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【ショートショート】助手席の異世界転生【毎週ショートショートnote】

それは突然の出来事だった。
トラックが猛スピードでこちらに突っ込んできたのだ。
運転手は居眠りをしていたようだ。
フロントガラスに映るトラックがグングン近づいてきてーー
次の瞬間真っ白になった。


事故現場を見物人が遠巻きに見ていた。
「いやひどいな、車がグシャグシャじゃないか」
「だれか乗っていたのか?」
「いや、ここに駐車して職場に行っていたので無人だったって」
「不幸中の幸いだな」
現場の検証をしていた警察官が不思議そうに首をひねっていた。
「うーん、おかしいな……」


そこはどこか中世風の、現代日本とは全く違う街並みだった。
人々も鎧を着ていたり、あるいはローブを纏っていたりといかにもファンタジーといった雰囲気だった。
そんな彼らが道の真ん中にあるそれを物珍しげに取り囲み、ささやきあっていた。
それはフカフカした椅子型の物体……車のシートだった。
「はっ、ここは?オレは一体……」
カーシートがつぶやく。
異世界転生した助手席の冒険が今始まる!!

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