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1人目コーポレート、まず何をやるべきか?

こんにちは、カウシェでコーポレートを担当している、giです。

2021年12月に入社し、自分が入社しながら、自分でコーポレート周りを整えていきました。

1人目コーポレート社員の皆さんには「何を整えていけばいいの?」という疑問があると思います。
このnoteはスタートアップなど設立間もない会社の「1人目コーポレートの方々の辞書」になるような内容をお届けします。

鍵原 季宏 / gi / Corporate
2012年に慶應SFC卒業後、日鉄ソリューションズへ入社し連結決算・監査等に従事。2019年以降メルカリ→メルペイ→メルコインと渡り歩き、複業でneuet社に従事。会計システム設計や業務設計に強みを見出す。とある夜、門奈に頼まれ会計処理を作らされたことがきっかけでカウシェにジョイン。趣味は護身術クラヴマガ。

私は10年ほどコーポレートに携わり、担当領域は採用・PR以外の全部で、業務設計からオペレーションまで全てを行なっております。
上記の経歴の通り、日鉄グループにいた頃は、連結決算・親子上場での開示・子会社監査・金融庁質問表などゴリゴリの会計論点を中心に対応していました。その後メルカリグループに移籍し、グループ会社の清算や立ち上げ、会計システムの設計・運用などが実務の中心でした。

1人目コーポレート、何を整えていけばいいのか

1. ロードマップを想像してみよう

ロードマップと聞くと大げさに聞こえますが、これから会社の未来を考えることになるので、それくらいの名前を付けてもいいと思います。
会社と世の中、事業計画などをもとに、どんな未来になっていくかをゆっくり考えてみるのが、最初のステップです。

これから1人目コーポレートを採用する場合は、ロードマップを書いてもらうことを課題にするのも良いかなと思っています。
なお、入社時の立ち位置・知識量で書ける部分・書けない部分があると思います。書けることが大事なのではなく、どこまで想定できるか、想定できない部分はどう補うか、を考えていくことこそが大事です。

具体的に何をやるか

縦軸に組織、横軸に時間軸をおき、ロードマップを想像してみましょう。
とはいえ、初めての場合だと分かりづらいと思うので、自分が作成した方法を記載してみます。
縦軸は、2つのブロックに分けます。

  1. 主要イベント・タイトル・個人的な目標・人員数

  2. 総務・経理・財務・労務・人事・パートナー管理・法務・内部統制・事業

横軸は、3ヶ月単位でセットします。
縦軸・横軸についてそれぞれ説明していこうと思います。

▼ 縦軸について

主要イベント
社会や会社で起こり得る主要な出来事です。例えば、オリンピックや資金調達、IPOの目標など、自分で想像したり、経営陣にヒアリングをしながら書いていきましょう。

タイトル
コーポレートとしてその年度で、どんな姿を目指したいかを書いていきましょう。

個人的な目標
コーポレートキャリアだと幅広い領域の学習や専門が不可欠です。そこで、OJT以外にもOFF-JTでの学習もどうしても必要となってきます。
その場合のライフワークバランスを考える観点からも、人生で何をしていきたいか(資格や趣味、野望、次の転職など)を書いていくと良いでしょう。

人員数
これは最後に書くことになりますが、ロードマップを引いた上で、どれくらいの人数が必要になるかを想像してみましょう。多くの場合、コーポレート人員は予算上の調整弁になったりするのですが、自分としてどれくらいの人がいれば回るか、を想像しておくと良いです。

各組織
各々の経験により想像できる範囲があると思いますが、やらなくてはいけないことは必ずあるので、組織を並べてみましょう。
組織構成は上記人員数があればいいかな、と思います。
各論は長くなってしまうので、今回は省略します。

▼ 横軸について
ロードマップなので、未来になるほど不確実性が増していきます。
このロードマップでやりたいことは、現時点での会社全体の課題をあぶり出し、何から手を付けていくかを考えていくことです。
したがって、細かくスケジュールを引くというよりも、このタイミングにはこれが必要、またはあると良いな、というのを並べていく方法が進めやすいでしょう。

2. 頼れるリソースを整理してみよう

ロードマップを書いてみると、書ける部分・書けない部分が出てきたのではないでしょうか。
私も未だに詳細を調べながらやる業務がいっぱいあります。領域は広い上に、毎年何かしらの領域の改正が発生するためです。
一方でわからないことは、明確になってきているので、そこに手を打っていけば良いことになります。
そして更に良いことに、コーポレートの「各領域」はそれぞれ専門家がいるので、外部リソースを確保することが可能です。
個人的に優先すべき外部リソースは、労務 > 法務 = 税務(会計)の順で考えると良いと思います。

優先付けの背景

労務
労務管理周りは設立間もないと自力で頑張っているケースも多いかと思います。
しかし、ワンショットの案件だったり、多種多様で昨今は改訂も多く油断すると法令違反をしやすい領域でもあり、誤ると即座に従業員にも影響が出やすい領域です。
また、給与計算も慣れない人が手を出すと誤りやすく、時間対効率が悪いためです。
多くのケースではスケールすると外部に出す業務であるので、早めに連携体制を構築したいところです。

法務税務(会計)
ベンチャーの場合、資本政策の関係もあり、経営陣で繋がりがあるケースが多いです。
どういう関係性なのかを確認しつつ、紹介してもらうと良いでしょう。
一方で、コーポレートのオペレーション領域でどのように協力してもらえるかなどは、担当になったらしっかり関係を構築していくようにしましょう。

それ以外のリソース(例えば産業医の先生など)
当面は対応する必要(余裕)が無いのと、多くの場合、上記の外部リソースのいずれかと連携できれば、紹介頂けるケースもあるので、あまり心配せずで大丈夫です。

補足:コーポレートの役割とは?

外部専門家が「各領域」にいる中で、コーポレートが果たすべき役割は何なのか。
それは、各社それぞれの文化と課題の調和を取りつつ、取り組むべき課題の優先付けと解決を行っていくことだと思います。

そこにはもちろん、専門知識がなくて良いわけではないので、各領域の一定程度の専門知識は必要になっていきます。
ただし、ミクロな各論まで深い知識というよりかは、ある施策を打とうとした場合の影響範囲と解決策が見通せるまでの知識までを広く付けていく、ということになると思います。
例えば、「リファラル制度」を導入しようと思った際にも、人事面(人材獲得戦略)・労務面(支給方法・就業規則改正)・会計(予算・計上時期)・法務(職安法ケア)・インナーコミュニケーション、など考慮すべき要素は多岐に渡ります。
施策を思いつくこと自体は他社事例があるのでそこまでは容易ですが、各社の状況に応じてアジャストしていくところに価値と醍醐味があると思っています。

3.  社内のヒアリングをしていこう

既存の課題を抽出するための1on1

ここまでは、自らの想像力で課題を考えていきました。
一方で、既にいるメンバーからは「細かいけど困っていること」も数多く存在しているでしょう。

そこで社内1on1をセットして、既存の課題を抽出していきましょう。
例えば、休暇関係であれば「全休制度しかないが、半休制度がほしい」「入社してからいつ休暇がもらえるのか分かりづらい」などが声として上がってくることがあります
(なお、カウシェでは入社時点で特別休暇として5日付与し、半日単位で取得可能です!)

実施のポイント
人数も少ない時期なので、役員含めて全メンバーとの実施を目指すと良いかと思います。
テーマ設定を明確にし、入社後の顔合わせや仲良くなるための1on1とするのではなく、「労務」などのハットをしっかり被り、課題のヒアリングとして「厳しい意見を言ってもらって構わない」という環境を明示すると、参加してもらう方々も答えやすくなります。。
1on1の内容はテキストに起こしつつ、メンバーと共有しながら実施すると良いです。

ときには、個人的なことも出てくると思うので、基本的に役員や第三者と共有する内容が出る場合は、明確にしておくと、心理的な安全性も担保出来るので、良い話ができると考えています。

4. タスクリストを作ろう

仕事のプロット

緊急度と重要度のプロットをしようとすると、だいたいコーポレートの採用をする時期は、直後はどちらも高い案件ばかりが乱立しています。。
そして、スキルによってはこの評価が難しいケースが多いでしょう。
そこで、このような形で考えるのはいかがでしょうか。
まず、タスクを「自分で出来るもの」or「自分で出来ないもの」で分類します。その次に「必要となりそうな時間」を算出し、仕事のプロットを行いましょう。

自分で出来ない、かつ時間がかかるものから外部リソースに依頼をする。自分で実行出来て、短期に処理出来る案件に着手し並行して進めていくと言うことをおすすめします。

初期の段階では、対応することが容易であるものの、工数が避けず仕組み化出来なかったり、都度対応となっており工数を余計に消化しているタスクが多いので、先に片付けておく方が、将来的にレバレッジが効くケースが多いからです。
ただし、季節性のあるもの、例えば住民税や就業規則の提出、株主総会などは別途注意して進めていくと良いかと思います。

5. 取り掛かったらドキュメントを作ろう

コーポレートの成果はルールメイキングになることが多いです。
そのため、

  • 課題の背景

  • 達成したいこと

  • 打ち手のPros

  • Consの整理

  • 意思決定のプロセス

を可視化していくことが非常に大事だと考えています。
特に、最終的に意思決定するのは役員層になっていくので、説明コストを下げていくためにも文章化をおすすめします。
また、検討項目が多く時間がかかる案件となることも多いので、案件を忘れたり(意外とよくある)、思い出しやすくなる、というメリットがあります。

個人的には組織が大きくなればなるほど文章の力が重要になっていくので、端的に情報を整理し、伝え、意思決定をしてもらえる訓練と思ってやるのが大事だと思っています。
将来的に多くの人が参照する可能性があるので、別途口頭での説明が必要になるスライドではなく、書面だけで完結できる説明する文章が望ましいでしょう。


実際の事例を取り上げてみます。

海外在住社員を受け入れるには何をすればいいか

カウシェでは、香港在住の正社員がいるのですが、海外在住社員を受け入れる上での検討ポイントは2つに分類されます。

  1. 法制度面

  2. 組織文化面

法制度面

今回のケースだと、労務・税務の問題の整理と解消が求められます。
例えば、労務観点では、社会保険料の取り扱いはどうなるか、給与をどう支払うか、健康診断の受診をどうするかなど。
税務では、源泉徴収・PEに該当する仕事をしないかなど。

組織文化面

時差の取り扱いをどうするか、祝日の取り扱いをどうするか、オフラインイベントの実施があればその参加方法、将来的に在外在住したい国内人材の希望を叶えるかどうか、など。

それぞれの向き合い方

法制度に関しては、社労士先生や税理士先生に照会をしつつ、必要な制度を構築していていきます。
組織文化に対しては、上記の法制度をクリアしつつ、自社で実現したい文化や業務スタイルにどう統合していくかを社内で対話しつつ決めていくことになります。


コーポレートをどんな組織にしていきたいか

「みんなともんなを働きやすく」

入社時のキーワードはこれでした。(もんな = カウシェCEOの門奈)
コーポレートは従業員のみんなの課題を解決し、働きやすくすることが重要なミッションです。
一方で、経営者もいろいろな苦悩を抱えつつ、決断をしていく必要があります。

それぞれが見えている世界があり、その両軸を踏まえた、会社運営・組織を描き、実現していくことがコーポレートの役割だと考えています。
しかし、「みんなともんなを」は最近、あまり使わないようにしています。
その理由は、段々と組織が大きくなることで、CEOはより会社での力を持ち、社会の公器としての振る舞いを求められることになっていきます。

そのときに、コーポレートがCEOに忖度やお友達意思決定をする組織ではなく、公平なサポートを実施し、必要があれば話し合う、そういう組織でありたいと考えたためです。

オトナな組織を最適設計できる組織へ

人員が多くなっていくフェーズでより「統制」や「稟議」などがシステマティックに求められていきます。
投資家から求められている、IPOを見据えたから、といった外的な理由で取り組むのでなく、導入することの意義を理解してもらいしつつ、いかに効率的に実行で着る仕組みの設計・運用保守ができるかが鍵になっていくかと思います。
これは、大小の企業を経験してきたコーポレートがいるからこそ、実現できるのではないか、と考えています。

多様な働き方の実現など複合的な問題を解決できる組織へ

カウシェは複業制度や時短社員など「働き方」の多様化を受け入れつつ、国内外で様々な雇用形態や生活リズムのメンバー同士が混ざり合い、働いていく会社になると思っています。
このように理想は高く掲げるものの、実現は容易でなく法制度は多種多様でより深い検討が必要になります。
また、決して答えが一つ定まらない文化面もクリアしていく必要もあります。

複合的で難しい問題であるが、各々が多様な専門性と文化に関する関心、いうなれば、理性と感情のどちらも考慮しながら、ステークホルダーや社会にも貢献できる組織としていきたいです。

幅広い専門性とクリエイティブな解を持つ組織へ

コーポレートの業務は、幅広く日々変化していくビジネス環境に追随、または先回りして対応をしていく必要があります。その中でも、常にともに学び続け、課題に取り組み続ける組織でありたいと思っています。

規制や統制など多くの制約が発生する部分ではある中でも、各領域の知識やIT技術などを掛け算しながら、仕方がなくやる、ではなく、やるからには皆がHappyになるクリエイティブな解を模索していきます。
コーポレートは何しているかわからないコストセンターではなく、会社組織・運営という観点からグロースの支援ができる組織であり続けたいです。

「世界一楽しいショッピング体験をつくる」メンバーを募集中

カウシェでは、共に「世界一楽しいショッピング体験をつくる」メンバーを募集しています。少しでも気になった方は、ぜひ下記よりエントリーいただければと思います。ご希望があれば、弊社のメタバース・オフィス「カウシェアイランド」でのカジュアル面談も可能です!


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