日系海外検品会社の闇と行く末

基本的に海外にある日系検品会社はアパレルの第三者検品会社の事を指す。

検品会社の定義
生産工場で生産された製品を工場で品質検査したうえで、見逃しがないか確認するために第三者検品が存在する。基本は生産工場のでも検品されたA品(不良品でない製品)を第三者検品会社へ第三者の観点で品質の最終チェックをする。検品会社(特にアパレル)は日本特有のもので、欧米では検品会社という観念は無い。なぜなら欧米の消費者は見てくれ重視で縫製の細かいところやまで、気にしない。もし日本の消費者も、金額によっては気にしないと思うが、販売会社はそれを細かい基準にして、不良判定になった場合、検品会社にクレームをぶつけてくる現状。

日系海外検品会社の闇
日本で生産するには経費が掛かりすぎるため、利益が見込めなくなった生産物を発展途上国、第三世界のような人件費や経費の安い国で生産、製造するのだが、そのような国はそもそも品質管理の感覚があまりなく、それを現地の人間に日本人のように教えることは困難。日系とうたっていても、実際作業するのは現地の人間(外国人)で日本人的な品質管理の指導をしても、根本的な感覚が違うため、気が付いたらもとの現地人の感覚に戻っているので、指導しても継続的に何度も続けて監視しなければならない。尚且つ、検品費用は1枚数円から数十円台の世界で、それで作業後に何か製品に問題があれば何でもかんでもバイヤーから倍賞請求される。(中には業界の事情を分かってくれているバイヤーおり、そんなにぶつけてこないところもありますが、少ないのが現状)多くの経費を絞るだけ絞って利益を上げたい海外生産している日系バイヤーは日本に到着した製品に問題があれば簡単に検品会社にクレーム請求してくるが、基本的には検品会社は作業料分の返却しか保証できない。失敗した時の保険としてクレーム、損害賠償を検品会社にぶつけてくる会社が多いが、”保険”という意味での検品会社を通しているのであれば、作業料とは別に毎月”保険”の積み立てをしてもらうべきである。
基本的にはお客様ありきの間(ハザマ)産業で、大してもうからない、理不尽なクレームが多い、しかしながら日本向け製品には必要という事で、無くなりはしないが、誰もやりたくて検品会社に就職する人は無く、アパレルでいえば、アパレル関連業界でずっとやってきたが、リストラや何らかの理由で解雇、若しくは辞職せざるを得なくなったような人が多く、海外駐在の日本人スタッフの平均年齢がかなり高い(40代後半から定年前まで)なので、その年齢で別の職種に就くのも、アパレル業界でどっぷり働いていたため他の会社で同じ部署に就くのも困難なため、業界経験者最後の砦として検品会社に就職する。アパレル業界の一部では検品会社はアパレル関係者の墓場といわれている。アパレル関係業界出身で検品会社と付き合いがある会社の人であれば、もうからないし、理不尽なクレームもあるそんなストレスがものすごくたまるような検品会社は誰もやりたがらない。検品会社の客側の立場の業界の人であれば、現状を知っているので尚更やりたがらない。もともとアパレル業界出身でない人で過去の経歴で検品会社と絡みが無いような人で検品会社に就いている人は比較的若いが、その真たる事情は知らされていない。なので、40代前半以下の人は前職や過去の職業の履歴がいろいろな職種の人が多い。
検品会社も規模によってさまざまで、アパレル検品オンリーのところはアパレル関連業者の成れの果て(墓場)となるので、他の考えができない。検品会社は基本アパレルを検品する会社でメインはアパレルの検品をしないといけないという固定観念をもっており、平たく言うと頑固でその下につく業界未経験者はかなり精神的にストレスになる。

規模が大きな検品会社は、検品会社だけでなく、物流、貿易、等海外に関連したビジネス、及び機関を持っており、そういう会社は儲かれば検品でなくてもいいし、検品するものは何でもいい(ファッションに関係ない生活雑貨や食品などなんでもOK)という考えなので、アパレル関連の顧客だけでなく幅広く顧客やコネを作って拡大していく。そういった会社のオーナーはもともとアパレル関連業界や検品会社出身でない人が殆んど。
逆にアパレル関連業界から検品会社のオーナーになったような人は、そのような柔軟な考えが出来ず、日々の目先の利益だけ追い続け、将来の方向性が見出せない人が多い。あと、民間資格(国家資格やその資格がないと働けないような資格でなければ、受験料をせしめる/搾取するためのもので、資格協会から出しているようなテキストは価格が高くて分厚く内容も理解するには複雑で簡単には合格できないようなものが多い。合格難易度の高い資格は何回か受験させるようにして更に搾取)のTES(繊維製品品質管理士)を従業員に取らせようとする企業もありますが、基本的な知識とクレーム対応ができれば、検品業務は繊維関連業界出身者でなくても、海外生産する顧客がいればできる仕事なので、お金と時間をかける割には、TESは繊維全般についてなので、仕事内容に関係ないことも勉強しなければならないのではっきり言ってあまり訳に立たない。商社などのアパレル製造についてよく知らない素人担当者に見せつけるための資格としてしか効力がない。そういう資格を取らせようとするオーナーもものの考え方が非合理的で、そういったオーナーに限ってアパレル関連の業界出身者で、そのうえ検品会社のオーナーにわざわざなろうという人は、第三者から見て、結果として本業でうまく行かず、解雇、辞職したからと考えるのが自然な見え方。
それがわかっているのはアパレル関連業界関連者なので、何も知らない業界未経験者は安易に海外で働きたい、働けるという事で入社するが、長続きしないのが現状。もともと業界経験者の50代、60代の定年のゴールが見えてきている人たちにとっては、問題なく現状維持していればいいという感覚と、もともと業界敗者なので、感覚として年齢的にも面倒をみる親(その年齢には他界か施設に預けている)も、子(年齢的に既に自立している)もいないのと、過酷な発展途上国で死んでも問題ないというような感覚の何も犠牲になるものが無い人が多い。そんな世捨て人のような感覚の高齢の上司と付き合うのは正直、まともな神経の持ち主であれば、続けるのは困難。オーナーも海外に住んでるような人は同じような感覚(まともな日本人の感覚でない)なので、そういう会社では神経がまともな人がやっていくことは困難。

検品会社の行く末について
現状、発展途上国の最前線でやっていてもゆくゆくは国の発展とともに工賃や物価も上がり、安いままの作業料金ではやっていけなくなる。アパレル以外のものを検品したとしても、限度があるため、検品業務だけではやっていけなくなる。という事は大手検品会社はかなり昔からやっているが、物流一貫でドアツードアで製品を届けられて、付属的に検品業務もできるというスタンス。もしくは現地のバイイングハウス(生産管理、素材手配など)の機能を持っている会社もある。いずれにしろこのような事が出来ているのはもともと本業が物流会社や貿易会社等である。なので、万が一検品がなくなったとしても、本業に戻るだけの話。※一本柱では潰れるときは全て潰れる。現状に向けでも検品不要で検針(異物金属検査)のみのバイヤーもあり、やっても抜き取り検品で全体の10%を検品するだけで、需要性は昔に比べて消費者の感覚も変わってきているようで検品自体減少している。
ではアパレル関連業界オンリーの経験知識しかないオーナー(会社)はどうしたらいいかという事になるが、1つは大手のやり方の真似をして自社独自のサービスを開発し提供をする、2つは物流、貿易経験者を会社に引き入れて前職のコネと知識を活用して他の事業もできるようにするか物流、貿易会社との協力体制を作る。後者の協力体制をつくるのは、相手側に取締役レベルのプライベートでも付き合うぐらいの親しい担当者がいるか、契約を交わさないと難しい。あと小規模の検品会社の場合はワンマン社長が多いので、異業種出身の人の話を聞くかどうかと、間違った行動に出た場合、それを正せるぐらいのオーナーと同じような立場と権限がある人(株主、若しくは他の取締役)がいるかが重要。今の法律だと取締役会をやらない等、一定の条件を満たせば、株式会社は取締役は1人でもいいので、取締役が本来の株式会社の規定通り複数いるかどうかで、その会社の成長を予想できる。

業界未経験者で日系の海外検品会社への就職/転職を考えている人へ
出向先の国について:
行ったことのある国でここなら暮らせるというようなところだったかどうか、下手したら定年まで暮らせるかどうかを考える。※ステップアップで数年後は転職するという考えなら別だが、キャリアとして就けるのは品質管理職位。
会社の規模について:
検品のみでなく他の事業もしているかどうか。日本人スタッフ合計が十数人程度以下のファミリー経営の町工場のようなノリの会社でないかどうか。
※この場合は最低限のコンプライアンスがきっちりしていないし、仕事とプライベートを公私混同しがち。※面接官の話し方、態度などで判断。
給与について:
他の検品会社の求人をみて平均以上か。給与がある程度低くても福利厚生の内容がある程度満足できるものか。全額現地支給分になっていないか(ある程度の金額が日本支給でないと社会保険(厚生年金、健康保険)が掛けられないし、発展途上国の現地通貨でもらっても現地で銀行口座ひらけて銀行の年利が高いなどでなければ価値がない。半々で現地分、日本分支給にして、現地通貨が余った分はドルやユーロに変えておいたほうがいい※日本円は海外はあまり流通してない国が多いのと、日本円もだんだん価値が落ちているため強い外貨を持っておくのがベター)ちゃんと現地支給分は予定の支払い日に支払われるか。(送金システムの不具合や、連休中で連休明けに支払われるため遅れるのは仕方ないが、それら以外の理由で、遅れそうなことがあってもちゃんと事前に遅れることを連絡して、いつ支払ってくれるかをちゃんと伝えてくれるかどうか)給与は生活の生命線なので、毎回遅れる可能性があるようなところは内定もらったとしてもやめましょう。まともな生活できないなら仕事以前の問題です。海外という事で日本の役所の目が届かない部分もあり、ある程度は現地の法律に従う部分もありますが、倫理的にかなり*ブラックな検品業者もあります。
※海外に拠点がある中小零細企業は検品会社に限らず、ブラックな企業は結構あるので、現地採用でなければ、面接時にちゃんと確認しましょう。
正規の方法で海外就労させてくれるか:
就労ビザではなく、ビジネスビザや旅行ビザのような、就労、収入を得てはいけないようなビザで海外赴任させているような会社。はっきり言って違法です。摘発されて罰金、強制帰国された場合、自分が傷物になり、次回その国でまた働きたいと思っても現地のブラックリストに載ってしまっているので、なかなか難しいでしょう。就労ビザ(現地滞在ができて、労働活動ができて、現地収入を得られるもの)に関しても、事前にネットなどで調べて、面接時にもちゃんと確認しておきましょう。

上記を踏まえて、就職、転職活動するのであれば、現状収入のある状態で、活動しましょう。収入の無い状態での活動は、お金がないという不安から、安易によく調べもせず手を出してしまいがちですし、入ってもいづれやめることになるので、いいことありません。とはいえ、そういう状況の人もいるので、そういう時は周囲の人に相談するか、インターネットなどで、会社の情報を調べる(会社のサイト、口コミサイトの閲覧)のが重要になります。ちゃんと調べた上で仕事探ししましょう。収入が無い場合は、生活費稼げるぐらいのとりあえずのバイトしながら探しましょう。少しでもお金があるのとないのとでは不安感が違います。業界未経験者で海外で働きたいというのであれば、検品会社だけが就職先ではないので、視野を広げて仕事探しをしたほうがいいです。海外+アパレル関連の仕事がしたいのであれば、とりあえず海外で、アパレル関連は何も本業でなくても今のご時世、ネットを利用して副業でクラウドソーシング(ランサーズクラウドワークスココナラ etc.)で仕入れ業務などもできます。アパレル関連業界はデザイン企画や仕入れ以外の企画、生産部門や、検品会社は全然華やかでもなんでもないです。(アパレルだけじゃなくファッション関連業界はみな同じです。)あと日本向け販売のみを生産、販売しているところは、消費者が減っていき、衣類への関心も昔ほどなくなっているので、どんどん規模縮小の傾向にあります。そんなところの道連れになりたいかどうかという事を考えて、仕事を探しましょう。とはいえ、就職してから、おかしな会社とわかることもあるので、海外赴任の場合は、日本のようにすぐにやめて出ていくという事ができないので、帰国資金が必要であるならば、帰国資金がたまるまで、やめられないですし、次の転職先も赴任先からでは日系企業に応募して、面接に行くという事も難しいです。その場合、会社に労働組合が無い場合は、一旦、ユニオンに所属して、海外からでもネットで求人探して、メールで履歴書送って、面接はSkype面接という合理的な仲介会社や企業があるので、そういう会社に応募したほうが良いでしょう。帰国費用が貯まる時期を目途に、応募して内定が決まれば、会社の就労規約でいくら1カ月前に退職の通知をしなければならないといっても、法的には退職する2週間前の退職通知で問題ないので、問題のある会社であれば、2週間前でも律儀に会社の就労規則を守る必要はありません。何か言ってきても労働基準監督署に通達すればいいでしょう。問題のある変な会社は淘汰されるべきだとおもいます。離職後も離職票や被雇用者保険者証、源泉徴収を会社側が送ってこない場合は職業安定所に通達すれば問題ないです。

※この記事について:複数ある検品会社含む転職歴(繊維、IT、飲食、素材関連など様々)で得た経験と知識により分析した内容です。現状、繊維系はモノ作りに関しては、日本はだんだん衰退しているので、大規模なファストファッションを手掛けるような企業でなければ問題ないですが、ロット数千枚程度の規模のところではこの先やっていけなくなります。むしろ繊維でいうのであれば、防熱や特殊な資材の繊維であればアパレル業界のように流行り等で毎回違う商品を企画、開発しないといけないわけではないので、リピート品が常時売れていく状態なのと絶対必需品に使用されているものであれば、稼げるし、残れますが、アパレル業界についてはかなり厳しい状態といえます。安くても売れない、値段のたたき合い、その先は淘汰になります。海外で作ったものは日本のように安くてもいいものを作って提供したいという職人根性で作る国は少なく、安かろう悪かろうという合理主義がグローバルスタンダードなので、それがわかっていない日系バイヤーは遅かれはやかれ衰退していくでしょう。

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