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イタリア旅行記 第5回/全10回

イタリア旅行記 第5回
9月19日(木)
フィレンツェからヴェネツィアへ

ツアーも5日目となり、もう半分が過ぎてしまったことになる。
今日は朝ホテルを出発し、一番楽しみにしているヴェネツィアに向かう。
今日も貸し切りバスなのでゆったりと座れた。
ただ、昨日まで意外に強行日程であったためさすがに疲れが出てきており、しばらく走ったところでぐっすりと眠ってしまった。

次に目が覚めたのはもうヴェネツィアがすぐ近くという時だった。
大きな橋を渡り始めたら、両サイドには海が広がっていた。
イタリアに来て初めて見る海に、ツアー客のあちこちから「海だ~!」という声が上がる。
そして橋を渡り終わったローマ広場でバスは停車した。
実はヴェネツィアというところは、車では乗り入れすることが出来ない場所なのだ。
同じように電車もローマ広場の近場が終点である。
そこからは運河をヴァポレットと呼ばれる水上バスで移動することになる。
結構大型で50人ぐらいは乗れるのだが、運河といってもすごく幅があるので、移動中も何台もヴァポレットとすれ違った。
気持ちいい風に当たりながら水の都を感じること30分ぐらいでヴェネツィアの中心地、サン・マルコ広場そばの船着場に到着する。
かなり混雑している街中を抜け、昼食を取るためにレストランに向かった。

はっきり言ってどうやってそのレストランまで歩いたのか全くわからなかった。
なぜか早足で歩いていく現地のガイドさんについていくのに必死だったのと、道が非常に入り組んでまるで迷路のようになっていたのが原因である。
でもレストランへの行き方は全然覚えていないが、レストランでの食事ははっきりと覚えている。
ここで食べたイカ墨のスパゲッティーとイカのフリッター、そしてジェラードが非常においしかったからである。
ここでは昼食の時間に余裕があったので、他の方々と世間話などをしながら楽しい時間を過ごした。

午後は徒歩でのヴェネツィア市内観光だった。
まずサン・マルコ広場に向かい、そこを通り抜けてドゥカーレ宮を観光する。
ここは3階が美術館になっているということなので、階段をみんなで登る。
2階の踊り場に着いた時、突然ガイドさんが「立ち止まって後ろを振り返ってください」と指示をした。
なんだろう?と思ってみんな振り返えった瞬間、みんな言葉を失う。
階段の天井が黄金なのだ。
その豪華さに圧倒され、「すごい・・・」としか言葉が出なかった。
3階に登ると美術館のようになっていて、たくさんの美術作品が飾られていた。

その後サン・マルコ寺院に入場する。
こちらで見たものでは、黄金色に輝くモザイク画が強烈にインパクトに残っている。
残念ながらビデオも写真撮影も禁止されていたので画像を載せることが出来ないのだが、とても綺麗だったことを覚えている。

その後ちょっと歩いてヴェネツィアンガラスのお店に向かった。
ここではガラス細工のデモンストレーションを見たのだが、わずか数分の間にいとも簡単に作品を作り上げてしまった。
その後店内で色々ガラス製品を見て回り、旅行前からヴェネツィアで購入しようと決めていた二人の新婚旅行の記念品を選ぶ。
いくつか見た後、やはり本場のヴェネツィアングラスらしいものをということで、ペアの赤いワイングラスのセットを購入。
とはいいつつ、二人ともお酒を飲めないのだけど・・・。
このお店が今日の観光の最後であり、一応ここで解散となった。
しかし、夕方から組まれているオプショナルツアーのゴンドラ運河巡りに参加する人は、その場に再集合とのことだった。

他のお店などを回って集合時間に戻ってくると、ほとんどの方が集まってきた。
やはりこのゴンドラ運河巡りは非常に人気があり、結局32人のツアー客のうち26人が参加したそうで、オプショナルツアーながらほとんどツアーの延長戦のようであった。
ゴンドラ乗り場に着いたとき、ツアーコンダクターさんから「それではジャンケン大会を始めます!」と言われる。
なんのことかと言うと、
自分の乗ったゴンドラでカンツォーネを聴きたい人!
を決定するジャンケン大会である。
このゴンドラは6人乗りだが、カンツォーネの歌い手さんと演奏家が乗る船は彼らが乗ってしまうので4人しか乗れない。
私たちのツアー26人は5艘に別れ、それに2組の歌い手さんたちがついてくれるということになっていたのだ。
そんなわけで、自分のゴンドラでカンツォーネを聴けるのは、26人中8人しかいないのだ。
その8人を決定するジャンケン大会がスタートしたのである。

ローマでのブルガリを買うかどうかのジャンケンの時もそうだが、こういう時の妻はめっぽう強さを発揮する可能性が高い。
迷うことなく私達夫婦の代表は妻である。
代表者12人によるジャンケン大会1回戦は隣の人とのサシの勝負だった。
しかし妻はあっさり勝ち抜き2回戦へ。
2回戦は勝ち抜いた代表者6人全員でのジャンケン。
1回あいこの後、2回目で勝負は決する。
ものの見事に妻は勝ち抜けたのである。
勝ったのは3組で、3組とも夫婦だったので、この時点で8人に入れることが決定した。
たまたま前の方に並んでいた関係で、私達は一番先頭のゴンドラでカンツォーネを聴きながら運河巡りを出来るという幸運に恵まれたわけである。
妻のジャンケンの強さに脱帽すると共に、とても感謝した。

ゴンドラに乗っている最中はカンツォーネに聴き入りつつ、ビデオで風景を撮影。
ゆっくりと波に揺られながら、ヴェネツィアを満喫する。
ちなみに運河の水はあまり綺麗ではなかった。
途中広い運河に出た時はため息があちこちから漏れる。
なんといっていいのか、言葉には表せない感動だった。
のんびりと進みながら横に3艘のゴンドラが並び、カンツォーネを聴きながらツアー客同士でカメラを渡しあいながら写真撮影をする、そんな楽しい時間を過ごすことが出来た。
時間的にはそう長くないオプショナルツアーだったが、このツアーは非常に人気があるということにとても納得した。

ゴンドラが元の所に戻ったところで今日の観光は終了となった。
みんなでホテルに戻りながら、今日は自由となっている夕食をどこで食べようかと話したりする。
あまりあてがないのでツアーコンダクターさんにも尋ねたところ、お昼を食べたところが一番のお薦めだと言われる。
お昼がおいしかったからじゃあそこにしようかという空気に包まれ、一緒にゴンドラ運河巡りに行った新婚カップル3組と、ツアーコンダクターさんも一緒に9人で食事にいった。
このレストランはやっぱりおいしい。
みんな新婚ということで話しも非常に盛り上がった。
そのうちに、私たち夫婦があさってACミラン戦を見に行くという話題になり、そこからはサッカーの話題一色になる。
これは嬉しい誤算で、旦那さんが全員とにかくサッカーに詳しい。
中にはインターハイに出たという人もいた。
みんな特に90年代前半の選手に思い入れがあるようで、かなりマニアックなサッカー談義が繰り広げられた。
「好きだった選手は?」と尋ねられ、「ブライアン・ラウドルップ」と答えたところ、みんなちゃんと知っていたのでかなり嬉しかった。
ミカエル・ラウドルップの話しやユーロ92の時の話題などを出来たのも、世代が近かったからであろう。

それから面白かったのは、ツアーコンダクターさんが話してくれた実際にあったという話。
サッカーを全然知らないこのツアーコンダクターさん、実は以前デル・ピエロとホテルで会ったことがあったそうである。
ツアー客を引き連れてチェックインしようとホテルに入ったところ、ちょうどロビーにデル・ピエロがいて、それを取り囲む女性ファンで大混雑。
それを見たツアーコンダクターさん、デル・ピエロに向かって一言。
「あんたのせいでチェックインできないじゃないのよ!!」
知らなかったとはいえ、デル・ピエロに文句を言った人はそうそういないであろう。
知らないって素晴らしいことだとみんなで大笑いした。

食事後はちょっと夜のヴェネツィアを散歩する。
リアルト橋から見た夜景、そして運河はとても綺麗でありみんな感動。
そして昼間に来たサン・マルコ広場も全然様子が変わってしまい、夜には夜の美しさがあった。
「あぁ、ここでもう1泊出来たら良かったのに・・・」
みんな口を揃えてそう言っていた。
私たち夫婦も非常に強くそう思った。
何が良いとは言葉では表せないのだが、この雰囲気を非常に好きになってしまった。
一番期待していたこのヴェネツィアは、期待以上の場所だった。
「また来たいね・・・いや絶対またここに来ようね」
そんなことを話しながら、散歩を終えホテルに戻った。

第6回に続く。

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