見出し画像

ト音記号

健康の為に常温の水を1日に2リットルを飲む事を目標にしています。始めた当初はそんなに沢山飲めるの?と思っていましたが、慣れると問題なく飲めます。なんでも慣れると出来ますね。

ペットボトルで飲むのも味気なく思って、百均で水のボトルを買いに行きました。透明のボディに黒の蓋が付いているやつです。透明のボディ部分にイラストが印刷されているのですが、どのイラストにしようかなと悩んだ結果、ト音記号が大きく描かれているものにしました。

音符とか音楽記号のイラストが付いているデザインを選ぶというのは自分としては成長をしたな~と思うところがあります。

子供の頃にピアノを習っていましたが、練習が嫌でピアノをあまり好きになれず、その為にあまり上達もしませんでした。親に「練習しなさい!」と怒られながら続けるのが苦痛でした。通っているピアノ教室では年に一度の発表会があり、その参加賞には必ずと言って良いほど音符や音楽記号、楽譜などイラストが付いた何かを貰うのです。音符の散りばめられた手提げカバンとか、楽譜がオシャレに描いてある筆箱とかです。私はやっと発表会が終わってヤレヤレと言う感じで、貰った参加賞はカバンに入れっぱなし放りっぱなしで雑に扱っていました。そしてピアノをあまり好きになれないまま中学生くらいで、ピアノ教室を辞めてしまいました。それから長い間、自分からピアノを弾くことはせず、音符などのイラストが描かれたものは何となく避けていました。私にはずっと、ピアノを好きになれず上達もせずに辞めてしまったという後ろめたさがありましたから、音符などのイラストからはまるでそれを責められているように思っていました。

最近になって趣味の合唱を楽しむようになり、音取りでピアノに触れる事も多くなりました。楽譜は読めたのでピアノやってて良かったと思いました。不思議と昔はあんなに嫌だったピアノの練習もするようになりました!昔ピアノで弾いた曲も簡単なものなら練習すれば弾けるようになりました。練習すれば出来るようになる!という当たり前の感覚を再認識した気持ちでした。もちろんピアノを弾くこと、練習する事が楽しいと思うようになりました。

私にピアノの練習を強要する母親に対して、「そんなに言うならば自分がやればいいじゃないか!」とこれまで何度も文句を言ってきました。母親は自分の幼少期にピアノを習ったことが無かったからと子供である私にはピアノを習わせたい思いがあったそうです。最近になって、母親は私の勧めでピアノを練習し始めました。ガミガミと練習しなさいと言われ続けた私が嫌味のつもりで「練習すれば何歳からでも出来るようになる。ピアノを弾けるようになりたいならやってみればいいじゃないか」と何度も言った結果でした。私に教わりながらピアノの初級者(小学生低学年向け)の楽譜から練習を始めました。熱心に毎日小一時間程練習を続けています。練習すれば本当に何歳からでも弾けるようになるようで、我が母親ながら偉いとな思いました。感心しました。

思えば私がピアノを嫌いになったのも母親のせいで、好きになった(苦手意識が無くなった)のもまた母親がきっかけになったのです。ピアノと私の関係と、母親と私の関係が何かしら似ている所があったのかも知れません。長年の母親とのわだかまり(と言うと言い過ぎかもしれませんが)が解けたのかもしれません。

おそらくそんな事の積み重ねで、私は普段使いの水のボトルにト音記号のイラスト付きを選ぶようになったのです。私としてはピアノに対する苦手意識を乗り越えられたように思い、自分の成長を感じられました。おそらく私も母親との関係も良い方向に向かったのだと思います。

水を飲む度にもう苦手意識の無くなったト音記号を見つめて、ちょっと嬉しい気持ちになっています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?