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清掃活動から地域を盛り上げる! 高津高校生徒会が行う TCP‐高津クリーンプロジェクト‐

高津高校は創立95年と川崎市内でも歴史ある高校です。部活動も盛んで、吹奏楽部は地域イベントなどの演奏会にも出演。また、視聴覚委員会はテレビ・ラジオ番組制作などの活動を行い、県内でも優秀な成績を収めています。
そんな高津高校の生徒会が行っているのが地域のゴミ拾いを中心にした「高津クリーンプロジェクト=TCP」。今回は、その中心メンバーである生徒会執行部の田中悠太さんと、ともに活動を行う鈴木雪弘さん、貴島 玄さんに取り組みへの想いを聞きました。


左から鈴木雪弘さん(3年生)、田中悠太さん(2年生)、貴島 玄さん(3年生)

地域の景観と安全のためにゴミ拾いをスタート


——「TCP」ではどのような活動を行っているのか、教えてください。

田中さん:先生から「地域のポイ捨てゴミを生徒会でどうにか対応できないか」、という話があり、そこからゴミ拾いを始めました。やってみるとゴミ拾いは達成感があるんだなということを実感して、これを広めていこうと思い活動を始めました。今は17名の生徒会役員がいますが、第1金曜日と第3水曜日に都合のあうメンバーでゴミ拾いをしています。最近では、JRに協力をしていただいて、手の届かないフェンス内などの清掃を一緒に行っています。目標は、南部沿線の景観を改善して、ポイ捨てをなくしていくこと、また、ライターなど危険なゴミもあるので小中学生の安全のためにもそういったゴミをなくしていくことです。


——鈴木さん・貴島さんがTCPの活動を通して感じていることはありますか?

鈴木さん:私は立ち上げからTCPに関わっていて、やる気があったのですが、生徒会の全員が同じように最初からやる気があるかというと、もちろんそうじゃない人もいるんですね。そんなメンバーと一緒に活動をするのは熱量の差が生まれてしまうんじゃないかなと危惧をしていたんです。でも、実際にやってみるとみんながものすごく楽しそうに活動していて、そこはよかったなあと感じています。

貴島さん:実は、自分自身は掃除が苦手なタイプなのですが、道に落ちているゴミを見るとやっぱり気分はよくないですよね。TCPの活動のなかで、自分たちが掃除をした道を振り返ると、ビフォーアフターで道がきれいになったことがよくわかるんです。そのときにやりがいを感じられるので楽しく続けられています。

TCP活動のようす


——TCPとして今後考えている活動を教えてください。

田中さん:まだ何も見通しは立っていないんですが、ポイ捨てをなくしたいという想いを伝えるために、商店街で啓蒙放送をできたらいいなと思っています。また僕たちの活動に賛同してくださる企業の方に掃除用具購入のスポンサーになっていただけるといいな、と。ゆくゆくはそういった活動もしていきたいですね。

——そういうアイデアは、生徒会のみなさんで話し合って決めているんですか。

鈴木さん:(田中)悠太君がやりたいことを提案してくれるので、その中から気になるものをピックアップしてみんなで一緒にやってみよう、ということが多いですね。先日行ったマイクロプラスチック拾いもそうでした。

貴島さん:彼はすごく熱意があって、自分から色々と動いてくれるので、心強いですね。


いま自分がやらないとゴミが残り続けてしまう

——田中さんはどういう想いから生徒会へ提案をしていますか。

田中さん:道に落ちているゴミの多さを見ていると、これは何年間も放置された結果なんだろうなと思って。じゃあ今ここで自分が何もせずに通り過ぎてしまったら、この先、数年どころか十年、二十年と放置され続けるかもしれません。だったら、自分がやろうって。また、脱炭素アクションみぞのくち推進会議や市の車座集会に出席して、地元の企業の方々の活動を知ることでアイデアが生まれることも多いですね。企業の方に一緒にこんなことできませんか、と声をかけたり、逆に企業の方からこういうことをやりましょうとご連絡いただいたり。それを生徒会のメンバーに話して、みんなで一緒に活動しています。

——田中さんもその気持ちを知って一緒に活動する生徒会のみなさんもすばらしいですね。お話に出たマイクロプラスチック拾いはどういった活動だったのでしょうか。

田中さん:脱炭素アクション溝の口推進会議で出会ったスナイプバレー合同会社の方から、東扇島でマイクロプラスチック拾いをやっているから生徒会で参加してみないかっていうお話をいただいたんです。僕自身もマイクロプラスチックに興味があったので、それは面白いなと思って生徒会のメンバーに声をかけたら10人くらい集まってくれて。今後は自分たちが中心になって、体験会のようなイベントを開いていきたいなと思っています。


——ほかにも、稀少な蘭の保全活動もされていますね。

田中さん:神奈川県内の準絶滅危惧種である植物『エビネ』の保全活動です。これも会議で富士通ゼネラルの方がお話されているのを聞いて、会議が終わった後に『興味があります』と声をかけさせていただきました。

鈴木さん:今は一株ですが、スケジュールを作って水をあげたり、状況を見たり、みんなで観測しています。株を増やして、また高津高校で見学会などができればと思っています。

——ほかに、今取り組まれていることはありますか?

田中さん:清掃活動を長年続けている『グリーンバード』にコンタクトを取って何かコラボレーションをしましょう、と話して、一緒に清掃活動をしたあとに保育園の園児とを遊ぶ交流プログラムも行いました。


清掃活動から地域の活動への輪が広がる

——さまざまな活動をされていますが、高津高校生徒会は地域活動が盛んだったんでしょうか?

田中さん:それが、実はほぼゼロだったので、担当教諭も高津高校でこういう活動の盛り上がりは初めてだと話していました。せっかく清掃活動をするなら、それを通して地域を盛り上げていきたいというのが僕の頭にあって、今やっとそれが実現し始めました。僕も大人の方々との関わりに刺激を受けて、「めっちゃ楽しいな」と感じているのが、原動力になっていますね。

——貴島さんは活動を続ける原動力は何ですか?

貴島さん:自分から何かするというよりも、決まったことに呼ばれて行くぐらいの感覚で、行くのですが、それが終わった後にいいことをやったと実感できることでしょうか。自己満足かもしれないのですが、誰かの手助けになることが嬉しいんです。


——鈴木さんはどんな思いで活動を続けているのでしょうか。

鈴木さん:TCPが始まった当初は後輩の悠太君が頑張っているので、悠太君に抱えきれないことがあった時にどうしようかと、先輩として心配もしながら見守っていました。最近はそれよりも、ほかのメンバーが楽しんで活動できているかを気にするようにしています。悠太君は外部との連携をとることに専念できるように、生徒会内部のことは私たちが調整するようにしています。

——チームワークがすばらしいですね。

鈴木さん:私が貴島君と仲が良くて、困ったことがあったら何でも頼ってしまうのですが、結果として彼が活動を支えてくれている経緯もあって、チームワークには自信がありますね。

——今後、生徒会でやってみたいことはありますか?

田中さん:川崎市内の学校代表と協議をして社会問題や環境問題に取り組んでいきたいと思っています。具体的に決まっているわけではないですが、強い気持ちを持っています。

貴島さん:僕たち3年生は、その活動を最大限サポートしたいなと思います。まずは南部線沿いをきれいにするという身近なところから続けていきたいですね。


書いた人・松井みほ子
川崎市在住。出版社でファッション誌の編集に携わる。その後は編集プロダクションにて書籍、WEB、広告など媒体やジャンルに関わらず、幅広く制作。現在はフリーランスで編集・ライターとして活動中。