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「まぁ,とりあえず頑張るか」の前に!

空き瓶に小さな石から入れると,大きな石を入れるスペースがなくなってしまう.しかし,大きな石から入れれば,小さな石まで入れることができる.

この有名な話は大きな石理論として知られ,「優先順位が高いものからやらないと後でできない」ということを言っている.

では,大きな石がたくさんあった場合,どうすればいいのか?

努力をせずにスマートに結果を出す「エフォートレス思考」が著者の答えだ.

努力は美徳だが,努力しなくても良いようにする方法があるなら,それに越したことはない.本書はそのエフォートレス思考の実現のための具体的な方法(精神,行動,仕組み化)を提案する.

PART1:エフォートレスな精神

頭のガラクタ(雑念)を片付けて,「今,この瞬間」に集中できるコンディションを整える:エフォートレスな精神を手に入れる.

INVERT:頑張れば成果が出るとは限らない

重要なことを楽に解決できるようにする=エフォートレス

「重要なことは困難であり,簡単なことは重要でない」というわけではない.

困難だと思うのは,無駄に難しく考えすぎて,簡単な方法を思いついていないだけかもしれない.

前提(既存のシステムや手順)を疑い,視点やアプローチをいろいろ変えてみる.

ENJOY:「我慢」を「楽しい」に変える

重要なことを楽しくできるようにする=エフォートレス

「重要なことは苦痛であり,楽しいことは重要でない」というわけではない.

重要なことを「楽しい」ことに結びつけることで,遊びのようにすることができる.

遅行指標(行動と結果のタイムラグが長くなる指標)を減らす.

行動と結果のタイムラグを減らす:重要な行動にわかりやすい報酬を結びつける

楽しい活動のビルディングブロックを用意し,ブロック遊びをするように,重要な仕事と楽しい活動を組み合わせる

ところで,最近,白鳥のビルディングブロックは圧倒的に「Audible」!

重要な行動を習慣(何をやるか)というよりも儀式(どのようにやるか)にすることで,その行動に意味を与え,満足を得やすくなる.

RELEASE:頭の中の不用品を手放す

本当は不要なものやことを手放す=エフォートレス

もう必要ないのに,いつかやるべきこととして脳を密かに占有するものを手放す.

足りないもの目を向けると足りないことばかりが増えていく(不足思考).逆にすでにあるものに目を向ければ心は満ち足りて,足りないことが手に入る(充足思考).

感謝によるポジティブなサイクルが将来の可能性を開き,周囲に影響を与え,自分と他人を成長させる.

「新しい習慣を作るコツは既存の行動に新しい習慣を組み合わせること」(B. J. Fogg)

不満を口にしたら,感謝を口にすることを習慣にしよう.

「雨に日にできる最善のことは雨を降らせておくこと」

ネガティブな感情を手放してみよう.その事実を受け入れて自分を解放しよう.

REST:「休み」で脳をリセットする

やりすぎず,やらなすぎずに仕事をこなし,しっかり休む=エフォートレス

1日の仕事は1日ですっかり疲れが取れる程度まで,一週間の仕事は週末ですっかり疲れが取れる程度までに制限する.

短い休憩をよくとること.

1.午前中に最優先の仕事をすること

2.その仕事を90分以内の短いセッションに分割する

3.それぞれのセッションの間に短い休憩を入れる

睡眠の質を上げるためには.

1.ベッドに入る90分前には電子機器の電源を切る

2.寝る前にあついシャワーを浴びる

3.就寝時間は一定にする

昼寝に対する罪悪感を捨て,睡眠負債を返す

1.疲れて集中力が低下する時間を選ぶ

2.アイマスクや耳栓,アラームを用意

3.仕事のことは考えない

眠い身体を酷使するのをやめて,自然のリズムに身を任せよう

NOTICE:今,この瞬間にフォーカスする

今やるべきことに対する注意と集中を失わない=エフォートレス

難しいのは聞くことではなく,聞きながらその他のこと(雑念)を考えないこと.

エフォートレス精神を実現するための日課

1.静かな場所を見つける

スマホの電源を切り,周囲の人から離れよう

2.身体の力を抜く

背筋を伸ばして楽な姿勢で座る.目を閉じ肩を回す.

3.頭を落ち着ける

自然と浮かんでくる雑念が去っていくのをイメージしよう(モンキーマインド解消法)

4.心を解放する

嫌なことが頭に浮かんだら,「許します」と呟く(やさしさのメッタ).

5.感謝の呼吸

過去に感謝を感じたことを思い出す.感謝を全身に取り込む.

ここまで見て,RESTとNOTICEはマインドフルネスそのものだと思った.


PART2:エフォートレスな行動

PART1で得たエフォートレスな精神をもとに,より少ない努力でより大きな成果を実際に出すことがエフォートレスな行動

DEFINE:ゴールを明確にイメージする

ゴールを明確にして,達成したら潔く終わりにする=エフォートレス

研究に終わりはないが,終わりを決めることはできる.

コストとリターンが逆転するちょうど手前を完成とする.

1分間でゴールをイメージする.

心にゴールを思い浮かべるだけで,やることはクリアにない,意欲が湧いてくる.

To doリストより,完了リストを作る.

完了リストを作るコツは完了したらどんな気分になるか思い浮かべ,達成できたら,1日の終わりに,満足したと感じるだろうかを考える.

自分の人生のミッション・完了リストも考えてよう.

START:はじめの一歩は身軽に踏み出す

最小限の機能(はじめの一歩)で最大限の学びを得る=エフォートレス

重要な仕事の困難さに怯んでしまいそうな時,とにかく前に進めるように,明確なはじめの一歩を決めること.

はじめの一歩をできる限り分割し,具体的で明確にできれば,踏み出すのは簡単.

デザイン思考におけるMVP(Minimum Viable Product):実用最小限の製品

最小限の努力で前に進みつつ,最大限のフィードバックを得ることが可能に!

はじめの一歩はとても小さく,とるに足りないように思えるが,実は激しい力を秘めている.

マイクロバースト:最初の一歩を正しく踏み出した後の集中力の高まり

SIMPLIFY:手順を限界まで減らす

最低限必要な手順のみを行い,まず完成させる=エフォートレス

タスクを必要以上に難しく考えすぎて,手順を増やしすぎていないか.

この仕事を終わらすために最低限必要な手順はなんだろう?

価値のない余計なものを付け加えるより,完成させる方が良い.

成功したいなら必要以上のなことをせず,まず終わらせろ

頑張りすぎて挫折するより,最低限やるべきことを終わらせよう

やらないことを最大限増やす技術

より少ない機能とコードで同じサービスが実現できるなら,絶対にそうすべき

天才は複雑なものを分解するのではなく,気付かれていない単純なものを利用して成功する

PROGRESS:良い失敗を積み重ねる

手軽に安く失敗をして試行回数を重ねる=エフォートレス

優雅さや精巧さにこだわって,試行回数を重ねられず,かえって進歩の妨げになる

最初から完璧を目指さず,手軽に失敗して修正できるようなモデルをたくさん作れ.

本当に重要なことを学び最短ルートで成長できる.

外国語の学習:間違えるのが恥ずかしいでは上達しない

間違いこそが言語学習を加速させる

やるべく安く失敗の経験をしておく:学習サイズの失敗

最初から偉大だったものはない:安く失敗するためのもう一つの方法は頭の中の手厳しい批判から,自分のゴミを守ること

間違いを犯して過ごす人生は,何も過ごさない人生よりも立派であるだけでなく,より有益である.

ゼロドラフト:完璧を求めるあまり,書き始められない人へ

下手くそでも,とにかく書きまくること.それが想像力を掻き立てる.

PACE:早く着くためにゆっくり進む

一定の持続可能なペースで前進する=エフォートレス

常に全力疾走,好調と不調の波に身を任せるのは,リスクが高い

やることの上限と下限を決める.

適切な範囲を決めれば,安定したペースで前進することができる.

下限はモチベが続く程度で,予想外のことが起きても達成できるくらい.

上限は順調に進んでいると思えるくらい高く,疲れすぎないくらい.

「ゆっくりはスムーズでスムーズは早い」:ゆっくり行うことで物事がスムーズになり,スムーズに物事がなされることでより早く動ける.

PART3:エフォートレスの仕組み化

エフォートレスな精神と行動でより少ない努力でより大きな成果をあげることができる.それが何度も得られるようにすることがエフォートレスの仕組み化.

LEARN:一生もの知識を身につける

原理原則を学び,自分だけのユニークな知識を創造する=エフォートレス

方法はたくさんあるが,原理は少なく永続的.

原理を掴めば,方法を見極められるが,逆はそううまくいかない.

知識を一つのセマンティックツリーとして捉え,枝葉ではなく,幹を理解することに努める:知識の土台となる原理を追求する.

知識の結びつきが累積的なものとなる.

アイデアが生まれるのは,既存の知識に意外な組み合わせが見出されたとき.

分野を超えて,アイデアが結びつくと新たなものが生まれる

読書から最大限の成果を得るには,本に心から没頭し,エッセンスを抜き出す.要約によって,情報は理解になり,理解が独自の知識に変わる.

みんながうまくやってるものをうまくやるより,みんながやっていないことをそこそこやる方が良い.

それをとことんやれば,あなたの価値は飛躍的に高まる.

最終的には,自分だけの知識を見つけ出し,伸ばしていくこと.

他人にとって難しくて,自分にとって簡単なことはあるか?

今ある知識を土台にして,誰よりもうまく学べそうな分野はないか?

見つけられたら,自分だけのユニークな知識の創造が可能になり,人生に永続的なチャンスをもたらす.

LIFT:いちばんシンプルに伝える

最もシンプルにして人に教える=エフォートレス

広範囲に影響を与えたい時は,人に教えること.そうすることで自分自身が学ぶことができる.

理解しやすく覚えやすいストーリーを語る.良いストーリーは聴衆をその場で教師に変える.

セサミストリートの法則:無駄に難しくせず,頭の良さを見せつけようとしないこと,理解しやすく復唱しやすいストレートなメッセージを選ぶこと.

最も重要なこと(結論)も最もシンプルにして多くの人に伝えよう.

全てを教えようとすると,何も教えられなくなる.本当に重要なメッセージを明確にし,それを単純化すれば累積的な結果を残せる.

AUTOMATE:勝手に回る仕組み作り

できるだけ多くの重要な行動を自動化し,脳に負担をかけない=エフォートレス

複雑すぎると,人間の注意力の限界を超えてしまい,ミスが起こる.

記憶や注意力に頼らずチェックリストやチートシートを使え.

思考をすでに仕組みの中に組み込み,他の思考の入り込む余地をなくす.

自動化とはできるだけ人間の力を必要とせずに機能を実行すること

ただ,無駄な作業が自動化されると害悪にもなる.

TRUST:不信のコストを削減する

信頼を構築し人に任せる=エフォートレス

信頼関係がないとチームのパフォーマンスは上がらない

信頼はチームワークのエンジンオイルで,それを切らさない仕組みをつくる.

信頼を図る3つの指標Integrity, Inteligence, Initiative.

信頼できるチームの条件は,期待値やゴールが明確で共有され,役割が定義されている.ルールと基準が明示され,優先順位がはっきりしている.そして正しい目標に向けて,一貫したインセンティブと報酬が与えられること.

結果:どのような結果を望んでいるか

役割:誰が何をするのか

ルール:最低限達成すべき基準は何か

リソース:どのような資源が必要で,利用可能か

評価:進捗をどう評価し,報酬に繋げるか

PREVENT:問題が起こる前に解決する

根本の問題を解決する=エフォートレス

時間管理のロングテール:長い目で見て時間を投資すれば,持続的な利益を得ることができる.

その問題を放置した場合の年間コストを考え,解決するためにすぐできるステップを考え,実行する.

目標は最小の時間で解決できる最大のイライラを解決すること.

ミスを防ぐために「2回測って1回切る」:何度か確認する.



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