「たぶんゆうれいだったんだろう」

すいへいせん

『昨日なにを食べたかは覚えていない』第🍗話 女の子の方が好き、かえで（19）。地元に帰る度に好きだった子と会う。互いの近況報告。「彼氏は？」「別れた」「また？」だっていつも貴女の方が好きって気づいちゃうの。どんなお洒落なディナーより、貴女と並んで食べるコンビニチキンがおいしいの

『昨日なにを食べたかは覚えていない』第🍨話、ひとりが好き、会社員、みき。独身貴族目指すわって言ってた同期が辞めた。結婚するらしい。うそつき、って言うのは大人気ないから「おめでとう」って言えた。えらい。えらいから6個入りのピノぜんぶ食べる。雪見だいふくもパピコも、誰にもあげない。

いたみ

※友人主催の企画に参加した際に執筆した文章です。 夕陽が空で揺らめく。息が詰まっても、涙は出なかった。まだどこか嘘のように思えたから。 ひとり分の足跡が砂に残る。錆び付いた両脚では、うまく歩けない。それは何処へでも行ける翼ではない。私を地面につなぐ悔いだ。所詮、人間は飛べやしない。 見せたい写真がたくさんあった。誕生日プレゼントももう決めていた。この黒い服だって、あなたのために着るつもりじゃなかった。 指先が悴む。波が白い花びらを運んでいた。 募るのは悲しさよりも

『昨日なにを食べたかは覚えていない』第🍙話、デミロマAセク、新入社員、さくら。人生は結婚まで、定年退職まで、死ぬまでの三段階らしい。あたしは結婚ってボスを倒せないから、次のステージに進めない。もう社会やだなあって思うんだけど明日のおにぎりは作る。言いたいことはみんな包んじゃお。

すな

『昨日なにを食べたかは覚えていない』第🍆‪‪‬話 アロマアセク、スーパー店員、ゆま(30)。「新しい価値観」とかいう言葉がまずマジョリティの目線だよね、って呟いても返事する人がおらん。友達が爆速で独身をやめていく。田舎の親から早めの茄子が届いた。そろそろお盆か実家帰りたくねー。

『推定少女』を読み返し、ぼろぼろ泣く。私たちの矢も弾丸も幻みたいになかったことになるのだ。けれど私はもう子供ではなく、かといって大人の言葉も使えない。大人になるっていうのが別人になるってことじゃないといい。私はまだ宇宙人とか人魚を探してる。一緒に逃げて、砂糖菓子の弾丸を撃つために

『昨日なにを食べたかは覚えていない』第‪‪‬🍝話 Aセク、大学院生、ゆうか。彼氏が就職で東京行くかもしれないらしくて焦ったけど、今も月1でしか会ってないし変わらないかも。って友達に話したら、「付き合ってる意味あるん？」って言われた。答えあぐねてパスタを口に運んだ。冷めきってる。

「自分がこの世界に迷い込んだ異物に思える」「優しさはホットケーキのかたちをしている」みたいなことを言って「何言ってんだこいつ」みたいな反応をされたとき、あちら側の人間だと思う。同時にそう思ってしまう自分の狭量さが嫌になる。ということを、タコピーを読んでいて思い出した。最悪である。

『昨日なにを食べたかは覚えていない』第🍫話 グレイロマ、大学生、あみ(19)。2月14日。高校までみたいに友達と交換とかしないけど、なんとなく買った生チョコを食べる。これはこれでおいしい。でも、毎年作ってたあのブラウニーが懐かしい。春休みに帰ったら一緒に作りませんか、お母さん。