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【ショートショート】世界最速の郵便配達人

小さな町に、世界最速と噂される郵便配達人、ジミーがいた。
彼の配達スピードは音速を超え、手紙を届ける際には音の爆発が起こるほど。
町の人々は彼を「ソニックブーム・ジミー」と呼び、半ば伝説の存在として扱っていた。

しかし、ジミーにはある問題があった。
彼は速すぎて、時々配達先を間違えるのだ。
ある日、彼は重要な誕生日カードを間違った家に届けてしまい、大問題を引き起こす。

町の長老はジミーを呼び出し、「速さだけが郵便配達の全てではない」と諭した。
ジミーは反省し、配達方法を見直すことに決めた。

翌日、ジミーはいつものように配達を開始した。
今度は極端に遅い速度で。
彼は一軒一軒丁寧に手紙を配り、受取人と会話を楽しんだ。
しかし、この日の配達は夜中まで続き、町中のスケジュールが狂ってしまった。

再び長老に呼び出されたジミーは、「バランスが大切だ」と再度諭された。
そして、彼はついに理想的な配達スピードを見つけることができた。

今やジミーは、「ちょうど良い速さのジミー」として町で愛されるようになった。
彼の配達はもはや音速を超えることはないが、彼の心配りと笑顔は町の人々にとって、最高のスピード以上の価値があった。

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