『売ること』のこれから
モノを買うことの変化
KAUKOTO.jpでは、これまでに、買うこと・売ることの事例から変化を捉えてきました。
書店の来店ポイント、スタバの参加型キャンペーン、買うことによる社会貢献など、『買うこと』に何らかの価値を加える事例が増えてきているのだと思います。
本企画では、モノの「作り手」や「売り手」といった企業側の視点で、これからの『売ること』を考えてみたいと思います。
売り手である小売業の変化
2022年の小売業の売上は、154兆4,020億円(経済産業省商業動態統計より)です。
全産業売上が約1700兆円ですので、小売業は最も大きい売上を誇る産業分野です。
まず最新の売上高ランキングを見てみましょう。
小売業の歴史は、昭和期のチェーンストア化を機に大きな転換期を迎え、上記企業も、チェーンストア化やM&A(合併・買収)を通じた規模拡大と、オペレーションの効率化を図ることで売上・利益の向上を実現しています。
規模の経済性により、仕入れ交渉力が高まり、競争力を得てさらに拡大するということで進化をしてきたのだと思います。
ランキングに入っている企業のうち、製造から一貫して行うSPA業態*(ファーストリテイリング、ニトリHD)を除いて見た場合、営業利益率が高いのがドン・キホーテのパン・パシフィック・インターナショナルHD、およびマツキヨココカラ&カンパニーです。
この2企業の特徴は、ワクワク感のある売り場体験を重視した店舗づくりや、H&BCカテゴリ*に力を入れながら、お客様にとってのお役立ち業態を目指すなど、小売業の大きな強みである「体験価値」づくりに投資し、売ることの付加価値を高めている点が成長のカギではないかと考えています。
*製造から販売まで垂直統合した販売業態(Specialty store retailer of Private label Apparel)の略称
*ヘルス&ビューティーケア(Health & Beauty Care)の略称
『売ること』のこれからを考える。
売り手の変化に少し触れましたが、ここからの連載企画においては、作り手であるメーカー企業の状況や、売り手の小売業に起きている兆し、買う場としてのリアルやデジタルの潮流など、現場に関わる人々のインタビューや取材を通じて、より深く『売ること・買うこと』の実相を考え、お伝えして行こうと思います。
次回から、
“『売ること』のこれから”
と題してシリーズ記事を掲載してゆきます。
お楽しみに。