気持ちが大事ってことなんじゃないかな?

フロンターレとグランパスの決戦は、フロンターレの2連勝で幕を閉じた。

堅守のグランパスから2試合で7得点、完全にぶち壊した。反撃も2失点に抑え、数字で見れば完勝大勝。

だが考えてみてほしい、試合中ずーっとフロンターレが一方的に破壊し続けたわけではないし、135分間は失点しなかったのに最後の45分で2失点。この理由からフロンターレとグランパスの力の差や今回の結果の原因がわかるんじゃなかろうか。

そういった視点から、今回のグランパス崩壊にフォーカスする文章です。


1試合目の0-4は文字通り壊滅


初戦の完勝の1番の要因は開始直後の1点目だろう、これは2試合目でグランパスのコンカコーチもかなり重点的に対策してきたことからもわかる。

堅守で戦ってきたチーム、もちろんフロンターレ相手にも失点しない前提でゲームプランを練ってきた中でものの数分で失点。

ゲームプランだけでなく、自信やプライドなどに大きなダメージが入ったのは間違いない。その結果食らいつくこともできず失点を重ね完敗。壊滅してしまった。


壊滅して考えを改めた2戦目


グランパスが2試合目の入りに気合を入れてきたのは誰の目にも明らか。勇気と勢いを持って前に出て来て、マテウスという武器を存分に使って来た。これは前の試合の反省が十分に活かされた形だ。

開始直後の失点でゲームを壊さないこと、守ってるだけでは時間と共に点差が開いていくため、攻めることで被攻撃回数を減らす。

惜しいミドルがあったりと、そこでの決定力があればという話も無くはないがそこは置いておこう。

しかしこの試合の結果は知っての通り3失点での負け、反省を活かしただけでは勝てなかった理由を考えてみよう。


対策が当たったのはフロンターレも同じ


フロンターレは攻めるだけのチームではない、リーグ全体で見ても比較的優秀な失点量で守りでも勝てるチーム。

今回のグランパス戦も、縦に早いサッカーを志向する相手に対していくつかの対策を行っている。その結果が3-0までの時間帯と言っていいだろう。

フロンターレが行った対策は私の目に見えたのは2つ。

1.まず前からしっかり圧力

フロンターレにとって特別なことをしたわけではないが、今回も前からのプレスが強かったし効いていた。

グランパスというそこまでつなぐのが得意ではない相手に対して、ボールを取られた直後や後ろに下げた時にプレッシャーをかけるのは効率のいい守り方。

理想的なカウンターをさせず、3得点目のようなシーンも発生させた。グランパスとしてはそこで一山越えないと攻撃ができないどころか、高い位置で奪い返されての失点というとてもリスキーな展開になったため、相当苦しかったはずだ。

2.グランパスの攻撃にブレーキ

グランパスの攻撃はとにかく縦に早い。だがリスクマネジメントも考えると、奪ってから大人数で一気に上がるという選択も取りにくい。ましてやボールの出どころにしっかりプレッシャーをかけてるため、満足に人数をかけれない環境が出来上がっている。

そのためマテウスにボールが入ってもサイドで孤立、中央にやっとカバーが来て渡してもそこで包囲されてバックパス。

マテウスの個人技で突破も苦しいので、アーリークロスのようなシンプルな形、フロンターレのディフェンスが前を向いて守れる形が多かった。

マテウスにサイドを突破されペナルティエリアに侵入されたり、ディフェンスラインを突破されオフサイドを無力化されたりしたシーンというのはほぼ無かったはず。

この時点でグランパスとしては攻撃の迫力やカードが半減に近い状況。これではグランパスはいくらいい時間帯でも難しい。


フロンターレの3得点は理想的


フロンターレの得点は31分、50分、59分とかなり理想的な時間帯だ。

相手がいい入りをして来たのを耐えてセットプレーでズドンと決めた31分

後半も気合入れて入ってきたグランパスをあしらうように崩して決めた50分

2失点で動揺してるであろうタイミングに相手のミスを引き出して59分に

とにかく取り方と取った時間が相手に対してすごく重く響く、効果的というか急所を的確に突くというか。

この内どれか1つでもグランパスが抑えられてたら結果はグランパスの勝利までありえたかもしれない。特にオウンゴールは。

だが3得点全てが狙いを持って行ったプレーでの結果であることからわかるように、フロンターレの得点は偶然の産物ではない。必然とは言わないが、フロンターレの攻撃と前からの守りの質と量で考えれば3得点は再現性のある数字だろう。


3-0で気持ちが抜けた側と入った側


3-0になった直後の私の恥ずかしいツイートがこれだ。

完全に気が抜けていた、勝った気になっていた。

残念なことにフロンターレの選手もそんな感じになっていた感が後から見ると感じられてしまう。

3-0になった後、フロンターレは2枚同時投入で遠野と知念を投入した。

前の2枚をフレッシュにして、より前線からのプレスを活性化させ相手の反撃の芽を摘み取るのが狙いだったはず。そうすれば4点目も見えてくるという意味では意欲的な交代だ。

しかしその2分後にグランパスは森下と学を投入して反撃に出て来る。

1点目は学の強引な攻撃のこぼれ球に森下も関与して、一番得意な形である稲垣のミドルというこれまた理想的な形。

フロンターレから見ればこちらの交代は完全に空振り、相手の交代はドンピシャ。嫌な感じだ。

そこで何か動くわけでもなく静観していたところ、グランパスは更にシャビエルと柿谷を投入して反撃の色をより強くする。フロンターレの2枚投入からグランパスの2度目4枚目の交代までものの9分間。先手を打ったつもりが空振り、その上2度も先手を打たれてしまったわけだ。

この9分間は鬼木監督が試合後に反省をする必要があるとおっしゃっていた通り。かなりまずい状況だったと思う。


攻めることに特化したグランパス


4枚の攻撃的なカードを切ったグランパスからは、2連敗と2点差という直面してる危機の打開によりシンプルにより高火力で答えようとした気持ちが見て取れる。

テクニックと打開力のある選手が揃ったことで攻撃のバリエーションやパス回しが良くなったのはもちろんたが、この時間帯になってグランパスはチーム全体の動きがかなり活発になった。

カオルを脇坂に変えてもその傾向は続き、セットプレーからマテウスの能力でついに1点差に詰め寄られる。それが83分。

この3失点してからの攻撃の意識とチームの心境を、第一戦の頭からやってたらというタラレバを考えずにいられない。

だがそれはグランパスにとっては「自分達の戦い方」に反するわけだし、難しいのは百も承知。


89分に守備固めしたフロンターレ


試合終了間際にフロンターレは最後のカードとして塚川と車屋を投入し、ゲームをクローズしにかかる。プレーの選択も直線的にゴールに迫るのではなく、時間を考えながらのプレーが多くなった。

この選択を3-0になった時にやってたらというタラレバはあまり建設的ではないと思うが、結果的に見れば攻撃的に切った最初のカードは大ハズレだった事がより強調されてしまった。投入された二人としては厳しい話だが現実の話だ。


気持ちの話のまとめ


この2試合、特にグランパスの精神面の浮き沈みが大きな要因となった感がある。

対するフロンターレはそこまで特別な事もしていないため、吹っ切れて行かないといけないグランパスに平常時の気持ちでやれるフロンターレ。ここに差があったのかなと思う。

だが現実の話として、吹っ切れて攻め込めばグランパスも2点取ることができるというのが証明されてしまったため、カップ戦のような一発勝負で相手が死に物狂いで攻めてきたらというシチュエーションに不安が残った。

フロンターレはここ1年半くらい、相手に必死で食らいついていくような場面はほとんど無い。主導権を握り相手をいなす事の方が多い。そういう意味では不慣れな事を一発勝負でやらないといけない危うさがある。

フロンターレはいつも天皇杯で下のカテゴリーとやると苦戦する。データが少ない相手に駒を落として勝ちに行く。相手は当たって砕けろのダメ元で来る。まさにこういうシーンに不安を感じる。

フロンターレにチャレンジャーの精神を思い出させてくれる場としてACLはこの上ない場面だったのだが…


お気持ちよろしくです。