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(心理の話)コンサマトリーとインストゥルメンタル

自己紹介:たく

突然ですが、コンサマトリー(Consummatory)インストゥルメンタル(Instrumental)という言葉を聞いたことがありますか?

特にConsummatoryという英単語は聞き慣れない方も多いと思うのですが、心理学や社会学の領域で、Consummatory Behavior, Consummatory Communication等と使われ、意味としてはその行為や会話自体が目的となっている場合を指します。

はい、何のことかちょっとわかりにくいですね!例として出すと、サッカーが好きだからサッカーをするという行為、気分転換したいから誰かと話すという場合などはConsummatoryと言えるという具合です。

Consummatoryについて、もう少し学術的な定義が知りたい方は、以下の百科事典をご覧になって頂ければと思います。

完了行動 (Consummatory Behavior)
自己完結的コミュニケーション (Consummatory Communication)
出典: いずれもブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

以上がわかったところで今日の本題に行ってみましょうー!

①Instrumentalは何?どう関係ある?

Instrumentalは「道具的」という意味で、Consummatoryと対義語の関係にあります。全国大会に行って勝ちたいから、その先にプロになりたいから、サッカーの練習をするのであって、サッカーの練習自体が目的ではないような場合です。

ここでちょっと立ち止まって考えてみると、ConsummatoryとInstrumentalは対義語の関係にあるけれど、両立し得ないでしょうか?

例えば、いまやメジャーリーグで一大旋風となっている、エンゼルスの大谷翔平選手。高校時代に「8球団からドラフト1位指名される」という目標達成の為に作成した、マンダラチャートはスポーツ界では有名な話です。

これこそ野球の練習がInstrumentalと捉えられている状態です。一方で、大谷選手は野球自体何よりも大好きと言われています。実際にインタビュー記録がありますので、以下、一部引用して紹介します。

 ――野球少年に1つ大切なことを伝えるとしたら。
 「小さい子ですかね。楽しくやることじゃないですか。あとは全力で走ったりとかそういう初歩的なところじゃないですかね。誰にでもできることなので。一塁まで走るとかそういうのは誰でもできるので、技術的なことではなくて。そういうのが一番大事ですし、あとは純粋に楽しむこと。どんどんのめり込んでいく上では大事かなと思います。僕もこんなに好きじゃなかったらあんまり頑張れるタイプではないと思うので、なのでよかったなとは思いますけど」
出典(記事リンク先)https://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2020/12/06/kiji/20201206s00001007358000c.html

記事を読み進めていくと、野球をする中で随所に楽しみを見出していることがわかります。大谷選手にとって野球はConsummatoryであり、Instrumentalであるのかもしれませんね。

②なぜいまConsummatoryとInstrumentalか?

さて、これまでの日本の教育は、大学受験に代表されるように偏差値という指標で相対的な評価がされること、テストで良い点を取ることに、結果的に重きが置かれてきたのではないでしょうか。

勉強に限らず、スポーツでも「チームの勝利の為に個を犠牲にして」とか「他が真似できない苦しいハードなトレーニングを乗り越えた先に全国優勝がある」等、所謂精神論に重きを置いた指導はひと昔前まで主流でしたし、スポ根漫画は今でも一定の人気がある気がします。(筆者も嫌いではないです。もっと言うと、自分を追い込む為に自己暗示的に使うときはあります。一方、他人やチームのマネージの為に使うのは難しく、悪手になりがちと感じています。)

日本そして世界で物質的な豊かさが広がり、価値観の多様化が進み、変化のスピードが激しい現代では、何か一つの尺度を寄る辺にしたり、目的を追求していくというよりは、自分の好きや楽しいという「満たされる感情・経験」を優先させる向きが強くなっているように思います。

というわけで、今の世の中InstrumentalよりConsummatoryに生きようってことだよね!というとちょっと違って、個人的には両方大事だと思いますし、もっと言えば「個々人が最適なバランスを見つける」ということが快適に過ごせる、望んだ方向に進むことに繋がるのかなと考えています。

③メンタルのお話

このバランスって、自分のことを良くわかってあげられないとなかなか取りづらいと思いませんか?例えば小さいころから頑張り屋さんできた人。周りの期待感も相まって、つい意識せずとも常に「がんばらなきゃ」となってしまう。こんな人がInstrumentalに寄りすぎると燃え尽き症候群になる危険性があったりしますよね。

価値観が多様化した一方で、誰もが自由に考え/感情を発信でき、溢れた情報にデバイス/ネットを通して常に触れられる世の中。コロナも相まって、精神的に疲れてしまうことも多いのではないでしょうか。

このnoteではスキルアップについて言及することも多いですが、心身が健康でないとそもそも働けず、良いキャリアを歩めないのは一目瞭然ですよね。

アスリートの例を見てもわかるように、気持ちとどう向き合うか、気持ちをどうコントロールするかは成果を出すうえでも、快適に生きるためにもとても大事です。

今後の投稿では、モチベーションを上がらないときどうしよう?とか健康に働くためには?みたいな内容も取り上げていきたいと思います。こんなこと書いてほしいというのもあればどうぞご連絡ください。

----------追記----------

自分の才能・強みを発掘する手段として、ストレングス・ファインダーというテストがあります。ぜひこちらの記事も併せて読んでみてください!

Twitterもやっています-> @kattenimentor


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