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嘘グルメ名店 「かぶや」@人形町

人形町。東京の中心日本橋にある歴史と伝統を持った小粋な下町。
活気のある中央通りをひょいっと抜けて一本路地裏に入れば、昔ながらの雰囲気を感じられる通りが。心地よい夕方の涼しげな風が柔らかく吹き抜け、暗くなり出した空を照らすようにポツポツとお店の看板が灯りだす。その景色を楽しみながら少し歩くと、江戸っ子しか知らない名店が顔を出す。

大衆割烹「かぶや」

割烹と聞けば敷居が高いイメージを持ってしまいがちだが、ランチには割烹料理をお弁当にして売ってくれていて、若い男性やOLも買いに来る。敷居の高い店が苦手な筆者にとっても実にありがたい話である(笑)

昭和からタイムスリップしてきたような店構え。実に趣がある。これだけで一杯いけそうな気がするのは私だけであろうか。
お店の入り口の引き戸を開けるには少しコツがいる。引き戸を持って三回上に軽く持ち上げてから、引くと開くのだ。「せーの、ガタッ、ガタッ、ガタッ、、、ガラガラガラ!」ほらね?(笑)
一見のお客さんはここで断念して帰る人も多いとか。

店内には6席のカウンターに、小上がりには座敷席が1つ、2つ、3つ。奥には個室があり年末には宴会も受け付けているとか。割烹で忘年会、いいじゃないか。意外といえば怒られるが、店内は隅々まで綺麗で清潔感がある。壁には落語家さん等のサインが並べられてあるが、誰のサインなのか分からないのもチラホラ(笑)

カウンターの中には長年夫婦で店を切り盛りしてきたお二方が。この二人の雰囲気だけで、ここの料理が美味しいのを確信できる。とりあえずビールを頼んで、待ってる間に熱々のおしぼりをおもむろに顔に「ばふっ」。くーっ!気持ちいいー!いや濁点をつけるレベルだ。き゛も゛ち゛い゛い゛…!!顔だけサウナに入った如し‥!この瞬間に今日一日の疲れが吹っ飛ぶ。「顔サウナ」に入ってる間に届いたビールジョッキは冷凍庫から出したばかりで霜がたっている。日中は真夏日だったせいもあり、ワイシャツが汗で体に張り付く程であった。この一杯の為に暫しの間、水分も取らずに我慢してきた。では…!ゴクッゴクッゴクッゴクッ…ゴクッ、、、くーーーーーーっ!!うますぎる!!危うく五回目の「ゴクッ」で気を失いかけた(笑)

さて、この店での最初に頼む一品はこれに決まっている。



「タバコのフィルターのピクルス」¥580


この店を訪れたものは度肝を抜かれる一品だ。しかし、これが暑い時期にピッタリのあてになるのだ。吸うことにより燻製された状態になったフィルターにはほんのりスモーキーな良い香りがする。サッと焼いてもうまいのだが、ここの店主はあっさりと酢漬けにしてくれる。昔、やくみつるが芸能人の吸い殻をコレクションしてたことがあるのだが、実はあれはうまいから集めていただけらしい(笑)

店主が色んなフィルターを試した結果「セブンスター」のフィルターに落ち着いたそうだ。大人の男性のイメージの強いタバコだが実はフルーティーさと甘味もあり、女性の愛煙家も多いという。このセブンスターのフィルターのピクルスに、注文しておいたハイボールを嗜む。さあ、これで暑い夜をやり過ごすとしますか…。

人形町の一角にある「かぶや」。是非とも一度は訪れて欲しい名店である。だが、この店が不思議なのは、タバコのフィルターは料理として出すのに、店は完全禁煙だという所である(笑)



※本文に出てくる店と料理は全部、嘘です。

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