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9年に渡るシリーズに幕「響け!ユーフォニアム3」

 Eテレで放送されていた「響け!ユーフォニアム3」が6月30日で最終回を迎えた。
 2015年の第1期放送から9年続いたシリーズが終わった。
 見終わった時は黄前久美子の三年間を描き切れて良かったなと言う安堵感がありましたね。これで終わる寂しさよりも、ゴールに到達した満足感のような気持ちだった。
 TVアニメでは最高レベルの作品を9年も作り続けた京都アニメーションや出演者など関係者の皆さんには感謝だ。

久美子は大人へと歩み出す。




 第12話、ユーフォニアムのソリを久美子か黒江真由のどちらにするか再オーディションが行われる。第1期の中世古香織と高坂麗奈の再オーディションを思い出させる展開です。
 あの時は麗奈が選ばれた事を香織を慕う吉川優子が異議を申し立て、香織も最後のチャンスだと再オーディションに手を挙げた。これに自らの腕に自信がある麗奈は立ち向かった。まさに本当の意味で対決した再オーディションとなった。

 3期はオーディションで競う久美子と真由はお互いで話し合った事でギスギスした雰囲気は無くなり、真由は遠慮なく全力を発揮して再オーディションでソリを勝ち取る。
しかし真由は部員達の反応を見て不安になる。そこを久美子は真由で決まった事で「これが北宇治のベストメンバーです!」と部員達へ告げる。本当であればオーディションに落ち、麗奈との約束を果たせなかった事を悔やむところを真由をフォローする久美子
自分の感情よりも他人である真由の感情を思い、部員の動揺を鎮める方を優先する。久美子は大人として成長をしている良い場面です。

果たせなかった事、果たせた事




 第12話でソリに落ちた事で久美子は麗奈とのソリを共に演奏して、全国大会金賞と言う夢が叶いませんでした。その願いを叶わなくなる決定打を打ったのが麗奈なのが私にとってシビレる演出でしたね。
 麗奈はどちらか選ぶ前に2年前を思い出す。香織との再オーディションを前に久美子へ「裏切らない?」と問う自分を。しかし、裏切る形になったのは麗奈だった。
 麗奈はドラムメジャーであり、北宇治を全国大会へ導く役目がある。麗奈はどれが久美子の音か分かった上で真由の演奏を選ぶ。それが北宇治が全国で勝てる選択だと分かっているからだ。

 この瞬間で麗奈は久美子と同じ所に立てたのではないかと思う。部長として部員の不満の高まりから麗奈の方針に反論したのが久美子でした。麗奈は友情や信条を貫き通せず奏者として、ドラムメジャーとして選択しなければならない立場を自覚できた。
 こうして久美子と麗奈はお互いに夢を果たせない事と、立場で選ばなければならない事で泣くのです。第11話で久美子は真由と麗奈と同じ視線・立ち位置に並べたんだと思えます。だからこそ、久美子は北宇治を全国大会金賞を受賞できる栄誉を得る事ができたのだ。



 久美子と麗奈が並んでのソリをする夢は果たせなかったが、北宇治の全国金賞を果たした。晴香部長・優子部長の二代で悔しい雪辱を久美子が晴らす展開になり、アニメ「響け!ユーフォニアム」は久美子個人だけの物語ではなく、北宇治高吹奏楽部の面々の三年間が繋がり織り成す物語であると分かる。
 だから最終回のラストは北宇治高校で教師をしている成人した久美子で終わる。
 北宇治が全国金賞を取った後も久美子は成長して教師となり、新たな世代で北宇治高吹奏楽部も続いているとも見せて。
 アニメ「響け!ユーフォニアム」はまさに人生を描いた傑作になった。

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