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【ショートショート】だんだん高くなるドライブ

僕は一人車に乗って夜の田舎道を走っていた。
今日は、仕事が早く終わったので、いつものコースを回って帰っているところだ。
この道は、山の頂上まで登っていく道路で、夜になると辺りは真っ暗になる。
その暗闇の中をヘッドライトの明かりを頼りに、どんどん登って行く。
「さあ、もうすぐ頂上だ」
しかし、道の途中にあるカーブミラーに、ライトの光が反射して、一瞬目が眩んだ。
すると次の瞬間、車がどんどん高く上がっていくではないか!
「な、何だ? 一体どうしたんだ?」
車の外を見ると、いつの間にか車は空を飛んでいた。
そして、そのまま上昇を続け、雲の上まで来てしまった。
眼下には、まるで宝石のように輝く町が広がっていた。
「うわあ、綺麗だなあ……」
僕は思わず感嘆の声を上げた。
次の瞬間、僕の体は一気に急上昇を始めた。
そして、あっという間に大気圏を突き抜けて、宇宙に出た。
目の前には、青い地球があった。
そして周りには星々がきらめいて……。
その光景はとても幻想的で、この世のものとは思えない美しさだった。
「ああ、何て美しいんだ!」
そこで、僕は思い出した。
子供の頃、父さんに連れられて行ったプラネタリウム。
あのドーム型のスクリーンいっぱいに映し出される美しい星の映像を、夢中で見つめていた事を思い出したのだ。
そして僕は悟った。
ここはもう、あの星空の中なんだ。
今僕が見ている光景は、決してCGなんかじゃなく、本当に宇宙なんだ。
その時、遠くの方に強く光るものがあった。
よく見ると、それは太陽だった。
その輝きに吸い寄せられるように近づいて行くと、突然目の前が暗くなった。
気が付くと、そこはいつもの車の中だった。
車はいつの間にか頂上へ着いていた。
「夢だったのか……」
でも、とてもリアルな夢だった。
僕はもう一度夜空を見上げた。
そこには、無数の星が輝いていた。
それは、まるで僕を呼んでいるようにも見えた……。

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