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美術展『倉俣史朗のデザインー記憶のなかの小宇宙』 -夢 : 浮遊 : 光 : 言の葉-

アクリルが好き

ガラスが好き

透明が好き

色が好き



光が好き

影が好き

夢想が好き

創造が好き

「好き」がいくつか引っ掛かるひとにとっては、きっと、ストライク✴︎
たった一つでも何か、良い方への引っ掛かりを感知したなら、その引っ掛かりの源泉に出合いに行ってみるべし!です。


1986年開館 内井昭蔵 設計

世田谷美術館って、いいですよね。
いつ来ても何度も観ても、建物の美しさについつい足が止まり、入口へ直行出来ず、寄り道をしてしまう美術館の一つ。
建物を観ているだけで、めちゃくちゃ楽しい時間を過ごせる。
幾何学的な意匠、内外の統一性、重厚さがありつつも威圧的ではなく、親しみやすい規模感、心底たまらんです。

このたまらん美術館で開催中の、途轍もなくたまらん展覧会、
【倉俣史朗のデザインー記憶のなかの小宇宙】
好みすぎるデザインの数々に、大興奮で顔の筋力が緩み、影の美しさに涙腺も緩み、色の魅力に夢中になった。



「トウキョウ」という名のテーブル 1983年

テラゾー好きにとっては、たまらんデザイン。円卓なのがまた良き。
散りばめられた色ガラスの、色彩と形状のバランスが絶妙で、可愛くて、楽しくて、美しくて、品がある。ずぅーっと観ていたい。
天板だけでも・・・いや、脚1本の一部、5cmだけでもいいので、ください。。

01 チェアー(シングル)/01 テーブル/01 チェアー(ダブル)  いずれも1979年

自然光と緑のある景色。
高層ビルの中や地下ではなく、広大な公園内にある世田谷美術館だからこそ味わえるこの空間。
そして展示物が絵画ではなく、家具だから出来ること。
照明も点灯しているけれど、やはり、自然光は気持ちがいい。
しっとりとした雨の日に、雨音を聴きながら静かな時間をここで過ごすのも、きっといいだろうなぁ・・・と、妄想。

「ハウ・ハイ・ザ・ムーン」 1986年
影も  いと美し

ハウ・ハイ・ザ・ムーンは、倉俣さん曰く「無重力願望の椅子」。
触りたい!座りたい!欲をそそるデザイン。
帰り際、チケットカウンターの正面に、座りOK!のハウ・ハイ・ザ・ムーンが置かれていることに気付き、その欲は満たされた✴︎*゜
驚いたのは、思っていたよりもずっと座り心地が良いこと。
金属だし網々だし、きっと固くて冷たくて痛いんだろうなと予想していたが、座面の奥行きが深く、背もたれが優しくカーブしているためか、なんとも言えない心地良さに包まれた。
淹れたてのコーヒーを飲みながら、この椅子で1時間くらい読書してみたいなぁとまた妄想した。
(ブラックよりもラテが好きだし、読書は苦手だけど!笑)
或いはここに、多数の猫さんを放ちたい。

「ハウ・ハイ・ザ・ムーン」のイメージスケッチ、かわいい (図録を撮影)




プロローグ 浮遊への手がかり
第1章 視覚より少し奥へ   1965-1968
第2章 引出しのなか           1969-1975
第3章 引力と無重力           1976-1987
第4章 かろやかな音色      1988-1991
エピローグ 未現像の風景

それぞれのパートで、倉俣さん自身の言葉も展示されていた。
哲学的な思考やユーモア溢れる感性など、それらに共感したり魅了されると同時に、その先をもっと見てみたかったと、悔しい気持ちにもなった。
倉俣さんは、56歳で亡くなられている。
夢想を形にすること、感覚を言語化すること、どちらにも清澄さを感じた。

「ミス・ブランチ」のイメージスケッチと倉俣さんの言葉(図録より)
「ミス・ブランチ」 1988年 (図録を撮影)


固定観念から解き放たれた、自由な発想の数々。
それらを具現する行動力と信頼関係。
意味よりも先に美しく、楽しく、心が嬉ぶモノづくりの真髄に触れた。
そんな気がして、心が熱くなった。

「ブルーシャンパン」  1989年 (図録を撮影)


じっくりゆっくり堪能して、約1時間半の滞在だった。(+外観寄り道30分)
展示品の数にしては、長めの滞在かもしれない。
それくらい心身ともに、フクフクになるまで味わった。

家具は面積があるから、会期終了間際の混んだ状態でも見えはするだろうけれど、それじゃあまりにも勿体無い。
「硝子の椅子」、「ミス・ブランチ」、「バー オブローモフのアクリル模型」等々、もの自体の美しさもさることながら、照らし出される影の形、影の色彩もたまらなく美しかった。
それらを様々な角度から観ては感動し、嬉びが湧き上がる。
少しでも興味がある方には、場内が混み混みになる前に、時間をつくって早めに観に行ってほしい・・・!
と、押して推したくなるほど素晴らしい展覧会だった。


〆に美術館の美をもう一枚 ♪


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