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PC操作時に不完全恐怖で確認を繰り返す(強迫性障害の話)

私は仕事でPCを使うのですが、強迫性障害がひどかった頃(数年前)、パソコンの操作に関する不完全恐怖・確認強迫の症状にはたぶん一番悩まされていました。
これが発症してからは仕事が進まなくて・・・
不完全恐怖という言葉の通りPC操作に関して完全でないと得体のしれない不快感で不安になってしまうのです。

「なんかちゃんと出来ていない気がする」「別のことに意識が向いていた」「表示されたメッセージをきちんと確認しなかった」のような強迫観念が出てくるとその先の作業を進めることができませんでした。

見えないエラーのようなもの?

「ちゃんと出来ていない気がする」という強迫の時点で何か見えないエラーのようなものが発生している気がして、その見えないエラーを解消してから作業を進めないと最終的な成果物がエラーを含んだものになるような考えにとらわれてしまいます。

例えばエクセルを使って、月ごとのデータを表とグラフにまとめた資料を作っているとしましょう。
月ごと別々のシートに分けるため、前月のシートを次月のシートに複製してその内容を編集しながら資料を作成します。

5月のシートを6月用に複製したとき、ふと意識が別の何かに向いており何となく無意識に作業をしてしまっていたことに気がついたとします。
そうするともう6月のシートは私にとって「なんとなく気持ち悪い」見えないエラーを含んでいるものです。
そのまま作業を続けて7月や8月のシートまで進んでいったとしても、どんどん強迫観念が強くなり負けてしまいます。
結局6月のシート以降をすべて削除してまたそこからのやり直しです。

テキストをコピーペーストする時

この「見えないエラー強迫」が発生するPC作業は多岐にわたります。
多いのはテキストをコピーペーストする作業。コピーペーストは言うまでもなくPCのあらゆる場面で使う基本操作ですが、コントロール+Cのショートカットキーでコピーして別の資料にペーストしていく作業の途中、突然強迫が湧いてくるのです。

「コピーする時ちゃんとショートカットキーを押せていなかった気がする」
ペーストすればちゃんとコピーできていたかどうか一目瞭然なのは言うまでもありません。

しかし私のOCDはそういう現実的な正しい理論とはまた別のイメージ的(感覚的?)なもの。
ペーストしたところに正しいテキストが表示されていたとしてもそこには見えないエラーのようなものが含まれている気分になってしまい、結局はそのテキストを削除してまたやり直しすることになってしまっていました。

ファイルの新規作成時

ファイルの中身の編集中よりもファイルを新規作成する時のほうがこの強迫観念の発生率が高かったです。
ファイルを複製して作成、「別名で保存」メニューで他のファイルから新規保存、「新規作成」でまっさらなファイルを作成、いずれの場合も同じように強迫観念の可能性があります。

ちゃんと「別名で保存」という項目を選択できていたかどうか、保存する場所を間違いなく指定できていたかどうか、保存する形式を正しく選択できていたかどうか、など、気になることは様々ですが、どれかひとつの記憶が曖昧だと不完全恐怖となり確認強迫の強迫行動をしてしまうのです。

そして一度強迫行為をしてしまうと二度やっても三度やっても何かしらの操作が曖昧で強迫行為の繰り返しとなり、回数が増えれば増えるほど混乱するばかり。
いつも最終的にすっきり満足した気持ちになることはなく、ヘトヘトに疲労してなんとか妥協点を探ることになる・・・というのは強迫性障害のあるあるですよね。笑

パソコンの起動時

パソコンを起動するときからこの強迫観念が起こることもありました。
パソコン起動中に何か別のことを考えていて、起動時に流れる効果音を聞いてなかった時、起動時に画面上に表示されるグラフィックやメッセージ等を見ていなかった時、そういった誰も気にしていないようなことが気になってしまうことがありました。
そして気になりだすと例のごとく見えないエラーがあるような強迫。

起動からこのような状態だと何も作業を開始できないため、早速再起動することになります。そうすると今度はまた別のことが気になり、再起動できていない気がしてまた再起動の繰り返し・・・。

誰も気にしないような細かいことを気にする

OCDとなって気がついたことがあります。パソコンというのは毎回必ず同じように動くように思われがちですが、非常に細かい点では意外と完全には同じではなかったりします。

例えばパソコンの起動時、画面上にアイコンが出てきますが、これが表示されていく順番が微妙に違うことがあります。また、起動にかかる時間も少しは違うでしょう。

機械なので毎回完全に同じに動いているようなイメージがありますが、このようにどうでもいい部分の違いがあります。もちろん使用にはまったく影響のないことで、むしろこれが正常な動作の範囲なのでしょう。

しかし私の強迫は、このような微妙な違いに反応してしまっていました。
自分が知っている範囲であればやり過ごすことができるのですが、長年パソコンを使って仕事していても、これまで気がつかなかったような細かいことに今更気がついたりして、するとそれが正常ではないように思えて不安が増幅してしまっていましたね。

以上、見えないエラー恐怖の強迫性障害の思い出話でしたが、強迫性障害全般がかなり改善した今の私でもたまにこれらの強迫観念は出てきます。笑
完全に治ったわけじゃないんで・・・笑
ふだんの操作ではほとんど大丈夫なのですが、大事なファイルを納品する時とか、ちょっとプレッシャーがきつくなる時に出てくるんですよね。
でも、まあ以前に比べると仕事の能率が上がらないということもほとんどなくなったので、正直あまり気にしてないですけどね。

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