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「ベビーボックスを設置⁉」新科目公共で学ぶ探究のトビラ(7)

人間社会では,必ず意見や考え方が対立します。解のない問題や課題が現代社会では増え続け,これからはコミュニケーションを通じた共に納得できる解を見いだす姿勢や態度がますます求められます。中高社会科教員経験のある大学教員です。生徒や学生たちとの授業実践,互いの根拠や意味を問い合う対話による探究活動を紹介します。諸学校での授業活用はもちろん,理解しやすい身近な題材にしていますから,友人同士や家族団らんで語り合ってみてはいかがでしょうか。


ベビーボックスとは⁉

 出産した親が,名前を名乗らず,責任を問われることなく,赤ちゃんを預けるところがベビーボックスです。経済的困窮や未成年者であることなどを理由に,親としてはやむを得ない状況に追い込まれることもあり,赤ちゃんを預ける場所になっています。


アメリカでは100か所設置

 2022年2月,アメリカで100か所目のベビーボックスが設置されました。2016年から設置されるようになりましたが,現在(2022年5月)では,6州107か所に存在しており,拡大の傾向にあるようです。


日本では⁉

 日本では,熊本県の病院に「こうのとりのゆりかご」(2007年5月開設)が設置され,赤ちゃんポストと呼ばれています。設置から14年で155人が預けられています。現在でも運用されていますが,日本では,この1か所にしか置かれていません。


アメリカでの拡大の背景は?

 アメリカでは,セーフ・ヘイブン・ローという法律が施行されました。これは,出産後,すぐに警察署・消防署・病院などに子どもを預ければ,親の罪を問わないというものです。契機は,1990年代後半に頻発した赤ちゃんの遺棄事件でした。現在では,すべての州でこの法律が施行されています。


今後のベビーボックスは⁉

 ベビーボックス,赤ちゃんポストについては,アメリカでも日本でも,賛否両論が入れ乱れます。虐待などを防止し,命を最優先にするとすれば設置は推奨させるでしょうし,育児放棄を助長するとなれば設置するべきではないでしょう。常に,命と真剣に向き合いたいものですね。

探究とは…
①自分で課題を見いだす
②解のない問いと向き合う
③人としての在り方生き方を追究する
④他者と共に望ましい社会形成に参画する


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