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「学びは人を動かすコンテンツ」まちづくりに必要な‟学びの場”の価値とは/まちづくり講師に聞くvol.4

こんにちは!勝山DMOの広報です。
私たちのnoteでは、福井県勝山市を盛り上げようと頑張るまちづくりプレイヤーの声を紹介しています。
今回は少し角度を変えて、まちづくりプレイヤーのための学びの場である「まちのデザインスクール」に2年連続(2021、2022年)講師を務めていただいた建築・まちづくりの企画設計運営を専門に活動する守屋真一さんをご紹介します。講師を受けることになった背景や感想、まちデザを通じて感じた勝山市の魅力についてお話をお伺いしました。

はじめに/まちデザについて

まちのデザインスクール(略:まちデザ)・・・多種多様な分野で活躍する人を講師に招き、まちづくりやビジネスに使えるデザイン思考「問題の本質を掘り下げ、解決のための設計を行う」が学べるワークショップイベント。勝山市の地域創生事業の一環として2021年からスタートしました。

まちのデザインスクール -小さくはじめるコミュニティデザイン& PR-
まちのデザインスクール2022

今こそ地域に必要な“学びの場”

ー 2年連続で講師を務めていただきありがとうございました!これまで様々なイベントで登壇されていると思いますが、今回、どのような経緯でまちデザの講師を受けることになったのでしょうか?
このスクールを紹介してくれたのは、地域おこし協力隊の西垣さんでした。数年前に東京で出会ってから‟まちづくり”という共通点から親交があったので講師を務めさせていただくことになりました。
まちデザの企画が面白いなと思った点は、「デザインの定義をビジュアルではなく課題解決する手段」として‟広義”に捉えることをコンセプトを置いていることです。僕自身もデザインと言いながらまちづくりをずっとやってきた身なので、自分が活動してきたことや考え方に共通している部分が多いなと思いました。あとはスクールという形式もいいなと。セミナーよりもスクールの方が参加者同士の繋がりができていくような感覚があるので、コミュニティーが生まれやすいんじゃないかと、そう思いました。

ー 今までに同じようなデザインスクール講師の経験はありますか?
何度か似たような経験はありますね。例えば、東京の渋谷でデザイナート(https://designart.jp/)さんと一緒にクリエイティブスクールを運営したことがあります。その時は大体20~30人の受講生がいて、回を重ねる毎にみんな仲良くなっていって最終的にプロジェクトが生まれたりしました。その他にも静岡の東伊豆で「東伊豆未来会議」というのも開催したことがあって、その時は参加者が積極的にスクール運営に携わってくれました。運営する過程でそれぞれの人が進化していく姿も見れたりして。だから、スクールという形式には価値があるなと思っています。

ー スクール形式だと受け身ではなく積極的に関わる姿勢が求められるので、成長しやすい場なのかもしれませんね。まちデザのような学び合いの場を地域で持つ価値はどこにあると思いますか?
最近は学び合いがまちづくりのコアになってくるんじゃないかと思っています。意識高い人が集まるきっかけになるし、地域以外からも人が集まる理由にもなるので、そういった人達のマッチングの機会にもなる。しかも、学んだ後はアウトプットしたくなるじゃないですか?(笑)実はまちってアウトプット先として最適だと思うんです。それにアウトプットされればまちが動き出す可能性も広がる。‟学び”は人を動かすパワーコンテンツだなと思いますね。

ー なるほど、‟学びたい気持ち”は人を動かすと!
そうですね。それに東京よりも地域の方が資源が豊富だと思っていて、例えば、「〇〇名人」みたいな面白い人って案外たくさんいるけど、みんなそれが人に伝えたり教えたりできる”価値あるもの”だと気づいてない場合が多い。だから、まちデザがそういった人達の価値を発掘したりアウトプットしたりする手段になっている気がしますね。地域にまちデザのようなスクールがあって、本当に価値が高いと思います。

まちづくりプレイヤーが成長できるスクール設計

ー まちデザではどのようなことを教えてくださったのでしょうか?
まちデザ2021では、コミュニティデザインのお話を中心にしました。テーマは「1軒の空き家からでもまちは変われる」でした。僕が東伊豆で行った空き家改修を例に挙げて、空き家の改修から運営するためのNPO組成、運営チーム形成のプロセスや周りを巻き込む手段についてノウハウとコツを具体的にお話し、最終的なまちの人口増加までの物語を順に追って伝えました。

ー 参加者のみなさんからこのお話がすごく刺さったという声があがっていました。
それは何よりです!まちデザ2022のテーマは「はじめ方のデザイン」こと。東伊豆の発展プロセスと、一人ひとりのまちづくりプレイヤーがの動きがまちの成長のカギとなることをお話しました。この回では一人ひとりが何から動き始めればいいかを考える機会を作りたくて、前半はレクチャー形式、後半はワークショップ形式にして、それぞれのやりたいことについて発表してもらう場も作りました。

参加者発表の様子

フィールドワークでは、参加者と一緒に空き家の視察に行きました。空き家の善し悪しをどういう基準で考えるのかを共有しました。例えば、照明の細工や今では製造されていない価値あるガラス窓だったり、空き家が魅力的になるためになくした方がいい部分などなど。3Dスキャンの導入効果や水平器アプリの活用といったノウハウもレクチャーしました。
それが終わったら感じたことや空き家活用のイメージをアウトプットしてもらってグラレコで可視化しました。そうすることで参加者の着想の幅を広がるし、ビジュアルにすることで人に共感してもらいやすかったりするので、もしかしたらこの場でプロジェクトが動くかもしれないという期待も込めて様々なアクションをワークショップに盛り込みました。

どんなポイントで空き家を見るかを現地でレクチャー
空き家見学後のアイディアワークショップ


ー 参加者から守屋さんの「主人公は大事」というお話が印象的だったという声が寄せられているのですが、これは具体的にどのようなお話だったのでしょうか?
これはプロジェクトの継続のために何が大事かという問いに対する答えですね。僕は「主人公が大事」だと思っています。そのプロジェクトは誰がやりたいのか、誰が本気なのか。100人の「いいね!」よりも1人の「本気」のほうが物事は動く。プロジェクトの要は役割分担で、ドラマのように1人の本気な主人公としっかり脇を固める脇役を配置することでプロジェクトは継続していく、そんなお話をお伝えしました。

外の目線から見る、勝山の魅力

ー 最後に、実際に足を運んでくださった勝山の魅力はどこにあると感じられましたか?
まず感じたのは、人とエリアがコンパクトなのがいいなということ。観光できるエリアがかたまっている上に、人のネットワークが強いのが魅力的ですね。何か一つ起爆剤があれば物事の広がりが早そうだなと。僕の考えでは、まちの魅力は自然とか観光地とか言いがちですが、結局のところ人が一番大事だと思っています。だから、まちデザを通じてどんどん参加者同士が繋がって仲良くなって、こんな感じでチームアップされたコミュニティが強くなりまちの価値を形成していくんじゃないかなと感じました。
あとは繊維といった強い産業があるのも魅力的です。まちの老舗企業の社長たちが新しいことにチャレンジしようする姿だったり、新しい機運を高めようと奮闘する姿を見て正直羨ましいなと思いました。

ー ありがとうございます。ぜひ3年目もお願いしたいですね(笑)
ありがとうございます(笑)もし3年目もやるとしたら「プロジェクト化」させる前提の内容がいいなと。空き家を改修して何を作るか、そこで何をするかを組み立てて、完成するまでの1年を一緒に走ってみる。最終的にそのプロジェクトで完成したものがまちに残り続ける形になると、まちの価値になるのではないかと思います。

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守屋さん、貴重なお話ありがとうございました!
まちづくりプレイヤーの成長を考えたテーマ設計や実施内容はとても有意義でした。参加者からもたくさんの良い声が寄せられており、有意義な学びを頂きました。
引き続きまちデザは開催していく予定です。興味を持っていただいた方はぜひご参加くださいね。
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講師:守屋 真一さんのプロフィール
神奈川県出身。「“誇れる地元”を全てのひとに。」をヴィジョンに建築・まちづくりにおける企画・設計・運営に携わるマイクロディベロッパー。空間プロデュース通じて、都市とローカルを横断した社会課題解決を目指す。芝浦工業大学建築学科、同大学院修了後、日本設計、VUILDを経て、現在はmicro development inc./CEO。ADDReC株式会社、NPO法人ローカルデザインネットワーク、一般社団法人超帰省協会、株式会社オープン・エーを兼務するマルチワーカー。

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