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情報弱者は年齢や世代に関係なく存在する。


4月から成人年齢が18歳になりました。
この変更による、クレカやローンの契約トラブルを懸念する声があがっています。

もう4月も終わるのに今ごろ?と思われるかもですが、この記事は下書き後に推敲してアップするつもりでそのまま忘れてしまっていたのです〜😱😱⁉️

もう今さら感が満載で、ボツにしようかとも思ったのですが、誰かの役に立つかもしれないので公開することにしました。


以下の太字部分は、闇金業者が主人公のマンガ『闇金ウシジマくん』の作者、真鍋昌平さんの発言をまとめた読売新聞のWEB記事からの引用です。

【ヤクザの周辺で詐欺をしている人と話した時、「街中を歩いていて段差を見つけたら、ぶつかって損害賠償を請求できないか考える」と言っていました。だます人たちはどうやったらカネを取れるかを常に考え、勉強し、行動しています。カネのにおいにも敏感です。例えば新型コロナウイルス対策で給付金が出るなら、だまし取る手口をすぐ考え、実行します。社会を知らない18、19歳が、未成年者取消権の適用外になって親の同意なしで契約できるようになるなら、高額なローンやクレジットカード契約をさせ、お金を取ろうとするのは明らかです。

20歳前後の若者と話していて感じるのは、自分の関心事はよく調べて詳しいけど、それ以外は知らず、興味もないということ。格好良くなりたい、承認欲求を満たすものが欲しい、という気持ちも強いと思います。情報商材を購入し、トラブルになる若者が多いのは、こうした特徴につけ込まれているからでしょう。だます人は情報弱者を狙います。18、19歳はカモです。】

[18歳成人]メッセージ<3>「無知は罪」格好のカモ…「闇金ウシジマくん」作者 真鍋昌平さん 
讀賣新聞WEB版2022/03/31 の記事より一部抜粋して引用させていただきました。


でも、わたしは思うのです。
18歳〜20歳ぐらいの学生世代は、自分(たち)が情報弱者だなんて、たぶん(絶対に)思ってないはずだって。
かれらの認識では、情報弱者=高齢者(または親世代の中高年層)なのでは?
「流行りものや新しいものに追いついていけない世代イコール情報弱者」と、決めつけているケースも多く見られます。

では、情報弱者が多いとされる高齢者、中高年層の意識はどうでしょうか?
じつはこちらも「最近の若い者は、なんでもスマホで調べればすむと思ってるから、ものを知らないし考えも足りない」と、若い世代のほうが情報弱者だと決めつけているケースも少なくありません。
誰しも自然に、あるいは意識的に、自分に必要がないものは切り捨てるという選択をしているだけなのですけどね。
ただ興味や関心の幅には世代間でズレがあるため、ついつい錯覚してしまうのです。
キャパシティには限りがある、という部分では、若年層も中高年層も変わりません。

しかし社会人になれば、本来なら無縁のはずの事態や情報に接する機会もあります。
実際にローン地獄なんかに陥っている人々と遭遇する割合も、社会人の場合は、学生時代とは段違いに増えてくるからです。
例えば、そこそこの給料を貰っている正社員なのに、何故かいつもお金に困っている人とか、食費などは異常なほど節約しているのに、そのくせ妙に金遣いが荒い人など、まわりを見回せば、そんなひともいますよね?
ギャンブル狂い、買い物狂い、趣味に半端なくお金をつぎ込むひと‥‥その中にはかなりの確率で、現実にローン地獄に陥っていたり、消費者金融の返済に四苦八苦しているひともいるはずです。
当事者がいくら隠していても、その種の情報は、まわりまわってどこからか耳に入ってくるものです。もしも全く気づいていないとしたら、それだけ周囲の人々に無関心だからでしょう。

こうしたリアルな情報の断片を持ってるだけでも、「本当にヤバいひとほど一見は全然そんなふうに見えない」とか、「派遣だからクレジットとキャッシングの両方を利用するのはやめておこう」など、自身の経験則に照らした危機回避能力がはたらくようになるものです。
が、これは交友範囲がネットや同世代の友達ばかりに偏る学生が共有する代物とは、少しばかり種類の異なる情報です。
狭い範囲での経験や情報をしか持たない学生たちは、だから罪の意識もないまま「仲間を増やす」ことに特化した詐欺などにひっかかるケースが少なくないのです。

一方で、高齢者は逆にその「経験や経験則からくる思いこみ」を、特殊詐欺に利用されているのが現状です。
70年も80年も生きていれば、親族が大金を必要とするような事態に巻き込まれることもあるだろうし、友人知人の体験談として耳にする機会もあるでしょう。
商売をしていれば、取引先の銀行から電話がかかってきたり、銀行員が直接やってきたりすることも普通にあります。
商売をしていなくたって、長年にわたって毎月一定の金額や給料が振り込まれていたり、口座にそこそこの資産があるような顧客には、銀行は保険だの資産活用だの、いろんな商品を勧めてくるものです。
営業電話を受けたり、おすすめ商品の資料が送られてくるのが当たり前になっていると、銀行員を騙る詐欺の電話に対する警戒のハードルも低くなりがちです。
還付金詐欺も同様で、敵は高齢者の経験則と思いこみを上手くついて、特殊詐欺に利用してくるという寸法です。
消費者金融のCMに好感度の高いタレントが起用されるのも似たような理由で、あれも利用者のハードルを低くするのが目的だと考えてまず間違いないでしょう。

情報弱者を情報弱者たらしめているのは、もはや年齢ではないことは明白です。
それはそのひとが置かれている環境や、選択の結果によるところが大きい。
ならば、被害に遭わないためには、何を知っておくべきだと思いますか?

若い世代のクレジットカードの契約や所持が危惧されていますが、クレカを持たないという選択は、昨今ではあまり実際的ではありません。
キャッシュレス決済の普及、通販サイトの利用の頻度、ポイントの活用や利便性などを考えれば、最低でも1枚は持っておきたいところです。
しかし昨今は派遣の仕事も多く、収入も不安定なケースが多い。正社員だって、ボーナス払いで買い物をしても、いろんな理由でそのボーナス自体カットされかねないようなご時世です。
収入が減ると、クレジットでの買い物の支払いに困って、今度はキャッシング機能を利用してしまったり、金額が大きくなると、消費者金融や闇金に手を出すことにもなりかねません。
カードで限度額いっぱいまで買い物したり借りたりするのは、危険だと認識しておくべきです。
ポイント取得が目的でカード決済を利用して、数百円数千円を得するのと引き換えに、のちのち消費者金融やリアル闇金業者とお知り合いになるような事態になっては目も当てられません。

ごく一般的なクレカの勧誘にしても、『現金購入よりもカード決済のほうがどれだけ便利でお得か』を売りに、買い物客に高価な買い物を勧めて、その場で契約にもっていくのが昔からの手口です。
家電量販店などのカードの多くにクレジット機能がついているのは、そのやりくちでクレジット契約を勧めてきたからです。
これはカードを発行する店舗側にもメリットがあって、クレジット契約が成立した瞬間から、顧客の支払い義務はそちらに移行するので、もし支払いが滞っても、店側はまったく被害を受けずにすむからです。
すなわちそれが、大抵のカードに「クレジット機能が付いている理由」です。

クレジット会社は、ハードルを下げることで契約を容易にし、顧客に限度額いっぱいまで利用してもらって手数料や利ざやを稼ぐのが目的です。
クレカにキャッシング機能が付いているのはそのためです。カードを使っているうちに、利用可能限度額がどんどんアップされていくのも同じ理由です。
では、クレジットもキャッシングも限度額いっぱいまで使ってしまったケースを想像してみてください。
闇金ウシジマ君の作者さんが指摘していたのは、悪いひとに契約させられたクレカでそういう状況に置かれるケースです。
では、もしも支払えなくなったら具体的にどうなるのでしょうか?即答できないのなら、この件では自分は情報弱者かもしれないと疑ってみることです。
契約する前にそれができれば、トラブルを回避できる確率はかなり高くなるのではないでしょうか。

高齢者も、携帯電話かスマホを持っているのなら、もう家の電話は使わないようにして、とにかく知らない相手からの電話には出ないことをお勧めします。
電話をとらなければ詐欺被害には遭わないぐらいに考えたほうがよほど安全です。
ご承知のとおり、敵は『必ず先に電話をかけてくる』のですから。
いっそ固定電話を処分して携帯電話だけにするほうが、いつでも電話にでられるし、外で緊急事態に遭遇しても、携帯電話が手元にあれば、すぐに誰かに助けを求めたり、連絡をとることもできます。
すでに固定電話は、必要不可欠な連絡ツールではなく、有害ツールに等しくなりつつあるのだと、そろそろ認識を改める時期に来ているのではないでしょうか。

情報弱者とは、知らなければ損をする有益な情報を得られないひとや、得たとしてもその情報に対して適切に対応できない人のことだと言われています。
がしかし、詐欺をはたらくような人物を目の前にしてしまえば、その場で適切な行動がとれるひとは稀です。
では、なにが正しい行動なのか?どうすれば被害に遭わないようにできるのか?

肝心なのは『最初の段階で上手く逃げることができるかどうか』です。
家の電話をとらなければ高齢者が詐欺被害を回避する確率が上がるのと同じです。
見るからにヤバいひと、ヤバそうな気のするひとには近づかない。話も聞かない。用事があって今は時間がとれませんと断って、そのまま逃げる。
ありえないような儲け話をしてくる友人知人が相手の場合も同じです。
友人知人を紹介すれば得する系の話の大半は詐欺だと思って、迂闊に誰かを紹介すれば、自分だけでなく相手も道連れにしてしまうことを知っておいてください。

ハインライン作品には、情報弱者という言葉が知られるよりもずっと前から、これに近い彼の考えが書かれています。
それについては、またべつの機会に書きたいと思います。

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