見出し画像

【ショートショート】宝くじ魔法学校

「えっ、なんだって」
喫茶店で、俺は友人の言ったことが飲み込めずに聞き返した。
「だから学校にいってるんだって」
「いやそこはいいよ。何学校だって」
「宝くじ魔法学校だよ」
「なんなんだそれは。百歩譲って魔法学校はいいとしても宝くじってなんなの」
「名前の通り宝くじ魔法を習うんだよ」
「そこまでで一つなのかよ。ニッチな学校だな」
「この魔法によって運気が上昇して宝くじが当たるようになるのさ」
「ふーん、じゃあ競馬とかも当たるようになるの?」
「いやそれは競馬魔法学校にいかないと」
「別なのかよ!めんどくさいな」
「まあこれで卒業後の生活は安泰だよ」
「宝くじで食ってくつもりなの!?」
俺はコーヒーを一口飲んで話を続ける。
「っていうかそんな魔法ホントにあるのか?騙されてるんじゃないのか」
「いや効果は出てきてるよ。この間も宝くじ当たったし」
「マジで!?いくら?」
「100枚買って三千円」
「それは割と普通だろ!!」
「いやこれから段々上昇してくるんだよ」
「じゃあお前、これからも宝くじ買ってくの?」
「それが授業料やらなんやらで宝くじ買う余裕がなくなっちゃったんだよね」
「じゃあどうすんの」
「まあとりあえず働きながら余った金で宝くじ買うわ。おっと時間だ、じゃあまたな」
そういうと友人は去っていった。
俺はコーヒーを飲みながら思った。
あいつ就職できるのかな……。
まあ一周回って普通になったってことでいいのかな。
そんなことを考えながら俺も店を後にしたのだった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?