だらけ

医療安全の講習会を受講すると必ずと言っていいほど出てくるのが「スイスチーズモデル」です。

スイスチーズモデルはたくさんの防護壁をすり抜けた結果に重大な医療事故が起こってしまうという考え方です。今回も個人のヒューマンエラーではなく、幾つもの穴をすり抜けてしまっていますよね。

このどこかの穴を塞ぐことができたら転帰は変わっていたのかも…しれません。

現場猫の甘いダブルチェックではなくて、各個人が防護壁になるのは大切ですね。

爆弾ゲーム

実際の現場の様子は分かりませんが、研修医たちはマスコミによって責任を押し付けられてしまいました。つまり爆弾ゲームに負けてしまったのです。

カワウソも先日ポストしましたが、爆弾を押し付けられたことがあります。幸いにも爆発せずに過ごすことはできた様子ですが。

厄介なことは今自分の手元に爆弾があるのか、いつそれが爆発するのかが分からないことですね。

これからも爆弾ゲームとは無縁の生活を送りたいですね

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