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1987年2~3月 初海外はドイツふたり旅 08
3月6日(金) 続き
検問所を通り抜けて、ようやく東ベルリンに踏み込む。
壁の近くはさびれ、荒れている。
通りを走る車は、西よりやや劣る、というか、時代がかってる。
軍服の人や工事関係者が目立つが、後は、意外と、西ベルリンと大きな違いが感じられない。
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ウンター・デン・リンデン Unter den Linden
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フリードリヒ大王騎馬像、らしい
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オペラハウス、フンボルト大学、図書館、教会、いかめしい外観の建物がいっぱい。
ふりかえると、かすかに、赤い旗のひるがえるブランデンブルク門が望める。
ずうずうしくも、オペラハウスの中をのぞくことに。
中のシャンデリアなどをまじまじと眺めてから、「あ、間違えました~」てな感じで出てきた。
まず、カフェに。基本の腹ごしらえ。
東の25マルクもきれいさっぱり使ってしまいたいし。
両替したお金は東で使い切ってこないと、西では全く価値がなくなってしまう。
にわか「がっちり買いまショー」の様相を呈してきた。
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細かい豚肉入りのグラタン、小さいトースト、つけ合わせにゆでニンジンとレモンの切れ端。あと、コーヒー一杯。
コーヒーは、薄いが香りはちゃんとあっておいしい。
量は西より少ないが、ウェイトレスさんはきれいで親切だし、なんだか、居心地よい。
日本のヘタな喫茶店よりも良心的では? ここでの出費は8.50マルク。
変てこな四角い建物。入り口の前に、兵隊が二人、直立不動で門番をしている。真ん中に一人、軍人もいる。
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ソビエト無名戦士廟というものらしい。中に入れるようなので入ってみる。
いかにも廟らしく、特に飾りのない四角い空間の真ん中で火が燃えている。
出てきてから、おっかなびっくり真ん中に立ってた軍人さんに
「写真撮ってもいいですか」
と聞くと、なんだかすごーく喜んでツーショットを撮らせてくれた。(別にそういうつもりでは……)
見れば見るほど、シルベスタ・スタローン氏に似ている。
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その後、ランボーさんが「横のそいつらとも一緒に撮れば?」と言ってくれた(らしい)ので、Kは左の人と、私は右の人と一緒に写真を撮った。
「お仕事中、すみませんねえ」
小声の日本語でどうにか横に立ち、微動だにしない彼らと、写真に収まる。
私とツーショットになった若者は、銃剣を構えて前方を見据えたまま、シャッターを切る断になると、突如、馬のいな鳴きまねをして、人を思い切り笑わせてくれた。
ちなみに、三時間くらいたってから、帰り道にまたこの廟の前を通ると、相変わらず、彼らが立っていた。
馬のいな鳴きマネ君は、こちらに気づき、一瞬吹き出しそうになり(なぜだ!?)その後、必死にこらえていた。
ソヴィエト無名戦士廟の後は、さらに進んでNational Garallee。
だが、なんと三月いっぱいまで工事で入れない!
ギャラリー横のドームなんて、壊れたまんまだし。
大戦の爪あとは、まだまだ生々しい。
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Altes Museumに入る。ナショナルギャラリーのすぐ前。
入場料0.70マルク。面倒なので、1.00マルク払う。
中で写真撮影したい時はもう1.00マルク払う、らしい。
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アンディ・ウォーホールがいきなりあって、びっくり。
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あとは、「社会主義って、いいネ!」的な絵画や、どこの美術館でもありそうな彫刻など。
この美術館の窓から、ナショナルギャラリーの横の古い建物(廃墟)がよく見えて、ますますすごい。
ツグミか? という鳥が沢山いてかわいい。スズメらしき小鳥も。
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お金がなかなか使えない!
しかたなく、本屋に入ってロシア語の本を何冊か買う。
全部で6~7マルク。これが最初、どこに値段がついているのか全く判らなくて、カゴに入れてレジに持っていった時に、初めて知ったのだが、裏表紙の手前、最終ページについていた。
だからレジで値段を言われるまで、実にドキドキものでした……
お金はじゅうぶん足りた。良かった!
小さな店がたくさん入っている建物があった。東ドイツらしい行列があちこちで見られる。そしてアイスクリームを食べている人も多い。
果物は西側よりもやや質が落ちる感じだった。
『共和国宮殿』と呼ばれる建物に映るベルリン大聖堂。
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橋(Schlossbrücke?)からみた改修中の博物館(開いていない。しつこい?)
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コーミッシェ・オーパーについている、『カフェ・エスプレッソ』という店に入る。
コーヒーといっしょにケーキが食べたいね、ということでメニューを探し、
『さくらんぼ kirsch』という表記をKがみつけてくれたので、よっしゃ、これや! とそのへんのところから二つ、注文する。
そしたら、運ばれてきたのはなんとリキュールだった。
しかも、リキュールグラスにそのまんま、ストレートのやつ。
二人して大喜び(?)しながら、リキュール片手にコーヒーを飲む。
甘くて、なかなかおいしい。それにあたたまるし、と二人で負け惜しみを言いながらチビチビやっていると、隣の席のおじさんが
「ヤーパンか?」
と話し掛けてきた。で、色んな話をする。
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東ベルリンに1915年から住んでいる。
東にはちょっと(かな)うんざりしている。週末には郊外に出かけるらしい。
オペラはコーミッシェの方が好きで、ワーグナーとかの重いヤツはあまり好みではない。
ベートーヴェン、シベリウス、ベルリオーズ、モーツァルト、バッハなどをよく聴く。
孫がいるけど、別々に暮らしている。
あとから気がついたけど、おじさんの名前を聞いてなかった!!アエロフロートのスタッフにまで名前聞いたのに。
他にも教えてもらったのが
・東ではロシア語が必修授業である。
・近くにホテルが建設中だが、日本のカジマが作っているため、日本人が多く働いている。
(そう言えば、ヘルメットに「安藤」とか「辻」とかついた人を見かけた)
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・次の日曜は世界婦人デーで、男性は女性に、花などをプレゼントするそうな。
おじさんは、奥さんにワインを買ってあるんだって。
今日は、奥さんが映画を観に行っていて、それを待ちながら時間をつぶしていたら、目の前で、コーヒー飲みながら酒をちびちびやっている東洋人がいたので、つい、不思議なこともあるものだ、と声をかけてしまったらしい。
変わったこともしてみるもんだ。
他のテーブルにいた、パンク風兄ちゃんがこちらのテーブルに来た。
鼻に安全ピンがささっている。
おじさんの通訳(?)によると、日本人とお友だちになりたがっている、というのか、結婚したがっているらしい。性急な話やね。
本人は、しごくまじめの様子で、特に、ドイツ語が話せるKに興味しんしんのようだった。
しばらく話をしていってから、パンク兄ちゃんの連れが帰るというので後ろ髪ひかれまくりながら、店から出て行った。
その連れは、ロングコートの下に、店のグラスを二つ、かくし持って(ちらりとこちらに見せていった。手品じゃないっつーに。) 悠々とその場を去っていった。
カフェで結局、5マルク払う。ボーイさんが「えっとお釣りは……」と もたもたしてたのだが、どうせ他に買うものもなさそうだし、と
「釣りはいらねーよ!」と。
うーん、いつか一度は言って見たかったセリフ!
ボーイさんは、とたんにサービスが格段によくなった。もう帰るんだけどね。
なごり惜しくおじさんとお別れして、再び検問所へ。
手前で、土産にトランプを買う。3.90マルク。この小店は宝くじも売っている。
東から出る時の検問は、もっとあっさりしている。
あっという間に、西側に帰還できた。
外は小雪が舞っていたが、二人とも寒さも忘れ、すっかり興奮状態で帰っていく。
Uバーンにて、Friedrichst.の駅で降りると、なんと軍服のハンサムボーイが立っていた。
よく見ると、ここのUバーンも国境らしく、検問があった。
スーパーにて、スパークリングワイン0.2l、リンゴジュース3つ、
ベリーたっぷりのクーヒェン、マカダミアナッツの載ったチョコクッキー、imbissにて、ゆでソーセージを買って、ホテルにて小宴会を催す。
東で食べられなかったケーキの仇をようやく討つ。
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