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菓子問屋の旦那

ー 会うたびに言うことが違う社長は多い。いいのか悪いのか。 ー

 適材適所という言葉があるが、これを判断するのは、そう容易くない。ましてや本人が本人を指名した場合は誰も精査出来ない。
 オーナー社長がこれに当たる。
本人が自戒し学習し成長する覚悟のある人ならいいだろう。しかしそうでないとしたら、もしくは、そう見えたとしたら信頼は寄せられるのだろうか。
 これはそんな菓子問屋の社長からの依頼で始まった物語だ。
 菓子を扱うなんて、夢のある仕事に思えた。大人になり、今でこそ酒のアテになるようなビターチョコくらいしか手に取ることもなくなったが、子供にとってはパラダイスだ。人には必ずハマった菓子があるはずだ。煎餅やスナック菓子、おまけの付いたキャラメル…おっと歳がバレるが、カードやおまけ欲しさにまんまと大人の策略どおりの消費行動をとる。

 正確には、最初の依頼は社長からでなく、その部下の番頭さんからのものだった。番頭は社長=旦那から信頼されているようだった。
 
 問屋とは、何をする会社なのか。ネットでの店舗直販が主流となっている今、自然に問われる疑問だろう。
当社は、顧客であるスーパーマーケットなど小売店舗の棚管理をすることに活路を見出していた。消費者の購買傾向は、季節や季節ごとのイベントなどでも変化するし、王道的商品や流行り廃りもあるのだろう。
 選択肢が多いだけに、消費者だけでなく、店舗も売れ筋の検討は難しいだろう。数ある商品群の中で、菓子だけでも任せられれば他の商品に集中出来るなど、メリットは大きそうだ。
 マーチャンダイジング(以下MD)の適正化対象は、
1.商品
2.場所
3.時期
4.数量
5.価格
である。この殆どを任せられるとしたらお店としては心強いだろう。
 当社でまとめた問題課題一覧を頂いていたので、最初のヒアリングから少し経って、問題解決の提案をした。
 当社のテーマは、
・コミュニケーション
・タスク管理
・情報共有
・基幹業務
と分類して問題点を課題・解決と進めていった。
 このとき社長=旦那は、よく整理されありがたいと言ってくれた。頼りたいとも言ってくれた。

 はじめにお声がけ頂いてから半年程が過ぎた。さてスタートと言う話で、社長とお会いしたが、自分でやってみます、出来ます、という。
 社員は誰もそう思っていないが、社長に歯向かえない。
社長の役割の中で最も重要なことは、意思決定だろう。「朝礼暮改」、状況が変化すれば即対応するのは正しい。状況が変わっていない、もしくは明かされていないときに意思決定が変わったときには、どうだろう。説明が必要なはずだ。ロジカルでない決定や変更は周囲を混乱させる。その周囲が社員の場合には、社長の役割の大事なことのもう一つ、方向性を示すとうことも出来なくなっているかもしれない。下手すると信頼を失うこともあり得るだろう。
 あなたの信じる原理原則とは何か。聞きたくても聞けない場合が多いだろう。
 その後番頭さんは事実上の降格、改革を止められた。
会社を変えようとコンサルタントから事業会社の経営に関わりたい、会社や社長を支え、変えていきたいと言っていた方も転職したと聞いた。
 業務改革の前に経営者を支え良い悪いを言ってあげられる存在が必要だが、そういう人を歓迎しながらも、のちに排除する人も少なくない。
経営者は孤独だ。

経営者に伴走します。【戦略ドック】

旦那


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