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【ショートショート】星を編む少女

かつて、空には星が一つもない時代がありました。
その時代のある村に、星を編むことができると言われる少女、ユキが住んでいました。
彼女は毎晩、手編みの小さな星を作り、空に向かって投げていました。

しかし、いくら投げても、星は空に届かず、地面に落ちてしまうのでした。
村の人々は彼女をからかい、「無駄なことをして」と笑いました。
でも、ユキは諦めませんでした。

ある晩、彼女がまた星を空に投げた時、不思議なことが起こりました。
編んだ星が、突然輝き始め、ゆっくりと空高く昇っていきました。
ユキは目を輝かせながら、その光景を見つめていました。

やがて、その星は空に留まり、初めての星となったのです。
村の人々は驚き、そして感動しました。
彼らはユキの努力と信念を認め、彼女のことを尊敬し始めました。

ユキはその後も毎晩星を編み続け、空には次第に星が増えていきました。
星が増えるごとに、村の夜は明るく美しくなり、人々の心も温かくなっていきました。

星が空を埋め尽くした頃、ユキは老いていましたが、彼女の作った星たちは永遠に輝き続け、人々に希望と夢を与えていました。

そして、村の人々は「星を編む少女」としてユキを語り継ぎ、彼女の物語は世代を超えて語られるようになりました。
ユキの星たちは、今も夜空に輝いており、見上げる人々に、夢と希望の大切さを教えています。

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