見出し画像

【寄席エッセイ】オフシャル白湯男ディズム

もう時期春もやってくる。


気温変動の激しいこの季節は毎年体を壊しがちだ。


今年は特に酷い。アタシは週一で病院に通っている。風邪のような症状と1ヶ月ぐらい付き合う羽目になった。病院に行くのは時間がかかるし、薬のお金だって馬鹿にならない。本当に健康な体というのは基本中の基本。当たり前に毎日動く体に感謝感激やでホンマに。しかし。まだ治らないさね。



今年の冬。夕方のニュースで印象的だったのが「白湯男子」白湯を飲む男性が増えていると言うやつ。



はくとう。さゆ。白湯男子。ねぇ。



はぁーぁーん。



この「男性の分類にほにゃらら男子」と言う形で
分類をつける風潮。私は喉元にホッケの中骨が突き刺さったような違和感を覚える。



いや、分かりやすく分類したい人がいるのは仕方がない。他人って何考えてるか分からないし。でも草食男子?


おいおいおいおい。


消極的な男子のことを言う?サバンナの草食動物舐めんな。蹴りで肉食獣の顎砕いてんぞ?視界の広さすげえんだぞ!あの目の位置!なんなら正面見えてねえからな!!!草食って決めつけるんじゃあないんだよ!あったこともねえのに!!!!!


反面。肉食?


…おいおいおいおい!…男なんてみんな肉に塩かけたもん好物に決まってんだろ!!!肉食男子?ただの男子だろ!だから男はすべからく肉食だろ!オールフォーミート!ミートフォーワンだろ!…私が…来た…だろ!!!オールマイトだろ!



ベジタリアンとか信条のアレ以外はみんなバラ肉に醤油かけたやつと白米で数ヶ月過ごせるんだよ!サラダ?…葉っぱの話は止めろ!アレは自分が体のことを気遣ってるって言うアピール。つまりまやかしだ!メダパニなんだよ!!!豆腐の味噌汁よりDANZEN豚汁って相場が決まってんだよ!!!



それなのに肉食男子はガツガツいけるってもーーー!アンタね。んなわけねぇだろ!



お肉好きなのに草食ってカテゴライズされてる肩身の狭さって言ったらもう!!!洗濯機の床下の隙間並みの肩幅だよ!アタシはアタシを!どんな説明をすればいいの?ってなるんだよ!




就職面接がうまくいかないのも、自己分析がうまくいかないのも、とりあえず知恵袋に質問してしまうのも、そういった「こうである」みたいな分類が深層心理を破茶滅茶にしているんだと。人のせいにするのは良くないよ。よくないのだけど。じゃあ不特定多数の顔を見たことのないような人間にその人の題名シールをテプラで作って貼りまくるその現象!それを受け止める心の準備がないんだっての!!!



人は見かけによらぬ。あの人はそんな風だと思わなかった。いや、それ普通よ。見た目で判断してはいけない。



そんなものはよくわかっているのではないか。他人から見られる自分を投影する。こんな風に思われる。でも実は自分はこうだ。理解してほしい真の部分はそうではない。見た目は、名前は、行動は、



それらはその人を表しておるのかも知れないが、その人が知ってほしいことを表しているわけではないのだ。そう振る舞っていてももらう側と発信する側に乖離が発生したりするんだ。



それを理解するために人には発する口があり言葉を聞く耳があり相手の心を考える頭がある。普段の行動ではそれが出るかも知れない。でも声をかけて目を見て話すそれが真実だったりするんだ。



ロールキャベツ男子なんて、そんな単語生み出した奴に会いたいよ!会って話がしたいよ!そんなつもりじゃなかったんだろ?って問い正したいよ!!!


草食に見えて実は肉食…ってそれを例えるのがなんでロールキャベツなんだよ!もっとあるだろ!雑食じゃん!雑種じゃん!狸でよくない?なんでも食えるでよくない?なんか草食とか肉食に対する偏見強くない?ギャップ萌えみたいな言葉で片付ける方が全然しっくり来るんだけど!!!




と言うか、それで括れないシーンってたくさんあるのだ。



言の葉で括れると思いきや人間の幅は果てしなく広いのだ。肉と草とロールキャベツだけ?語彙力ゥ!ドーピングコンソメスープ持ってこい!!!パッと考えるとな!もののけ姫のアシタカはなんなのか。肉でもなければ草でもない。かと言ってロールキャベツでもない気はしないか。タタリ男子か?おっふ…怖いなそれ。そんなアンタはふつくしい。でもすでに定められた共通的な何かで物事を判断するしかなかった場合。我々はそれに当てはめて考えてしまうでしょう。ぼんやりとした根拠、その人と会話したわけでもない情報。どの辺りが草でどの辺りが肉なのか。トータルすると嬬恋キャベツなのか。ステーキみたいに美味しいキャベツだってあるだろう!?いや、それは話が違うか?




とにかく、ほにゃらら男子。多分日本で唯一。アタシだけが納得していない。



別にいいのだ。そんなことは。テレビで見たようななんとなくの判断を持たずとも、その場で見たその人の印象を自分で選べばいい。



私から見た誰かは草なのか肉なのか。そんな陳腐な言葉で私は考えたくない。

優しいやつでいい。女遊びで失敗するバカでいい。お湯飲んで体を気遣ってるやつでいい。洒落はいらんのだ。そこを見たいわけではないのだ。


仮に私の後輩が白湯男子だっとして。流行りだと思って力のない笑いをしたくない。体のことを気遣ってるそいつであってほしい。カロリー消費が多くなると思って…みたいな豚思考でも悪くない。そいつはそいつだ。街角インタビューの白湯野郎はその白湯野郎だ。全世界の白湯野郎は全て同じじゃない。しかし同じ名前を貼り付けることによってそれらすべてが同じ扱いを受ける。



私は私の言葉で、人を見たいのだ。
人に自分の物差しを決められてる感じが嫌なのだ。


そんな風に考える私はお湯と白湯の違いがわからない。

お湯を容器に注いで…冷まして…何度になったものが…え…水ゥ?


もう白湯男子の定義考えるのもめんどくさい。お湯好きでいいよ。もしくは胃がジジイ。


物差しは。私の物差しでいいのだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?