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「みんなに生活費(お金)をあげるべき!?」新科目公共から学ぶ探究のトビラ(15)

 人間社会では,必ず意見や考え方が対立します。解のない問題や課題が現代社会では増え続け,これからはコミュニケーションを通じた共に納得できる解を見いだす姿勢や態度がますます求められます。中高社会科教員経験のある大学教員です。生徒や学生たちとの授業実践,互いの根拠や意味を問い合う対話による探究活動を紹介します。諸学校での授業活用はもちろん,理解しやすい身近な題材にしていますから,友人同士や家族団らんで語り合ってみてはいかがでしょうか。

ベーシックインカムとは?

 全国民に無条件で一定の生活費を支給するというものがベーシックインカムです。すべての人が最低限度の生活ができるように,政府が定期的にお金を渡します。ですから,ベーシックインカムは究極の社会保障と呼ばれることがあります。

ベーシックインカムのメリットとは⁉

 ①貧困問題の解決…すべての人が必要最小限の生活費を受領することができるので,貧困の解消が期待できます。②長時間労働の解消…最低限の生活費が保障されることから,無理な長時間労働から解放され,過労死も減るかもしれません。③行政事務のコストダウン…全員への同額一律支給は,行政事務労力を抑えることにつながります。


ベーシックインカムのデメリットとは⁉

 ①財源確保…全国民への給付は莫大な資金が必要になるので,どう確保するかが大きな課題です。②労働モチベーションの低下…働かなくても最低限の収入が確保されると,労働者の労働意欲がそがれることがありえます。職場での人材不足も懸念されます。


フィンランドの社会実験

 フィンランドでは,2017年から2年間,失業者2000人を対象に月7万円を給付するというベーシックインカムに関わる社会実験を行いました。暫定的な調査結果によると,雇用への影響は見られず,幸福度は上昇したとしています。


コロナ禍で世界的に注目を高まる

 新型コロナウイルス感染拡大により,世界では多くの人々の雇用が奪われました。ベーシックインカムの導入や実験に関する議論が世界各国でされるようになりました。日本では,あまり議論の高まりが見られませんが,コロナ禍で10万円の特別定額給付金がありました。国民的な議論が必要になってきているかもしれませんね。


探究とは…
①自分で課題を見いだす
 ②解のない問いと向き合う
③人としての在り方生き方を追究する
④他者と共に望ましい社会形成に参画する


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